幕張メッセで来週開催されるInterop Tokyo 2009では、「クラウドを作りたい人を公募する」という「クラウドコンピューティングコンベンション」が開催される。これはどのようなイベントで、なぜ開催されるのか。「Geekなぺーじ」のあきみち氏が、Interop Tokyo 2009 ShowNet NOCチームの方々に話を聞いた。
日本は受け身が多過ぎる!
「クラウド」には外国の大企業が大規模投資を行なって用意したシステムを使うことであるようなイメージがある。多くの話題も「だれかが作ったクラウドをどのように使うか?」であり、「どうやってクラウドを作るか?」という話題は少ない。国内で開催されるクラウド関連コンベンションの多くは、特定のプラットフォームの普及を目的としていることが多く、「○○を使ったクラウドコンピューティングのコンベンション」といった形を取ることが多い。
こうした中、Interop Tokyo 2009ではクラウドを作る「クラウドコンピューティングコンベンション(CCC)」が開催される。なぜ、このようなコンベンションを開催するのだろうか。
まず話を聞いたのが、日本アイ・ビー・エムの織学氏だ。同氏によると「いろいろ議論する過程で、幕張メッセに単にクラウドを作るだけでは仕方がない。これからの技術を担う若者のやる気を刺激するような内容にしたい、という方向で話が進みました」という。どうやら、CCCを開催する目的は若者を刺激することのようである。
また、Interop NOCメンバーである奈良先端科学技術大学院大学の門林雄基氏は、クラウドに関する現在の日本の現状に危機感を抱いているという。
「日本は非常に受け身が多いんですよね。報道で“これからはグリッド”といわれれば飛びつき、“これからはクラウド”といわれれば飛びつく。これでは、日本の業界は終わってしまうと思うんですよ。受け身ではなく、自分で何かを産み出すというサイクルも必要だと思います」とのことである。
門林氏の話は、終わらないようにするためには日本の若者の育成が不可欠であると続く。「それには、やはり若い人がある程度自由に活動できる場を作る必要があると感じていました。今回は、そのような「場」の提供を目指しました」。やはり、今回のコンベンションは若者育成の視点が非常に強いようだ。
ライブでやってなんぼ
続いて、Interop Tokyo 2009の会場である幕張メッセでクラウドを実現するための仕組みを聞いた。「StarBED(会場内の試験用設備)にある1000台のマシンを若者が使えるよう環境を用意しました。ネットワークとしてはJGNと接続し、クラウド本体はStarBEDということになります。ShowNet内で運用されるのはDNSだけです」(織氏)。若者が1000台のマシンを自由に使える環境が用意されるというのは凄いことではないだろうか。
CCCの最終的な結果発表はライブデモとして行なわれる予定である。さらにパネル展示を希望する出場者がいれば、会議棟二階にてパネル展示が行なわれる。
門林氏はライブデモに関して以下のように語る。「本番で動くかどうか、それがすべてであるというか、生存証明というか。ライブデモをやっている最中にシステムが落ちると“おしかったねぇ”という感じですね。手元の実験環境で普通に2、3台だけの場合と、1000台では見るべきところが違って来るんですよね。たとえば、数台でやっているだけでは出てこないバグなどがあります。実際にやって見て、そういうところで焦ってもらうという経験の場を作れるのがよいと考えています」とライブであることを見守りたい考えであるようだ。
若者育成を目指したクラウドイベントは非常に珍しい。ぜひ、毎年継続していただきたいと思う今日この頃である。
筆者紹介:あきみち
「Geekなぺーじ(http://www.geekpage.jp/)」を運営するブロガー。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。最近は通信技術、プログラミング、ネットコミュニティ、熱帯魚などに興味を持っている。Twitter IDはgeekpage(http://twitter.com/geekpage/)。
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