仮想化環境の管理機能
サーバ仮想化などを行なう場合、仮想化ソフトウェアが持つ仮想マシンだけでなく、これらを管理する機能が必要となる。場合によってはゲストOSの実行をほかのマシンに移したり、ネットワークやファイルシステムとの対応を変更する必要があるからだ。これらの管理機能は、通常仮想化ソフトウェアのオプション製品などとして用意される。
そもそも仮想化では、仮想マシンとゲストOSの状態を仮想マシンイメージとして保存している。これを利用すると、マシン間のマイグレーションや管理が簡単になる(図6)。
実行中の仮想化環境の状態を保存する方法として、ノートPCにある「ハイバネーション(休止状態)」と同じ仕組みを利用している。具体的には、まずCPUやチップセットなどの状態をファイル側に保存する。そして、再度電源をオンにしたときに、CPUやデバイスに書き戻して電源オフ直前の状態を再現しているのだ。
また、この機能を使えばある時点の仮想マシンの状態をそのままバックアップしておき、必要に応じて元に戻すことも可能だ。たとえば、ウイルスに感染したら即座に現在の仮想マシンを停止し、過去に保存した仮想マシンイメージを使って安全な状態に戻すといった具合だ。
ただし、仮想マシンを停止させずにマイグレーションを行なう場合には、ファイルだけでなく実行中の状態を同期させるような仕組みが別途必要になる。
なお、仮想マシン内のアプリケーションが扱うファイルやデータは、ネットワークサーバやSAN(Storage Area Network)に格納したり、外部のデータベースサーバで管理して、あらかじめ仮想マシン自体と分離しておくことが多い。こうするとシステム管理やマイグレーションが容易になる。特にサーバを集約する目的や、クライアントを仮想化する目的であれば、ファイルシステムとの対応に自由度があるほうがよい。
仮想化ソフトウェアは、こうした管理ツールなどを含む、総合的なシステム環境の一部として提供されている場合がある。たとえば、ヴイエムウェアの「VMware Infrastructure」は、仮想化ソフトウェアにリソース管理やマイグレーションなどのさまざまなツールを組み合わせて提供している。
(次ページ、「マイクロソフトのHyper-V」に続く)
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