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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第102回

ネットで盛り上がる的はずれの「検察リーク」批判

2010年01月27日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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検察は捜査情報を「リーク」しているのか

 民主党の小沢一郎幹事長の元秘書などが逮捕された事件をめぐって、民主党がマスコミ批判を強め、「捜査情報の漏洩問題対策チーム」をつくって調査に乗り出した。これに便乗するように、ネット上でも検察のリーク(情報漏洩)に対する批判が強まっている。しかし、このリークとは何だろうか。

読売新聞のサイトより

読売新聞のサイトより。「関係者の話でわかった」という表現がなされている

 たとえば上杉隆氏は、「記者クラブにリークを繰り返している樋渡検事総長と佐久間特捜部長は堂々と記者会見で名前を出して話したらどうか」とテレビで発言し、それに検察が怒ったと批判している。しかしリークが事実だとすれば、国家公務員法(守秘義務)違反である。検事総長が違法行為をやっているとテレビで名指しするなら、その根拠を示すのが当然だが、上杉氏は具体的な証拠を何も示していない。これでは名誉毀損で訴えられてもしかたがない。

 たしかに政治資金規正法違反という微罪で逮捕するのは異例だが、検察がもっと大きな容疑事実をつかんでいる可能性もあり、起訴するまでは何ともいえない。一般的には検察の捜査は非常に慎重で、ほとんどの政治家のスキャンダルは見逃されてしまう。今回のように物的証拠のあがる事件は珍しいので、彼らが政治的なリスク覚悟で捜査することを非難するいわれはない。

 捜査手法とリークは別の問題だ。結果として検事しか知りえない情報が漏洩していることは事実だが、それは彼らが積極的に情報を教えている証拠にはならない。事件報道では、事情聴取を受けた人や周辺の取材で情報を固め、「こういう情報があるがどうか」と捜査官に「当てて」反応をみて裏を取るのが基本だ。捜査官も本当の捜査上の秘密は教えてくれないし、「きょうにも家宅捜索へ」といった「前打ち」は証拠隠滅のおそれがあるのできらう。無理にやると、出入り禁止を食らうこともある。

 検事と記者の間にはこうした緊張関係があり、司法クラブに所属しているからといって検事がホイホイと情報をくれるわけではない。記者の側から情報を提供することも多く、何も情報をもっていない記者は捜査官も相手にしない。今回のような大事件になると、記者は検事に1日中「ベタ張り」するので、一方的にリークするというよりおのずから「情報共有」されるというのが実態に近い。

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