新ジャンルのモバイルノートとして、各社が新製品を投入している、「CULVノート」と呼ばれる低価格モバイルノート。「ネットブック」と比較したとき、そのメリット・デメリットはどこにあるのか。この秋に登場したWindows 7搭載CULVノートを取り上げ、ネットブックとの違いと特徴を探る。
「モバイルノート」と「ネットブック」の
曖昧な境界線
「携帯性に優れるが、価格は15~20万円と高価」。そんなイメージのあったモバイルノートのジャンルに一石を投じたのが「ネットブック」だ。コンパクトで軽量、そしてなにより実売価格が5万円前後という低価格なネットブックは、2007年にASUSTeKが「Eee PC」を発売して以来、人気を高めてきた。
しかし低価格化と引き換えに、10型前後という小さめの画面を搭載し、Atomプロセッサーの低い処理能力に制約されるのも、ネットブックの特徴である。ネットブックは、サブマシンとしては活躍するものの、メインマシンとして使うには荷が重い。メールの読み書きやウェブをチェックしたりするといった、「軽い」使い方に利用するという、ある種の割り切りが必要となる。
実際、安さに惹かれて購入してみたものの、動画の再生やOffice文書の編集といった、一般的なパソコンでは普通に処理できることがままならず、ネットブックに失望してしまったというユーザーも少なからずいるようだ。
そんな中、各メーカーから続々登場しているのが「CULVノート」である。
ネットブックより速く、B5モバイルより安く
新ジャンルを作る「CULVノート」とは?
CULVノートとは、CPUにインテル製の超低電圧版(ULV)Core 2/Celeronプロセッサーの低価格品を採用するノートパソコンのこと。一般消費者(Consumer)向けノートに低価格で提供されるULV CPUということで「CULV」との通称で呼ばれ、それを搭載するノートパソコンは「CULVノート」というわけだ。ちなみに東芝は、CULVノートの同社製品を「ネットノート」と呼称している。定着するだろうか?
余談になるが、CULV版のCore 2 Duo SU9400(1.40GHz)の価格(1000個受注時の1個あたり)は262ドル(約2万3580円)。たいしてA4ノートで採用事例の多い、通常電圧版のCore 2 Duo P8700(2.53GHz)の価格は209ドル(約1万8810円)と、額面で見るとCPU自体はそれほど安いわけではない(価格はいずれも10月18日時点のインテルによる価格表より)。「CULV版登場以前のULV版CPUと比べて安価」ということだ。
CULVプロセッサーは、消費電力も低い(TDPで10W)という特徴がある。そのため、CULVノートは薄型設計が可能で、価格も抑えられる。多くのCULVノートは光学ドライブを持たない「1スピンドル」タイプとして設計されていて、いわば「ネットブックの格上のモバイルノート」として、製品ラインナップに加わっている。性能的にはネットブックよりも上で、価格は10万円前後。ネットブックと従来のモバイルノートパソコンの中間に位置するジャンルの製品といえるだろう。
各社がWindows 7搭載PCとして発表した新製品中にも、いくつかのCULVノートが登場している。以下に主な製品を紹介しよう。
LaVie Mシリーズ
メーカー:NEC
OS:Windows 7 Home Premium
予想実売価格:12万5000円前後
コンパクトながら13.3型ワイドディスプレーを搭載し、A4ノートの使いやすさと、モバイルの可搬性を両立したCULVノート。
dynabook MXシリーズ
メーカー:東芝
OS:Windows 7 Home Premium
予想実売価格:12万円前後(MX/43)、9万円前後(MX/33)
Core 2 Duo SU9400と13.3型ワイドディスプレーを備える「MX/43」(左)と、Celeron 743と11.6型ワイドの「MX/33」をラインナップ。
FMV-BIBLO LOOX Cシリーズ
メーカー:富士通
OS:Windows 7 Home Premium
予想実売価格:8万5000円前後
CPUにCore 2 Duo SU9400とCeleron SU2300を採用した2モデルがラインナップ。ディスプレーサイズは11.6型ワイド。
HP Pavilion Notebook PC dm1、dm3i
メーカー:日本ヒューレット・パッカード
OS:Windows 7 Home Premium
予想実売価格:12万円前後(MX/43)、9万円前後(MX/33)
11.6型ワイドディスプレーの「dm1」(左)と、13.3型ワイドディスプレーの「dm3i」。どちらもCPUにCeleron SU2300を採用。dm3はほかにCore2 Duo SP9300や、AthlonNeo X2 L335(こちらは直販のみ)を搭載したモデルもラインナップする。
Acer Aspire Timeline AS1410、AS3810
メーカー:日本エイサー
OS:Windows 7 Home Premium
予想実売価格:6万円前後(AS1410)
2009年6月に投入されたCULVノートの先駆けともいえるAspire Timelineシリーズの「Timeline AS1410」(左)と、初代のマイナーバージョンアップ「Timeline AS3810」。
低価格で可搬性のあるノートパソコンを手に入れたいとすれば、ネットブックかCULVノートかのいずれかを選択することとなる。それでは、実際にネットブックの「dynabook UX」とCULVノート「dynabook MX」をいろいろな角度から検証してみよう。なお、試用機材はいずれも試作機のため、ベンチマークテストでの比較は行なっていないことをご容赦いただきたい。なお、dynabook MXの詳細はこちらの記事を、dynabook UXについてはこちらの記事を参照のこと。
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