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もはやサービス統合しても遅くならない!

UCもWLANも統合!可能性の塊「Cisco ISR G2」を探る

2009年12月14日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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シスコシステムズ(以下、シスコ)の最新ブランチルーターの「Cisco ISR G2(Generation 2)」(以下、ISR G2)の真価はもはやルーターとカテゴライズできないマルチサービスへの対応にある。シスコのISR担当のお二方に、ISR G2の位置づけや改良点について聞いてみた。

インターフェイスやサービスを
統合し続けてきたシスコルーター

 10月22日に発表されたCisco ISR G2(関連記事「Cisco ISR G2がマルチサービス革命を起こす」)は、幅広くビジネスを手がけるシスコのまさに本丸ともいえるルーターの新製品だ。従来に比べて圧倒的に強化されたパフォーマンスに焦点が行きがちだが、やはりISR(Integrated Services Router)の名前のとおり、さまざまなインターフェイスやサービスを統合できる拡張性の高さが最大の売りである

シスコシステムズ合同会社 テクニカルデベロップメント プロダクトマネジメント プロダクトマネージャ 本田豊氏

 本田氏は「ISRは、ブランチと呼ばれる支社や営業所などに置かれることを想定しています。こうしたブランチに複数のアプライアンスを設置すると場所も取りますし、管理も面倒です。電力消費の問題もありますし、なにより障害が起こったときの切り分けが大変ですよね。そのため、コンパクトな筐体に複数のインターフェイスやサービスを統合しようという発想になり、ISRが生まれました」とISR登場の背景をこう説明する。

 ご存じのとおり、こうした統合化の試みは、ISRの名前を冠する以前から行なわれていた。異なるインターフェイスを交換可能なモジュールとして提供していたため、シスコのルーターは単一のハードウェアプラットフォームを長い期間利用できるという利点があった。また、シスコルーターのゴーストともいえるソフトウェア「Cisco IOS」をアップグレードすることで、さまざまな機能を後から追加することが可能だ。これにより、シンプルなルーティングに加え、セキュリティやトラフィック管理、冗長化プロトコル、音声関連の機能などがサポートされ、1つの製品にさまざまな役割を持たせることができたのである。

 そして、2004年に発表された前バージョンのCisco ISR(いわゆるISR G1)では、さらに多くのインターフェイスやサービスがサポートされるようになる。たとえば、無線LANコントローラやトラフィック監視、WANの高速化など、異なるネットワークインターフェイスや複数のサービスを、単一のハードウェアにまとめて載せられるようになった。ここまで来ると、もはやルーターという単機能装置の名前で呼ぶのはやや違和感が出てくる。さらにISR G1の最後の方では、シスコ製のものに限らず、サードパーティのサービスを搭載できるAXP(Application Extension Platform)という実行環境まで搭載されるようになったわけだ。

アプライアンスの集合体からサービス統合型ルーターの登場。さらにはサービスの仮想化を見越したISR G2へ

 ここまで見てきたとおり、Cisco ISRは前バージョンにおいても、かなりの進化を遂げてきたことがわかる。しかし、複数のサービスを統合するにはやはりプロセッサーのパワーが必要になる。また、WAN回線の高速化が進んだことで、ギガビットへの対応はいよいよ待ったなしとなってきた。さらに、マルチサービスの展開を考えると、仮想化への対応も盛り込む必要が出てきた。こうしたいくつもの課題を解決するため、ハードウェアプラットフォームを一新したのが、ISR G2といえるだろう。

パフォーマンス拡張やインターフェイスやモジュールの強化など、ISR G2の特徴を一望できるスライド

(次ページ、ビデオ時代でも大丈夫!余裕のあるハードウェア)


 

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