430HXでノースブリッジ+サウスブリッジの
2チップ構成が標準的に
この430FXの後継となるのが、1996年2月に登場した「430HX」と「430VX」である。430HXはハイエンド向けで、デュアルCPUをサポートしたほか、ついに2チップ構成(82430HX+87371SB)になった初めての製品である。機能としてはデュアルCPU対応のほかに、サウスブリッジ「87371SB」がPIIX3になり、USB 1.1ポート×2を搭載したあたりが大きな違いであろうか。
430VXは430FXをやや低価格向けとしたもので、メモリーとしてSDRAMをはじめてサポートしたほか、「UMA」(Unified Memory Architecture、メインメモリーをビデオメモリーとして使う機能)を備えるといった特徴があったが、当時はまだSDRAMの価格が高く、またUMAに対応したグラフィックスカードもほとんどなかったため、あまり使われなかったと記憶している。実際この当時は、430HXを使った製品が大半であった。
これに続き、1997年2月に登場した「430TX」が、インテルのSocket 5/7向けとしては最後の製品となる。こちらは430HXの系統を汲んだ2チップ構成で、サウスブリッジがUltra DMA/33をサポートした「82371AB」(PIIX4)になったほか、SDRAMのアクセス高速化などが図られている。
またこの製品は、オーバークロック動作にも強く、100MHz動作はメモリーが間に合わないケースが多かったが、75~83.3MHzあたりまでFSBを高速化するオプションを、普通のマザーボードでも搭載していた。それもあって、430TXを使った製品はSocket 7の末期まで生き延びていた。
Pentium Proに合わせて450GX/KXを投入
Socket 5/7を使ったラインナップが2000年手前あたりまで販売されていた一方で、インテルは1995年にまったく新しいCPU「Pentium Pro」を導入する。登場当初のチップセットは、サーバー向けの「450GX」と、ワークステーション/デスクトップ向けの「450KX」の2製品だった。
450GXは完全にサーバー用途向けで、最大4プロセッサー構成が可能だったり、PCIを2系統持つといった重厚な構成だったので、サーバー用途以外ではほとんど利用されていない。メインストリーム向けである450KXは、広く使われることになった。
しかし、この当時Pentium Proを使う用途は32bitプログラムを高速に処理する場合に限られており、中枢が16bitだった「Windows 95」ではむしろ性能が落ちたこと、あるいはPentiumベースの構成に比べて高価だったことなどが災いし、通常のデスクトップパソコン向けとしてもあまり使われなかった。
そうは言っても、インテルは次世代CPUとしてPentium Proに力を入れていたこともあり、翌1996年には若干改良を施した「440FX」をリリースする。450KXが4チップ構成だったのに比べて、440FXは3チップ構成となったほか、サウスブリッジが先述の87371SB(PIIX3)に変わった。
機能面で変わったところでは、メインメモリーにFast Page DRAMとEDO DRAMのほか、Burst EDO DRAMのサポートが追加された点がある。だが、これが主流になる前にSDRAMが出てきたこともあり、440FXのみのサポートとなっている。インテルはPentium Proに代えて、SECCカートリッジ形状の「Pentium II」を1997年5月に投入するが、当初はこの440FXでサポートする予定だった。
これに続くのが「440LX」である。430TX同様の完全な2チップ構成となり、サウスブリッジも430TX同様に、PIIX4をサポートする。さらにSDRAMのサポート、インテルとしては初めての「AGP」インターフェースをサポートするなど、機能的に見るべきものは多い製品だった。
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