このページの本文へ

SSD活用で高速化!ハイエンドストレージに搭載

1GB単位でのデータ再配置を可能にするIBMの「Easy Tier」

2010年04月22日 09時00分更新

文● 渡邉利和

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

4月21日、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)はストレージの最上位機種「IBM System Storage DS8700」の新機能として、アクセス頻度に応じた自動的なデータ再配置を業界初となる1GB単位で行なうことができる「IBM System Storage Easy Tier」を発表した。

SSDを活用してI/Oを高速化

 日本IBMのストレージ製品の最上位機種に当たるIBM System Storage DS8700の追加機能として、IBM System Storage Easy Tierが発表された。5月21日から、既存のDS8700ユーザー向けにも無償で提供される。

 Easy Tierは、IBM基礎研究所で開発されたアルゴリズムに基づき、DS8700に格納されたデータへのアクセス頻度を解析、自動的にデータの再配置を行なうもの。DS8700は、階層化ストレージとしてSSD、1万5000回転のFC HDD、7200回転のSATA HDDの3種類のドライブを内蔵可能となっている。Easy Tierは、これらのデータスループットの異なる記憶メディアを使い分け、アクセスパターンに応じて適宜再配置し、最適化する機能となる。

System Storage Easy Tierの概論

 IBMの検証では、「アクセス頻度が高く、SSDへの再配置が必要なデータ量が全体の10%であった場合、全体の10%をSSDに配置するだけで、HDDのみ搭載したモデルの4倍のデータ処理能力(スループット)となる」という。同様のチューニングを搭載しているベンダーはまだ少なく、従来は人手で行なわれることも珍しくなかったが、Easy Tierでは一切人手を介さず自動的に最適化される点が特徴。また、論理ユニット単位ではなく、1GBという小さな単位でデータ移動ができるのもEasy Tierの特徴で、業界初だという。この結果、SSDの利用効率が向上し、コスト削減とアクセス性能向上を両立できる。

Easy Tierによるスループットの向上例。ストレージ側で自動的に再配置が行なわれるので、時間が経過するのにつれてスループットが改善していく

 なお、DS8700では、SSDの最小搭載個数が16個(1個の容量は73GBまたは146GB)となっていたが、Easy Tierによって小容量でのデータ移動が実現することを受けて制約が緩和され、最小で8個から搭載可能となった。

 Easy Tierは既存ユーザー向けに無償提供されるほか、新規に販売されるモデルにも搭載される。IBM System Storage DS8700(「Easy Tier」搭載モデル)は、最小構成価格で3億2509万5500円になる。

仮想化、クラウド+ワークロード最適化

日本アイ・ビー・エム システム製品事業 ストレージ事業部長 山崎 徹氏

 説明を行なった同社のシステム製品事業 ストレージ事業部長の山崎 徹氏は、「データが年率60%で増加するとすれば、現在100TBのデータは5年後には10倍になる計算だ」と紹介した上で、市場予測として「2011年までに、構造化されていないデータが80%に」「毎秒6テラバイトの情報がインターネットを介して伝送されている」「スマート・グリッドで、トランザクション量が3000倍になる」といった見通しを示し、ストレージの果たすべき役割がさらに重要になることを強調した。

2010年代に求められる情報基盤

 こうした状況に対し、IBMのストレージ戦略は「ワークロード(業務の処理)のタイプに応じた最適なストレージソリューションを提供」することだという。山崎氏は、ワークロードとして「トランザクション、DB処理」「ビジネス・アプリケーション」「アナリティック」「Web、コラボレーション」「デジタルレコード、アーカイブ」の5種類を挙げた。具体的には、今回の対象製品であるDS8700は「トランザクション、DB処理」というワークロードに対応する製品と位置づけられる。

IBMが想定する5種類のワークロード

 IBMでは、ストレージの仮想化技術についてもいち早く取り組んできており、「ストレージ仮想化テクノロジーをリードし、お客様の課題を解決し、クラウド化のニーズにお応えします」(山崎氏)という。時代のトレンドである「仮想化、クラウド」に加え、ワークロードに最適化されたストレージ・ソリューションを用意するのが、IBMのストレージ戦略の柱となる。

■関連サイト

カテゴリートップへ