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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第26回

486時代から現在まで チップセットとベンダーの歴史

2009年11月09日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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CPUソケット別のチップセット製品展開

CPUソケット別のチップセット製品展開

自社独自のV4バスに集約したVIA

 最後にAMDとVIAについて触れよう。VIAは当初、Socket 370を使ってC3プロセッサーをリリースしていたが、インテルとの訴訟の和解条項に従って将来的に使えなくなることが確定したため、2005年より独自のVIA V4バスに移行した。当然チップセットもV4バスをサポートしたものがVIAから提供されている。

 もっともVIA V4バスは、ほとんどP4バスと同じ(差はごくわずか)なのだそうで、実際チップセットも当初は両対応となっていた。流石にこれをサポートする他のチップセットベンダーはないので、VIAのみがチップセットを提供している状況となっている。


ATI買収でチップセットも強化したAMD
市場規模は小さく他ベンダーは苦しい立場に

 最後にAMDである。Super 7の時点では、VIA/SiS/ALiが主要ベンダーだった。AMDも「AMD 640」なるチップセットを提供していたものの、中身はVIAという状況で、チップセットそのものはチップセットベンダー任せだった。ところがAthlonの立ち上げ時期に、インテルがチップセットベンダーに猛烈な圧力をかけた結果、これらベンダーのチップセットの供給はかなり遅れる事になってしまった。

 これを受けて、Athlon用のSlot Aの立ち上げ時期には、AMDが自身で「AMD 750」チップセットを供給。当初のAthlon用マザーボードは、ほぼすべてがこれを利用していた。これに続いて、各チップセットベンダーも次第にチップセットを投入する。さらに、Slot AからSocket Aに変更された2000年には、NVIDIAという強力なベンダーが参入する。

Socket A対応マザーボードの例

Socket A対応マザーボードの例。チップセットはNVIDIAのnForce 2

 元々NVIDIAは、初代Xboxの開発の際にグラフィックのみならずチップセットも供給していた(CPUはインテルのPentium IIIベース)。この技術をそのまま生かしてパソコン向けチップセットに参入したかったようだが、インテルからのライセンス供与が行なわれず(これに関しては諸説あるがここでは触れない)、やむをえずAMD向けに参入した形だ。また翌2001年には、ATIもAMD向けチップセットに参入する。

 2003年にはAthlon 64ファミリーが投入され、チップセットベンダーはいずれも、これに対応した製品を投入する。パッケージ的にはSocket 754Socket 940(のちにSocket 939)があるが、チップセットから見ればほぼ同一で、すべてのベンダーが両プラットフォームに対応した製品をリリースしている。2005年にはULiのチップセットの供給が終わり、2006年にはATIがAMDに買収されたが、AMD向けチップセットは引き続き供給されている。

Athlon 64時代の主力ソケットだったSocket 939

Athlon 64時代の主力ソケットだったSocket 939

 元々Athlon 64向けの場合、当初は「AMD 8000」シリーズと呼ばれるチップセットがAMDから供給されていたが、チップセット各社からの製品が充実してきた2004年あたりで、事実上終了していた。ところがATIの買収を受け、ATIのチップセット製品をAMDが再び販売する形になった。

 その後2007年には、パッケージがSocket AM2となり、CPUとチップセットを結ぶHyperTransport Linkの速度なども若干変わったが、基本的にはAMD/NVIDIA/VIA/SiSの4社がチップセットの供給を続けている。しかし、インテルに比べるとCPUの絶対的な出荷数量が少ないこともあり、AMD向けの製品を展開しても、出荷できる製品数量はそれほど多くない。

Socket AM2の例

Socket AM2の例

 結果として、自社プラットフォームに注力するVIAはAMD向け新製品の投入を2007年で事実上ストップしており、SiSも旧来の製品をそのまま販売するだけ。NVIDIAは引き続き製品を投入しているが、インテル向けほどのアドバンテージがない事もあり、やや尻すぼみになりつつある傾向を見せている。インテルチップセットの場合、グラフィック性能がお話にならないので、NVIDIAのGPU統合チップセットはインテル製を圧倒する性能で差別化できる。しかしAMDの場合、ATIのGPUが同等の性能なので、ここでの差別化が難しいためだ。

 次回からはもう少し細かく各社の製品ロードマップを追って見たい。

今回のまとめ

・i486時代は数多くのベンダーがあったチップセット市場だが、PentiumとPCIの登場でチップセットの設計難易度が上がり、残ったのは4社程度となった。

・インテルはPentium II世代のP6バス以降、ライバルのチップセットベンダーに対して、バスプロトコルのライセンス供給を制限しはじめた。一方、AMDがインテルと異なるバスを採用したため、チップセットはインテルとAMDで完全に分かれることになる。

・法廷闘争やGPUベンダーによるチップセットベンダーの買収などで、Pentium 4の時代にチップセットベンダーの顔ぶれは激変する。新たにNVIDIAが登場し、AMDはATIを買収してチップセットも手に入れた。

・VIAは他社CPUのサポートをあきらめ、自社CPU対応のチップセットに注力している。一方のAMDには、AMD自身に加えてSiSやNVIDIAがチップセットを供給している。しかし市場規模やAMD製品との差別化の難しさという問題を抱えている。

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