モノを安く買う――それだけがコスト削減ではない。特にオフィスサプライなどの事務用品やIT小物を購入する場合に、入札までする企業はほぼないだろう。たとえば営業所を複数持っている企業であれば、ボールペンやテープなどは、現場任せで購入されているはずだ。そこでは「1円でも安く買え!」という努力が続けられているに違いない。
しかし、“1円でも安く”買うために血眼になる社員が使った時間も、これまたコストだ。直接材では取りざたされる“調達コスト”というものが、オフィスサプライにも微少な単位でかかっていて、それは“1円”以上の損失を生んでいる場合もあるハズだ。
オフィスサプライなどの事務用品やIT小物も、直接材のようにITで管理して調達に関するコストダウンを図るべきである。そして、できれば発注品や取引量にボリュームをもたせ、価格そのものも下げていきたい。今回紹介する大塚商会の「MAたのめーる」は、ITによる発注作業が可能になるASPサービスである。顧客企業ごとに独自のオフィスサプライ(だけではないが)購入サイトが構築されるという、ユニークなものだ。
各種オフィスサプライの
購入実績を“見える化”する
MAたのめーるの利点は、前述したとおり主に2つある。調達コストの低減と、集中購買によるコストダウンの実現である。
まず調達コストに関しては、あらかじめ購入できる品目を絞ってしまえば(その際、価格的にお得なモノだけを陳列しておけばいい)、「選ぶ」というコストや、「買いに行く」というコストから解放される。また、品目を多めにしておきたいという場合は、MAたのめーる内で価格の比較もできるし、後述するように社員向けに「カタログ」機能を使って推奨商品リストを作成しておくことで、迷いをなくす効果も期待できる。
調達可能な商材だが、同社のオフィス向けカタログ/Web通販「たのめーる」が扱うオフィス生活用品、文房具、OAサプライ、PC・ハードウェアといったもののほかに、大塚商会がサプライヤーと連携して実現したワンストップ調達サービス「たのめーるプラス」と組み合わせれば、部材・部品、実験機器、書籍、旅券、食器、医療器具さらには印刷サービスまでと幅広い。
MAたのめーるが調達コスト削減に寄与するのは、発注時だけではない。発注後にも、「どの商品をどれだけ買ったか?」といった明確なデータが残るため、従来は伝票に「ボールペン」「はさみ」といった品目でしか登録されていなかったオフィスサプライが、メーカー名や型番まで「見える化」される利点もある。また、エコロジー区分やグリーン購入法適合といった区分けもダウンロードされるから、エコ購買率の実績も見えてくる。
さらにこうしたデータは、顧客企業の調達システムに渡すことができる。MAたのめーると顧客企業のシステムを連結するには、システム構築をしてもいいし、場合によってはMAたのめーるから購入データをダウンロードして自社のシステムに入力するといった手法も採れる。これによって、製品の原材料のみに関連していた調達システムを、文房具にまで適用できてしまうというわけだ。いずれにせよ、このあたりはITソリューションを数多く手がける大塚商会の得意とするところだろう。
4段階の承認機能で
社内の決済の流れをトレース
企業でモノを買う際は、自ずと上司の承認が必要となってくるが、金額その他によって承認のレベルが違うのが当たり前だ。MAたのめーるでは、こうしたレベルの違いも、1注文あたりの発注金額や、1商品単価への規制といった具合で、3階層/4段階で設定できる。承認者は、メールで通知されたURLにアクセスして承認処理をするといった仕組みだ。
さらに、部署ごとに違う予算金額も、設定可能である。当該部署が設定した予算金額を超える発注をした場合は、警告メッセージのほかに承認対象レベルを引き上げる措置もできる。
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