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Interop Tokyo 2009 レポート 第5回

Interop会場を舞台裏で支える「回線」たち

2009年06月11日 05時00分更新

文● あきみち

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昨今、世間ではWebやアプリケーションが強く注目されるため、レイヤ1として分類される物理回線は「舞台裏」として扱われる事が多い。しかし、Interopにおいてはレイヤ1は舞台裏であると同時に主役でもある。今回、幕張メッセに敷設された隠れた主役達を紹介する。

足元を見れば、そこに光の絨毯

 Interopといえば「空中配線」である。毎年、出展社へのShowNetの接続性を提供するネットワークケーブルは蜘蛛の糸のごとく空から振って来るもの。ケーブルを引くために、天井近くにメッセンジャワイヤというワイヤを張り巡らせ、そのワイヤから各種ケーブルを下ろす形での提供だった。

空中配線が無い深夜の会場

 しかし、今年はこのメッセンジャワイヤが廃止され、すべてのケーブルは地下からの供給になる。昨年のInteropにおいて、慶應義塾大学 村井純教授が「すべての通信機能を光で実現するフォトニック・ネットワークが進化しており、東京には『光ファイバの絨毯』ができる」という基調講演を行なった。床に光ファイバケーブルを敷き詰めた今年のShowNetは、まさにこれを実現したものである。

 こうしたケーブルを可視化するため、会場内数カ所に床下配線が見えるようなシースルー処理が施されている。気がつかないと何気なく通り過ぎてしまうが、これも「舞台裏(というか床下?)の注目展示」ともいえる。ちょっと覗いてみてはいかがだろうか?

NOC前の床下シースルー

NOC前の床下シースルー

会場内の床下シースルー

会場内の床下シースルー

離れた会場とは無線で接続

 幕張メッセとIMC Tokyoコンファレンス会場があるアパホテルは道路で隔たれており、光ファイバによる物理的な接続回線が存在しない。そこで、アパホテルへの接続性を高めるために、幕張メッセ国際会議棟屋上とアパホテルでは無線技術が利用されている

 利用されているのは、60GHzミリ波無線機の「HXI Terabeam Gigalink 6451eJ」である。このTerabeamは、無線でありながら1.25Gbpsもの高速通信が可能。理想的な条件下での最大到達距離は770mにも及ぶ。

奥の丸い機器がTerabeam、手前がACERA 703

奥の丸い機器がTerabeam、手前がACERA 703

透明な蓋が付いているのがACERA 703本体

透明な蓋が付いているのがACERA 703本体

 もう1つの接続方式として採用されているのが、ご存じIEEE802.11aのリンクである。この回線は「Furuno Systems ACERA 703」と指向性バッチ型の外部アンテナを組み合わせて実現されている。

 ShowNetトポロジ図の赤丸部分が、国際会議棟とアパホテル間の回線を表している。この無線回線部分は一般公開されていないので、トポロジ図からのみ知ることができるが、高速無線通信もShowNetの重要な要素の1つといえる。

国際会議棟から見たアパホテル

国際会議棟から見たアパホテル

ShowNetトポロジ図の赤丸部分が、国際会議棟とアパホテル間の回線を表している

ShowNetトポロジ図の赤丸部分が、国際会議棟とアパホテル間の回線を表している

 光ファイバ、メタルケーブル、ミリ波無線、無線LANなど、さまざまなレイヤ1接続形態が利用されているのが、ShowNetの面白いところでもある。レイヤ2/3が注目されがちではあるが、レイヤ1もInterop ShowNetの主役の一人なので、着目するのも楽しいと思う今日この頃である。

筆者紹介:あきみち

 「Geekなぺーじ(http://www.geekpage.jp/)」を運営するブロガー。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。最近は通信技術、プログラミング、ネットコミュニティ、熱帯魚などに興味を持っている。Twitter IDはgeekpage(http://twitter.com/geekpage/)。


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