決勝は爆弾を抱えつつも無事に完走!
4日の月曜日。ゴールデンウィークど真ん中である。早朝から「東名渋滞○○km!」というニュースが飛び込んでくる。もちろん、富士スピードウェイもたくさんのお客さんでごった返していた。予選日から駐車場が開放されていたため、車中泊をした猛者も大勢いたようだ。
見事予選を通過した初音ミクZ4だが、午前中のフリー走行中にトラブルが再燃。エンジン音がバラけているのだ。ここまできて決勝を走れないなんて! そんなスタッフやファンの思いに応えるかのごとく、メカニックの懸命な作業により、トラブルの原因はイグニッションコイルにあることが判明。Studieのお客さんのクルマからイグニッションコイルを借りるという力業で、なんとか決勝グリッドについたのだった。
とにかくハラハラさせられる初音ミクZ4だが、ついにグリッドに並ぶときがやってきた。嘆願書ナシの予選通過で、文字通りスタートラインに立てた。だが実は、マシンの不調は完治しておらず、心臓に爆弾を抱えた状態での決勝レースになってしまった。
いよいよローリングラップが終わり、レーススタート! 一見、何事もないような感じでラップを重ねているものの、明らかにスピードが遅い。ストレートで遅いのは想定の範囲内だったが、コーナリングもイマイチ性能を発揮できていないように見える。菊地選手によると「2速に入れるとエンジンがストールする」そうで、そのトラブルをカバーしながら走っていたとのこと。富士は比較的直線区間が長いが、ヘアピンやキツいコーナーが連続する後半セクションで2速を使えないのはかなり厳しそうだ。
次に田ヶ原選手が走ったのだが、再びトラブルが襲った。無線の調子が悪く、さらにはブレーキがベーパーロックのような状態になっているという。思い切り踏み込むとエンジンが止まりそうになるので、ブレーキングポイントを通常より手前にしなくてはならず、かなり不利な状況なのは違いない。またマシンのリアの動きも非常にナーバスだったようで、「リアのトラクション不足に悩まされた」と、田ヶ原選手。だが、それらのトラブルをカバーしつつ、堅実な走りを見せ、アンカーの菊地選手にバトンタッチした。
ちなみに、今回のレースの総走行距離は400km。周回数にすると88周だ。去年までは500kmだったが、諸事情で400kmに短縮された。ルールで2回のドライバー交代と給油が義務になっているため、菊地選手→田ヶ原選手→菊地選手の順番で走った。
最終走者の菊地選手は「これくらいのトラブルなら、完走は可能」と心強い言葉と共にピットアウト。最終ラップ付近でGT500クラスのマシンと「あわや!」というシーンもあったが、エンジンを壊すことなく、無事にゴールまで初音ミクZ4を運んだ。結果としては、GT300クラス21台中17位、ベストタイム「1'50.052」、88周中76周を走った。
「完走扱い」ではなく、「完走」である。少しずつではあるが、また一歩、階段を上ったのだ。これもチーム、ドライバー、メカニック、そして個人スポンサーとファンが一体になった結果だろう。
ドライコンディションで完走したのはこれが初めてで「貴重なデータが取れた」と星名代表。去年のデビュー戦から使われたV8エンジンと、Hパターンのトランスミッションは、7月のSUGO戦までのインターバルで、直列6気筒エンジン、シーケンシャルトランスミッションへ変更される予定だ。載せ替え作業の様子、どのくらい性能がアップするのかは、順次レポートで公表していくのでお楽しみに。
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