P6でバスのライセンスに方針転換したインテル
互換メーカーはP6とSuper 7の両対応に
Pentium第2世代のP54Cは、当初Socket 5というCPUソケット形状をしていたが、後に電圧制御ピンを2本追加したSocket 7に進化する。ソケットそのものの大きさは同じで、事実Socket 7のマザーボードにSocket 5のCPUを装着できたから、両者の違いはそれほど大きくないとも言える。
両者の機能面での違いとしては、Socket 5ではCPUに対して単一電圧しか供給できなかったのに対して、Socket 7ではこれを可変できるようになった点が挙げられる。この改良により、その後登場する製造プロセスの微細化によって高性能化したCPUでも、供給電圧を下げることで対応できたことは非常に大きい。
この当時、インテルに続いてAMDやCyrix、IDTなどが、このSocket 7互換のCPUをリリースした。当然チップセットベンダーもこれに追従する。ところが、インテルは自社のCPUの売れ行きが落ちることを嫌って、Pentium IIでCPUソケットを、Slot 1と呼ばれるP6バスに変更する。そしてバスプロトコルをライセンスで保護する形をとり、互換CPUベンダーにはライセンスを供給しなかった。
P6バスを使えない互換CPUベンダーは、Socket 7をそのまま周波数を100MHzまで引き上げたSuper 7と呼ばれる規格を制定。インテル以外のベンダーはいずれも、このSuper 7対応チップセットをリリースする。またこれとは別に、チップセットベンダーはP6バスのライセンスを受けて、Slot 1互換のチップセットもリリースした。こうしてインテル用とそのほか、という形で2種類のチップセットのマーケットができることになる。
この流れは、その後AMDがAthlonでSlot Aと呼ばれる新しいバスをリリースしたことで、決定的になる。こちらは機械的形状こそSlot 1と同じ(上下が逆)だったが、バスプロトコルそのものは旧DEC社がAlpha CPU用に策定したAlpha EV6と呼ばれるプロトコルを採用しており、P6バスとはまったく異なるものとなった。ちなみにCyrixとIDTはその後VIA Technologyに買収されてしまい(関連記事)、AMDもK6ファミリーに代えてAthlonに力を入れるようになった結果、Super 7のマーケットは2000年あたりには事実上消滅している。
Pentium 4で新たにSocket 423/478時代に
話を再びインテルに戻す。インテルはその後、Slot 1をSocket 370に変更する。これは機械的変更であって、電気的にはSlot 1と同一であった。その後Socket 370は一度電気的変更も行なわれるが、それより大きかったのはAMD Athlonとの性能競争で、一時的にせよPentiumIIIが遅れをとったことだ。これを補うべく、2000年にインテルはPentium 4を投入する。
このPentium 4、当初は423ピンの大きなパッケージ(Socket 423)で、バスプロトコルはP4バスと呼ばれた。翌年にPentium 4は、478ピンの小型パッケージに変更される。このSocket 478は2001年末に登場し、Prescottコアが登場する2004年までの主力パッケージとなる。
この間当然インテルだけでなく、VIAやSiS、ALiはこのSocket 423/478向けチップセットをリリースする。これに加えて2001年には、GPUメーカーだったATI Technologyが、自社GPUを統合したチップセットをリリースして市場に参入する。
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