仕入先との良好な関係がヒット商品を生む
コルクマットは、フローリングの傷や日焼けなどを防止するリフォーム商材のひとつ。1枚が30×30cm四方のもので、部屋のフローリングの一部、あるいは全部に敷いて使用します。コルクマットを扱う決め手はどこにあったのでしょうか。
「2005年10月から販売しましたが、当時、ネットではほとんど売られていませんでした。ポルトガル産の天然コルクで肌触りが抜群によく、品質は確かなものでしたし、『防音対策になる』『夏は涼しく冬は暖かい』など、アピールポイントもたくさんありました」
こうした情報の入手先は、以前からつきあいのある大手量販店や、仕入先で出会ったベンダーやバイヤーたちです。
「密に交流を図ることができる立場なので、売れ筋情報や、今後売れそうな商品情報をいち早く教えてもらえます。こうした“横のつながり”のおかげで、仕入れる商品にハズレが少ないのだと思います」
現在の売上げ構成比は、ハンガー 4:コルクマット 4:その他商品 3。ハンガー以外の商品力も、月商4000万円に大きく貢献しているのが分かります。ハンガーの製造卸専業時代に取引先と培った長年の信頼関係が基盤にあるからこそ、“旬”な商品をタイミングよく提供できる。このことが、『ハンガーのながしお』の大きな武器になっているのです。
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さて次回からは、和食器益子焼販売『~樂raku~』を紹介します。専業主婦が始めたネットショップですが、サイトをブログで構築する、積極的に広告展開を図るなど、今すぐ取り入れたいアイデアがぎっしり詰まっています。
――ネットショップのエキスパートが斬る!――
ストーリーのある商品拡充はリピーター確保に繋がる
事業を立ち上げ始めたばかりの頃は、品揃えよりもむしろ「一点突破」が、新規のお客様にご来店いただく有効な方法。『ハンガーのながしお』であれば、得意なハンガーのみで“とんがったお店”になることが最大のアピール方法になっていたはずです。
しかし、新規のお客様として買っていただいた後は、リピーターになってもらうための「顧客化」の施策を考えなければなりません。ここで、「ハンガーで収納効率がアップしたなら、空いたスペースを整理する整理棚……」という具合に品揃えを行なっていく戦略は、極めて有効なリピーター作りのノウハウです。顧客化の施策を考えず広告を使って新規顧客ばかり狙うと、「市場が成熟した時に広告の効果がなくなって倒産」といったケースに陥りやすい。そんなショップが今後増えるのではないかと危惧しています。
森本繁生:有料会員制協業事業フォーラム「オンラインショップマスターズクラブ」運営。ブログ「森本繁生のEC道」
店主のなかに確固たる軸があることが肝心
テレビ通販などのネットショップを見ても、パソコン、時計、健康器具など、バラバラなジャンルの商品が並んでいることはよくあります。要は、店主にきちんとした運営方針さえあれば、どんなにバラバラに見えてもうまくジャンル分けできるものなんです。
意外に見受けられるのが、主力商品と似たようなジャンルの商材を仕入れているつもりが、いつの間にかジャンルがガタガタになったり、カテゴリが50以上にもなって収拾がつかなくなるケース。これは、『ハンガーのながしお』のように、自分の中で「こうだ!」と思う軸がないせいだと思うんです。
『ハンガーのながしお』は、軸にブレがないだけでなく、たとえばコルクマットの商品ページを見ても、その作りが非常に丁寧なことが特徴です。顧客の声を散りばめ、製造工程やコルクの強度を掲載し、さらには別ページを設けてコルクマットのQ&Aも設けるなどさまざまな工夫が見られます。このあたりもヒットに結びついた大きな要因だと思います。
竹内亮介:株式会社環 取締役。アクセス解析ツールを活用したWebサイトの改善提案、運営から、総合的なWebサイトプロデュースまで担当。