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さまざまなIEEE802.11nオプションに対応するテストも用意

9月に標準化!IEEE802.11nの認定プログラムはどうなる?

2009年07月24日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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7月23日、無線LAN(Wi-Fi)の相互接続性を保証するプログラムを提供するWi-Fiアライアンスは、都内で発表会を行なった。ここではおもにWi-Fiの現状、IEEE802.11nに対応した認定プログラム、そして今後の無線LAN技術やアプリケーションについて解説が行なわれた。

5億人が使う技術に成功したWi-Fi

Wi-Fiアライアンスのマーケティングディレクターであるケリー・デイヴィス・フェルナー氏

 冒頭Wi-Fiの最新情報について説明を行なったWi-Fiアライアンスのマーケティングディレクターであるケリー・デイヴィス・フェルナー氏は「Wi-Fiアライアンスは300社を超えるメンバーで構成され、10年に渡って認定プログラムを実施してきました。現在、5億人が無線LANの技術を使っており、20億のチップセットが出荷されています」とこれまでの成長をレポートした。

 この成長の大きな要因となっているのが、IEEE802.11a/b/gを大幅に上回るパフォーマンスと範囲を実現するIEEE802.11nの存在だ。「現在出荷されているチップセットの45パーセントはIEEE802.11nをサポートしている。Wi-Fiアライアンスは2007年6月からIEEE802.11n Draft 2.0 プログラムを開始し、相互接続性を保証してきました」(フェルナー氏)とのことだ。現在、650を超えるIEEE802.11n Draft 2.0製品が登場しており、多くのコンシューマデバイス、エンタープライズ製品などが認定されているという。

 IEEE802.11nはDraft 2.0が長く続いた状態だったが、IEEEは今年の9月に802.11nを最終決定を行なうことを発表している。それに伴いWi-FiアライアンスもDraft 2.0プログラムに若干のアップデートを施し、「Wi-Fi CERTIFIED 802.11n」を提供するという。とはいえ、中核となる要件に変更はないため、既存のDraft 2.0の相互接続性は完全に維持するという。

まもなく正式勧告されるIEEE802.11nは基本的にDraft 2.0と大きな変更なしで、互換性が維持されるという

 また、オプション機能のテストプログラムも提供される。たとえば、伝送効率を向上させるパケットアグリゲーション、STBC(SpaceTime Block Coding)、40MHzチャネルの干渉を避けるための共存策、あるいは3つの空間ストリームをサポートするデバイスなどのテストが用意される予定となっている。

Bluetoothに対抗馬!
Wi-Fiデバイスを直接接続も

 今後のWi-Fiの動向としては、簡単セットアップを実現する「Wi-Fi Protected Setup」が紹介された。Wi-Fi Protected Setupは押しボタン、PIN、NFCなど3つの方法でセットアップを容易にするもので、複雑な操作が難しいコンシューマデバイスに最適な機能。現在、700以上の製品で認定を受けており、2010年にはWi-FIデバイス同士をつなぐアドホックモードにも拡張していく予定とのことだ。

 また、今後1年成長が加速する分野として、携帯端末とWi-Fiについても紹介された。携帯端末とは、おもにスマートフォンを指し、米国ではWi-Fi対応携帯電話ユーザーの77%が高い満足度を表明しているという。Wi-Fi CERTIFIEDは通信事業者の要件となっており、現在375の電話機が認定を受けているという。

 最後に紹介されたのは、Wi-Fiのデバイス間通信についてだ。アクセスポイントを介さないアドホックモードはこれまでも用意されてきたが、これを容易に行なうメカニズムを提供する。今後はカメラから写真を直接プリンタで印刷したり、音楽をワイヤレスで共有するといったアプリケーションを念頭にWi-Fi CERTIFIEDプログラムを構築するという。これも2010年中に登場する予定だ。

アドホックモードを使ったデバイス間通信の認定プログラムも用意される予定

 高速なWi-Fiの規格がBluetoothと同じプロファイルのような仕組みを装備することで、今後はデバイス間の近距離通信の分野で台頭してくるのか? WiMAXやLTEなど長距離ワイヤレス伝送技術との関係はどうなっていくのか? 今後もワイヤレス技術の動向は目が離せない。

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