オーバークロックの成果は?
動作クロック2842MHz時のベンチ結果は、「Superπ」の104万桁演算が20秒と、T指令憧れの10秒台には届かなかったが、定格クロックに比べ9秒の短縮となった。そして、もっとも効果が現れたのがエンコード関連だ。もちろんマザーボードは違うが、設定やエンコードに使用するファイルは前編と同じだ。「Windows Media Encoder 9」を使用して、1280×720ドット(2分11秒)のファイルをDVD品質の640×480ドットに変換した結果は214秒で、定格クロックに比べ104秒も短縮した。さらに「iTunes 6」を使用して。23分(5曲)のWAVEファイルをMP3(ビットレート192kbps)へ変換した結果は25秒となり、定格クロックよりも14秒速くなった。ここまで高速になるとうれしくなり、自然と笑みがこぼれてくる。
「Superπ」とエンコード時間のグラフ。「Superπ」は定格クロックに比べ9秒の短縮。エンコードではそれ以上の効果が現れた |
T指令がもっとも興味のある3D関連は、悲しいことにあまりスコアが変わらなかった。「3D Mark 06」で“2266”と、定格クロックから“135”のスコアアップだ。もしかしたら、使用しているビデオカードの性能が足を引っ張っているかもしれないと考え、急遽“GeForce 7800 GTX”を用意。定格クロックの1830MHzと、オーバークロックの2842MHz動作時で「3D Mark 06」を計測した。定格動作時“4686”で、2842MHz動作時は“5001”となり、その差は“314”となった。CPUの動作クロックが1GHz違っても「3D Mark 06」のスコアアップは“100~300”程度になるようだ。エンコードや「Superπ」の性能アップと比べると、ちょっと物足りない結果だ。
2.84GHz動作時の3Dベンチ結果。残念ながら、定格動作時と比べてあまりスコアが変わらなかった |
消費電力は、ASUSTeK製マザー「P5W DH Deluxe」で定格クロックの1830MHz動作と2842MHz動作時で計測した結果を比較すると、オーバークロック状態のアイドル時で125Wとなり、定格クロックに比べ10Wアップした。高負荷時は147Wで定格と比べ17Wアップした結果に。どうも、「P5W DH Deluxe」は、Gigabyte製マザー「GA-965P-DS3」と比べオンボードデバイスが豊富な分、消費電力が高くなるようだ。また、消費電力が上がったことでCPUの発熱量が増加することを考えていたが、高負荷時でも定格クロック時とほとんど変わらない、50℃前後のCPU温度となったのは驚きだ。もちろん、オーバークロック時のCPUコア電圧が、定格電圧の1.35Vなのも発熱量に影響しているだろう。
マザーボードのFSB耐性が今後の鍵を握る!
「Core2 Duo E6300」のオーバークロック耐性には大満足。耐性が高く3GHz超えが多くのウェブサイトで報告されている「Core 2 Duo E6600」もおもしろそうだが、2万円半ばの価格で2.8GHzを楽々クリアする「Core 2 Duo E6300」もなかなかよい耐性だ。あとは、マザーボードのFSB耐性さえクリアできれば3GHz越えも可能だろう。「情報を集めて再チャレンジ!」と3GHzを目指して気合いを入れる。
また、今回のオーバークロック検証では、純正クーラーの冷却で十分だったので、手持ちのCPUクーラー達は活躍の場がなかった。実際、低発熱なノート用などのモバイルCPUならオーバークロックしてもファンレス動作させるのは比較的簡単だが、デスクトップ用CPUでオーバークロックしながら、ファンレスを手軽に行なえそうなのは“Core 2”シリーズくらいのように思う。
「Core2 Duo E6300」のオーバークロック耐性には大満足。今回の検証では純正クーラーの冷却で十分だった。マザーボードのFSB耐性さえクリアできれば3GHz越えも可能だろう |
ただ、オーバークロックは全ての環境で動作する保証はないので注意して欲しい。とくに、マザーボードのFSB耐性は、製造ロットなどにより変わるので要注意。マザーボードのFSB耐性が心配なら「Core 2 Duo E6400」や「Core 2 Duo E6600」など倍率が高い製品で、オーバークロックをした方が安全だろう。とはいえ、この辺のギャンブル感がオーバークロックの楽しみともいえる。
●結論:マザーボードのFSB耐性限界に阻まれたが、オーバークロック耐性は期待できる。発熱や消費電力も低いので、いろいろ楽しめるCPUだ。
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