ユーティリティでのオーバークロック
GA-MA785G-UD3Hには、オーバークロックユーティリティ「EasyTune6」が付属しており、再起動せずにオーバークロックを行なえる。EasyTune6では、「Tune」タブを開くことで、オーバークロックに関する設定ができる。EasyモードとAdvanceモードの2つのモードがあり、Easyモードではベースクロックの変更しかできないが、Advanceモードではクロック倍率やCPU電圧、メモリ電圧などの設定が可能だ。さらに、無効にされているコアを有効にする「Core Boost」機能も用意されている。
Easyモードでは、自動オーバークロック機能の「Easy Boost」を利用できる。Easy Boostを試してみたところ、ベースクロックを順次変えながら安定性のチェックを行なうため、再起動するまでにかなり長い時間(数十分程度)がかかった。最終的にハングアップしてしまったが、再起動したところ、ベースクロックが240MHzに設定されており、正常にWindows 7が起動した。手動での限界がベースクロック243MHzだったので、かなり限界に近いところまでオーバークロックされたといえる。そういった意味ではなかなか優秀な自動オーバークロック機能だ。
Phenom II X4 965 Black Editionオーバークロックのまとめ
ここでは、3種類のマザーボードを利用して、Phenom II X4 965 Black Editionのオーバークロックを行なったが、マザーボードによって安定動作可能なベースクロックの上限には違いがあった。
M4A785TD-V EVOは最大230MHz、785GM-E65は最大233MHz、GA-MA785G-UD3Hでは最大243MHzまでベースクロックを上げても、ベンチマークテストが完走した。前述したように、GA-MA785G-UD3HのみDDR2環境であるため、メモリ環境の差も影響しているのであろうが、GA-MA785G-UD3Hは、電圧を変更せずに20%以上のオーバークロックが可能であり、なかなか優秀だ。
Core i5-750が定格の1.5倍以上のクロックで動作していたのと比較すると、Phenom II X4 965 Black Editionのオーバークロック耐性は見劣りしてしまうが、昔からIntel製CPUのほうが、AMD製CPUに比べてオーバークロック耐性が高い(マージンが大きい)ことが多い。BIOS上での自動オーバークロック機能は、M4A785TD-Vと785GM-E65が備えていたが、前者の自動オーバークロック機能は、あらかじめ決まっているパーセンテージだけベースクロックを上げるというもので、あまりインテリジェントはない。後者の自動オーバークロック機能は、インテリジェントにベースクロックを上げていくようだが、逆に上げすぎてしまい、Windowsが起動しなくなってしまったので、信頼はできない。
Windows上で動作するオーバークロックユーティリティについては、3製品とも設定可能な項目についてはあまり差がなかった。ユーティリティでの自動オーバークロック機能を備えていたのは、GA-MA785G-UD3Hのみだが、このEasy Boost機能は、手動での限界にかなり近いところまでベースクロックを上げており(ハングアップ後、再起動する必要はあったが)、自動オーバークロック機能としては優れているといえる。
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