インテル、Xeonシリーズでは初となる、マルチコアサーバー向けの『デュアルコア インテルXeonプロセッサ』を発表!――60日以内にMPサーバー向けもリリース
2005年10月11日 18時00分更新
『デュアルコア インテルXeonプロセッサ』のイメージ写真 |
インテル(株)は11日、マルチコアサーバープラットフォーム向けの新CPUとして、『デュアルコア インテルXeonプロセッサ 2.80GHz』(以下デュアルコアXeon-2.80GHz)を発表した。同社のデュアルコアCPUとしては、デスクトップパソコン向けのPentium Dなどが発売されているが、サーバー&ワークステーション分野向けのCPUとしては、初のデュアルコアCPUの登場となる。
今回発表となったデュアルコアXeon-2.80GHzは、開発コード名“Paxville DP(パックスヴィル ディーピー)”と呼ばれていたデュアルプロセッサー(DP)システム向けCPUである。現行のシングルコアXeon(Irwindale:アーウィンデール)と同等の機能を備えたCPUコアを2基内蔵し、2次キャッシュメモリーはコアごとに2MBずつ(計4MB)を搭載している。さらにハイパースレッディングテクノロジに対応しているため、1CPUパッケージで4論理CPUを実現可能だ。動作周波数は2.80GHz、システムバス(FSB)周波数は800MHzで、現行のDPサーバー向けプラットフォーム“Lindenhurst(リンデンハースト)”と現行のチップセット『Intel E7520チップセット』で動作するように設計されている。64bit拡張技術(EM64T)やエグゼキュート・ディスエーブル・ビット(NXbit)はもちろん、電力管理機能の“デマンド・ベース・スイッチング”機能などに対応する。電力管理機能に関しては、新たにより低い電力モードでの動作を可能とする“エンハンストHALステート”にも対応したとしている。熱設計時消費電力(TDP)は約135W。1000個ロット時の価格は11万6500円。
インテル マーケティング本部 エンタープライズ プラットフォーム マーケティング統括部長の平野浩介氏 |
シングルコアのXeon DPは、すでに3.80GHz版が発表されており、単純にクロック周波数で見れば、大きく後退している。しかし報道関係者向けの説明会で、デュアルコアXeon-2.80GHzについての説明を行なった同社マーケティング本部 エンタープライズ プラットフォーム マーケティング統括部長の平野浩介氏は、同じプラットフォームで前世代のCPU(シングルコアのXeon-3.60GHz 2次キャッシュ2MB)と比較して、整数演算のベンチマークテスト“SPECInt_rats_base2000”で1.5倍の性能を示すなど、クロック周波数の低下を補ってあまりある性能を備えるとした。またデモンストレーションでは、(株)シーディー・アダプコ・ジャパンの熱流体解析プログラム『STAR-CD』の演算速度比較が披露され、シングルコアのXeon-3.60GHzでは350秒程度かかる演算を、デュアルコアXeon-2.80GHzでは280秒で終了するというデモが披露された。
同一プラットフォームでの、デュアルコアXeon-2.80GHzとシングルコアXeon-3.60GHzのパフォーマンス比較グラフ |
また別のデモでは、仮想マシンソフト“VMWare”とデュアルコアXeon-2.80GHzを2プロセッサー搭載したシステム(計8論理CPU)を使用して、8台のサーバーマシンを1台のシステム上で実現して見せた。
8台の仮想マシンを1台で実現するデモを披露したデュアルコアXeon-2.80GHzを搭載するテスト機 | 仮想マシンデモの様子。8論理プロセッサ分のCPUメーターが、負荷に応じて動いているのが分かる |
東京都内のホテルで開かれた発表会場には、デュアルコアXeon-2.80GHzを搭載する各社の製品(および参考出展)が展示されていた。
将来のXeon DP/MPプラットフォームも語られる
今回発表されたのは、デュアルプロセッサシステム向けのデュアルコアXeonだが、4個以上のCPUを搭載するマルチプロセッサーシステム向けのデュアルコアXeon(Xeon MP)についても、説明があった。まず最初のデュアルコアXeon MPは、60日以内に登場する。その際にはCPUだけでなくプラットフォームも新しく、コード名“Truland(トゥルーランド)”に更新される。TrulandではCPUが“デュアルコアXeon 7000番台”(コード名Paxville MP、2次キャッシュ2MB)に更新され、チップセットは既存の『Intel E8500』か新しい『Intel E8501』を使用する。また2006年になってからのサポートとされているが、仮想マシン技術“インテル・バーチャライゼーション・テクノロジ”(VT)もサポートされる予定だ。TrulandプラットフォームではPaxville MPだけでなく、65nm製造プロセスで作られる次世代のデュアルコアXeon MP、コード名“Tulsa(タルサ)”(2006年第2四半期予定)もサポートされる。
デュアルコアXeon-2.80GHzベースのDPサーバープラットフォーム“Lindenhurst”と、今後60日以内に登場するMPサーバープラットフォーム“Truland”の機能の違い。黄色い文字部分が新機能 |
また将来のプラットフォームについても言及された。Xeon MPについては前述のTulsaベースのプラットフォームに更新される。Xeon DPについては、65nm製造プロセスで作られる新デュアルコアXeon DP“Dempsey(デンプシー)”が2006年第1四半期に登場し、サーバー向けの新メモリーモジュール“FB-DIMM”や1066MHzに高速化されるシステムバス、I/O処理を高速化する“インテル・I/Oアクセラレーション・テクノロジ”、VT、リモート管理支援機能“インテル・アクティブ・マネジメント・テクノロジ”(iAMT)などが実装される予定とされている。プラットフォーム名は“Bensley(ベンスレイ)”、チップセットは“Blackford(ブラックフォード)”となる。1四半期後に登場する次世代のDempsyでCPUとプラットフォームが大きく変わるという点から考えると、今回のデュアルコアXeon-2.80GHzは基本的に、既存のLindenhurstプラットフォーム向けのCPUアップグレードであり、デュアルコアXeon DPの本命はDempsyとBensleyプラットフォームとも考えられそうだ。
次世代のXeon DPおよびXeon MPプラットフォームの主な機能 | インテルが予定しているマルチコア・プラットフォームおよびCPUのロードマップ |
現在および将来のXeonプラットフォームで実装される技術のロードマップ。2007年以降には、拡張されたVT(VT2)や次世代のPCI Express、次世代のFB-DIMMなど、CPUだけでなくI/O関連の強化が目を引く |