CULVの魅力を最大限に味わうならC/E70がお勧め!
CULVの特徴の1つは、その名の通り「超低電圧版のCPUを使っている」という点にある。これまでこの種のCPUは、本格的なモバイルノートにのみ利用されてきたが、それらの製品は軽さや小ささにこだわったものであるだけに、CULVほど安くない。
富士通のショッピングサイト「富士通WEB MART」での販売価格は、今回試用した上位機種のC/E70で10万4800円、下位機種のC/E50で8万4800円。さらにWEB MARTで発行されるクーポンを使えばそれぞれ9万4320円、7万6320円になる(10月22日現在)。「CULVのコンセプト」を忠実に守った製品だから、一般的なモバイルノートよりもかなり安い。
一般的なモバイルノートとの差額がどこに出ているかというと、それは「重量」だ。「FMV-BIBLO LOOX C/E70」の重量は約1.6kgと、少々重めである。だが、持ち運べないほど重いわけではない。むしろ、バッテリー持続時間を思えば、「価格の割にかなりがんばっている」といっていい。
C/E70のバッテリー稼働時間は、カタログ値で約9.2時間(JEITA 1.0値)。C/E50でも、約6.2時間だ。この違いはどこに出ているのだろう?
答えを言ってしまえば、「FMV-BIBLO LOOX C/E70」と「C/E50」のバッテリー持続時間の差は、ほぼそのままCPUの省電力性能の差である。ノートパソコンにおけるバッテリー持続時間は、おおむねCPUやディスプレー、周辺回路といった部分の「省電力性」と、搭載しているバッテリーの「容量」で決まる。バッテリーについては、C/E70もC/E50も、11.1V・5200mAhと、同じ容量のものが搭載されている。これは、同クラスのモバイルノートとしてはかなり大きめなもの。だが、省電力性能にこだわったインテル® Core™ 2 Duo プロセッサーに比べ、インテル® Celeron® プロセッサーは省電力機能がカットされており、バッテリー持続時間が短くなっている。
筆者はCULVの魅力は、バッテリー持続時間の長さにあると思っている。これまでは高価なモバイルノートしか持ち得なかった長時間のバッテリー駆動を、低価格の製品で得られることが、他のジャンルのノートパソコンとの大きな違いといっていい。そう考えると、やはりお勧めは超低電圧版 インテル® Core™ 2 Duo プロセッサー SU9400搭載のC/E70だ。
ほぼ同じ仕様でバッテリー持続時間が3時間近くも違い、動作速度もインテル® Core™ 2 Duo プロセッサーの方が大幅に速い。超低電圧版 インテル® Celeron® プロセッサー SU2300はキャッシュが1MBだが、超低電圧版 インテル® Core™ 2 Duo プロセッサー SU9400は3MBあるためだ。価格差以上のメリットがある。
とはいえ、「FMV-BIBLO LOOX C/E50」でも6.2時間動作するというのは心強い。下位機種ではバッテリー容量を減らすメーカーもあるが、C/E50もC/E70と同じ容量のバッテリーが搭載されているため、それなりに長い時間、バッテリーでパソコンが使える。
LOOXシリーズならではの内蔵ソフトも魅力
ノートパソコンの省電力性能を生かすには、利用していないデバイスの電源をこまめに切るといった、適切な「設定」が必要になる。「FMV-BIBLO LOOX C」シリーズには、これまでのFMV-BIBLO LOOXシリーズで培われたソフトがそのまま搭載されている。特に省電力ユーティリティーは、設定項目もシンプルでわかりやすい。
また、光学ドライブの搭載されていない「FMV-BIBLO LOOX C」シリーズらしい工夫が「DVDドライブ共有機能クライアント」というソフトだ。これは、LAN上にある他のPCに搭載されている光学ドライブを共有し、ソフトのインストールなどを簡単に行えるようにするもの。LANやネットワークドライブの設定に関する知識がなくても、これならば困ることはない。
このようなソフトが入っている理由は、CULVのニーズが「2台目のパソコン」にある、ということを、富士通が良く理解しているためだろう。もう、多くの家庭にパソコンはある。だが、パソコンを生活の中で活用するようになればなるほど、「どこでもパソコンが使いたい」「自分のパソコンが欲しい」という要求が高まる。
これまで、そういったニーズを満たしていたのはネットブックだった。だがCULVは、ネットブックでは満たせないニーズを、リーズナブルなコストで満たせる。古いPCからはもちろん、ネットブックに不満を感じている人たちが買い替えを考えるのに最適な機種だろう。
単なる「性能の高いネットブック」でもなく、「単なる安いノートパソコン」でもない。人々がCULVと、その価格帯に求めているニーズのスイートスポットに入っていることが、「FMV-BIBLO LOOX C」シリーズの最大の魅力といっていいだろう。