6月10日、千葉県幕張メッセで国内最大級のネットワーク関連イベント「Interop Tokyo 2009」が開催された(カンファレンスは8日から開催)。「NGN、データセンター、仮想化、クラウドコンピューティング、次世代ワイヤレス、グリーンICTなど、企業の課題を解決するICTイベント」というやや詰め込み気味なイベントコンセプトだが、果たして展示会場はどうなっているのだろうか?
16年目を迎える老舗イベントの存在意義は?
Interop(インターロップ)は1994年から開催されており、ネットワーク技術に特化したイベントとしては国内で最大級を誇る。米国のラスベガスやインドのムンバイなど、ワールドワイドでも展開しており、ネットワーク機器ベンダーもこのイベントにスケジュールを合わせて新製品を発表するといったことも多い。
また、Interop(=Interopelability:相互接続性)という名前の通り、互換性テストを目的とした巨大なデモネットワーク「ShowNet」がイベントの大きな売り。国内有数のベンダーや技術者が揃って設計や構築、運営までを行なうため、最先端の技術が実際に動作している様を間近で見られる。展示会場でも、普段見られないような馬鹿でかいシャーシ型スイッチや大掛かりなセキュリティ設備を拝める年に1回のお祭りだったのだ。
こうした由緒正しいイベントでありながら、近年イベントの存在意義に疑問が投げかけられ、盛り上がりがやや欠けてきた印象は否めない。この背景にはネットワークがインフラとしてきわめて一般的になり目新しさが欠けてきたこと、参加ベンダーに合わせてセキュリティやアプリケーションなど扱うテーマが増えてきたため、焦点がぼやけてきたことが挙げられる。一方で、商業性や専門性はますます高くなり、ネットワーク技術を学ぼうとする人たちにとっての間口が狭くなったとも感じられた。
適正なサイズに戻った展示会場
そして、今年のInteropが事前にかなり心配されたのも事実だ。実際、100年に1度の不況という経済環境の中、出展を見合わせるベンダーもかなりあったようで、展示会場はかなり縮小。セミナーのみ参加というベンダーも多かったようだ。併催されているDSJ Japan 2009やIMC Tokyo 2009に会場の1/4を割いており、国際展示場の8ホールほとんどを使っていた以前のInteropでは考えられないこじんまりしたイベントになった。
ここまで散々ネガティブな話をしておいてなんだが、実際に行ってみるとイベント自体は濃い内容であった。今流行のクラウドコンピューティングに必須のサーバや仮想化ベンダーの展示があまりない分、Interopはますますネットワークにフォーカスしたプロ向けのイベントとなった印象である。セミナーも企業向けの仮想化関連の話題より、IPv6やNGN、次世代Ethernet、ポストMPLSなど通信事業者やIPS関連の話がメイン。唯一、UQコミュニケーションズのWiMAXがとてもわかりやすいサービスといった感じだった。
展示会場もフタを開けると初日の会場はけっこうな盛り上がりとなっており、ベンダーは「午前中からずいぶんお客さんが熱心に訪れてくれた」と声を揃える。会場をコンパクト化したことで、通路がかなり混雑するようなイメージになったのもあるが、これがネットワーク関連イベントの適正なサイズなのかもしれない。取材するにも、これくらいの規模の方が楽だ。
既報のように、今年のテーマは、IPv4アドレスの枯渇、グリーンIT、仮想化、クラウドコンピューティングといったところだろうか。個人的には、10GbEとトップ・オブ・ラック、見える化、ワイヤレスモバイルなどのキーワードも付け加えておく。また追って詳細にレポートしたい。
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