2月5日、シマンテックは2009年の総括と2010年の事業戦略についての説明会を行なった。説明会において株式会社シマンテック 代表取締役社長 日本担当バイスプレジデント 加賀山進氏はセキュリティとデータ管理へのフォーカスと日本での開発体制などについて語った。
「私たちの事業領域は狭い」
説明会の冒頭、加賀山進氏は「弊社は『Secure and manage world information』を社是に、セキュリティやデータ管理という分野だけを脇を締めてやっている。その意味で、私たちの事業領域は狭い。研究開発も製品も、その範囲だけでやっており、そこ以外はやらない」と、セキュリティとデータ管理にフォーカスする同社の立ち位置についてまず説明。とはいえ、情報リスクはITのすべての階層で高まっており、35%にとどまりストレージの利用率や年間160万を超える悪意のあるコードの登場、59%の従業員が退職時に企業の情報を持ち出すといった例などを挙げ、こうしたリスクとコストを低減するのが、シマンテックの役割であると語った。こうしたなか、ビジネス面では、グローバルでは過去2年間、複合年間成長率で9%を記録。2010年の第3四半期には、アジア・太平地域の売り上げが15%に増加し、その重要性はますます高くなっているという。
2010年の事業戦略に関しては、エンタープライズやコンシューマでのセキュリティ分野において、引き続きリーダーシップを発揮するとともに、情報管理事業も強化する。さらに製品のコモディティ化を促進するということで、コスト削減に寄与する製品提供を目指すという。
このうち、ソフトウェア業界を覆いつつあるクラウドやSaaSに関しては、自社展開、インフラ提供、ソフトウェア提供といた3本柱で進めていく。自社がSaaSを展開している「ノートン360」を購入してもらうと、2GBのバックアップ領域が提供されるということもあり、毎期5PBごとに増える」(加賀山氏)といった個人向けサービスのほか、メッセージ・ラボのような企業向けサービスは今後も強化。また、クラウドのインフラに関しては、先日はAmazon.comに採用されたことが発表されたという。
国内のエンジニアリング体制に関しても、言及された。日本法人では社員550人中250人程度がエンジニアで、ソースコードも一部日本側で管理しており、不具合の検出や技術検証、日本仕様の製品提供まで行なっている。「インフラの奥の奥で使われているので、安心して使ってもらうことがすごい重要。ですので、開発や検証には大きな投資を行なっている」(加賀山氏)とのことだ。
最新のトピックとしては、富士通とのワールドワイドでの提携、セールス・テクニカル面での認定取得の拡充などを挙げた。一方で「『ノートン』のブランドイメージは非常に高いけど、企業向けのシマンテックのブランドはまだまだ。企業のトップに売り込んで行きたい」(加賀山氏)といった企業向けブランドの醸成とともに、ベリタスとシマンテック製品の統合に時間がかかっていることも課題として挙げられた。
さまざまな施策を経て、顧客やパートナー、社員の満足度No.1を目指すという。