撮影編 釣り人の気持ちで写るまでひたすら粘る
雷撮影を行う場合、必ず身の安全を確保できる場所で撮影すること。ビルの屋上やグラウンド、河原などで撮影するのは、大変危険だ。広い視界を得られる安全な展望台やマンションの屋内から撮影することを強くおすすめする。屋内なら機材が風雨にさらされることもない。
雷雲の状況は、目視と「雨量・雷観測情報」などのネット情報で判断する。ただしネット情報は最短でも数分前の情報のため、現状と異なっている場合もある。雷が近辺で光っているようなら、カメラを三脚に固定しその方角に向ける。広角ズームレンズはワイド端(広角側)に設定し、画角を広くして雷が写る確率を高める。ピントは無限遠に設定する。
露出はマニュアルモードを利用する。日中はNDフィルターを使い減光して露出オーバーを防ぐ。ND400+ND8フィルター組み合わせの時、ISO100ではF13でシャッター速度10秒、ISO200がF18で同10秒くらいとなる。ただし空の明るさなどで適切な露出設定は変化するので、必ず直前に試写して適切な露出を自分で割り出しておく。
夜間の撮影の場合は、街明かりなどの状況で変わるがND8で十分だ。ND8使用時、ISO100がF7.1でシャッター速度10秒、ISO200がF13で同10秒くらいを目安にする。もちろん試写は必須だ。
NDフィルターが無い場合、絞りをF22以上にするという方法もある。ただし、あまり絞り込むと小絞りボケ(絞り込みすぎによる画像のシャープさの低下)の発生や、室内撮影の場合には窓ガラスのよごれや雨滴、カメラ本体の撮像素子についているホコリまでが写り込むことがある。
「ホワイトバランス」はオート、「ピクチャースタイル」はスタンダードで良い。もちろん作品作りということで、意図するものがある場合にはお好みの設定で。
屋内で撮影する場合は、室内照明がガラスに映り込むことがあるので、室内の照明は消す。消灯できない場合は、レンズと窓ガラスをぴったりくっつけて余計な反射光が入らないようにする。また、黒い布でレンズと窓ガラスの間をそれで覆うとよい。なお、屋内展望台によっては「三脚禁止」の場所もある。指示に従い、気持ちよく撮影したい。
雷の写真は、すぐに撮れるとは限らない。大物狙いの釣り人のように、撮れるまで粘ることが重要だ。