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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第2回

Androidは好調もNexus Oneは不振 軌道修正するGoogle

2010年05月19日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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 Googleの「Nexus One」がアメリカで苦戦している。1月初めの発売から低空飛行が続いたのに加え、4月末に期待されていたVerizon Wireless向けの販売がキャンセルとなった。その2週間後には、Sprint Nextelも販売計画を撤回した。

結局日本からは購入できないままにウェブ直販は終わることになりそうだ

 そして5月14日、GoogleはついにNexus Oneのオンラインストア閉鎖を発表した。マルチキャリアというGoogleの差別化戦略は事実上失敗したといえそうだ。

従来型モバイルエコシステムの破壊狙うも……

 ご存じの方も多いと思うが、Nexus Oneは「Android 2.1」をOSに採用したGoogleブランドのスマートフォンである。プロセッサーには1GHzで動作するのクアルコム製のSnapdragonを搭載し、製造はAndroidを知り尽くしたパートナー、HTC社が担当した。

 Nexus Oneは初のGoogleによる“Googleフォン”として注目されたが、最大の特徴はスペックや外観など端末そのものというよりも、Googleが選んだビジネスモデルだった。GoogleはNexus Oneの販売チャネルを自社によるWeb直販のみとした。さらには消費者がキャリアを選べる“自由”を売り物とした。

 アメリカの消費者はキャリアが提供する携帯電話のラインナップから自分が欲しい端末を選んでいる。キャリアは契約などの条件をつける代わりに端末の単価を安くする。だが、GoogleのNexus Oneは、Nexus Oneが欲しいと思った顧客がキャリアを選ぶということが可能となる――これがNexus One発表時にGoogleが打ち出していた構想だ。

 ところがふたを開けてみると、Nexus Oneに対応したキャリアはT-Mobile USAとAT&Tのみ。T-Mobile USAでは2年契約付きで179ドル。またSIMフリー版は529ドルで提供されている。

 Nexus Oneは発売直後、アップル「iPhone」のような大ヒットには至らなかった。だが、ローンチパートナーとして米国最大手のVerizonが名を連ねていたことから、Verizon向けのCDMA対応版が発売されるまではNexus Oneの成功を決めるのは尚早という状態だった。

 GoogleはNexus Oneの販売台数を公開していない。数値らしい数値といえば、調査会社のFlurryが3月に発表した「発売後74日間で13万5000台」ぐらいしかない(Flurryによると、第1世代のiPhoneは100万台を、米Motorolaの「Droid」は105万台をそれぞれ発売後74日間で売り上げたという)。

 もっとも変化の兆候はすでに見えていた。Googleは初の海外進出となる欧州展開にあたり、英Vodafoneと提携しキャリア経由という従来のモデルを選択していた。オンラインストア閉鎖により、米国でもNexus Oneは提携キャリアの小売店から提供されることになる。

ブログ上でみずから敗因について語るのも、なんだかGoogleらしい

 なおGoogleのAndy Rubin氏はオンラインストア閉鎖の理由について、「アーリーアダプタ向けのニッチなチャネルから拡大しなかった」と記している。携帯電話は常に持ち歩くパーソナルなものだ。携帯電話を手にとってみることなく買うということにアメリカの大多数の消費者が関心を示さなかったことも要因といえそうだ。

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