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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第89回

テクノラティ撤退が示す「ブログ1.0」の終わり

2009年10月21日 16時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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Twitterがブログを駆逐する?

 テクノラティが日本から撤退する。アメリカの本社は営業を続けるので、テクノラティのサービスがなくなるわけではないが、同社のブログ検索サービスは、ヤフーやグーグルも提供するようになり、独自性を打ち出せないまま縮小の道を選ばざるをえなかったようだ。

テクノラティのサイト

ブログの記事がすぐに検索結果に反映されたテクノラティのサービスは、登場当時は大きな衝撃だった

 テクノラティは、「ウェブログ」のちに略して「ブログ」という新しい個人メディアが注目され始めた2003年に設立された。ブログのフィード(配信情報)を集めることによって、従来の検索エンジンのようにロボットでたぐっていくのではなく、ブログ側から情報が提供されてリアルタイムに検索できるウェブサイトとして、一時はブログ界の中心だった。ブログへのアクセスではなく、そのリンク数(オーソリティ)でランクづけするランキングも、ブログの評価に影響を与えた(私のブログも国内12位にランクされている)。

 ただ、こうしたリアルタイム検索やランキングは、今では他の検索サイトでも提供されている。またブログの数が増えるにしたがってノイズが増え、情報をブログから検索する意味がほとんどなくなった。むしろヤフーには「ブログを除いて検索する」というオプションがあるほどだ。さらに大きいのは、Twitterによってブログよりリアルタイム性の高い検索が可能になったことだろう。たとえば「加藤和彦が自殺した」といったニュースは、誰かがTwitterでつぶやくと、ブログで記事を書くより速く瞬時に広がる。

 もちろん、わずか140字のTwitterがブログに全面的に取って代わるとは考えられない。しかし今や情報としての価値のほとんどないブログは、2ちゃんねると同じ道をたどろうとしているように見える。コメントの「炎上」などのトラブルを恐れる人はSNSに移った。日本のブログは1690万あると総務省は発表したが、スパムブログや死んだブログを除いた数は200万~300万程度だといわれ、最近ほとんど増えていない。いわばブログ1.0の時代が終わろうとしているのだ。

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