サイレックス・テクノロジー(株)は1日、都内でプレスセミナーを開き、今後の戦略に関して説明した。同社の主力事業はプリントサーバーの開発。国内のほとんどの“MFP”(Multi Function Printer)メーカーと、OEMやソフトウェア技術供与の形で取り引きがあるほか、最近では指紋認証システムなど“バイオメトリクス”(生体認証)製品の開発にも力を入れている。
セミナーには、サイレックスの上席執行役営業担当兼国内マーケティング担当の上田豊(うえだ ゆたか)氏、上席執行役R&Dセンター担当兼バイオメトリクス認証ビジネスユニット担当の岡野喜男(おかの よしお)氏が出席した。
サイレックスの上席執行役営業担当兼国内マーケティング担当の上田豊氏(左)、上席執行役R&Dセンター担当兼バイオメトリクス認証ビジネスユニット担当の岡野喜男氏(右) |
上田氏は、サイレックスのコアコンピタンス(強み)として、“ネットワーク技術の高さ”、ネットワークを介してUSB機器をパソコンと接続できる“silex virtual link”、“無線技術”の3つを挙げた。今後は、同社が培ったプリントサーバー技術やvirtual linkの技術を無線ネットワーク上で展開し、市場の拡大や機器の利便性を高めていく狙いだという。
SX-2000WG |
同社が7月28日に発表した『SX-2000WG』はその基本プラットフォームとなるもので、プリンターやスキャナーなどのUSB機器を無線で接続し、複数のマシンで共用できる。また、携帯音楽プレーヤーなどと連動したミュージックサーバーの実現、パソコンで刺繍パターンを作成してミシンに送るといった使い方なども応用例として検討中だという。SX-2000WGは現状で音声データなどのアイソクロナス転送を保証外としているが、これについて岡野氏は「技術的には実現できているが、無線経由では距離によりリンク速度が落ちたり、音が途切れる可能性があるため、積極的に表明していない」とコメントした。IEEE 802.11eなどと組み合わせてQoSを実現できるようにするのが必要だという。
SX-2000WGの技術は、組み込み技術としてセットメーカーにもOEM提供してく方針で、プリンターなどのオフィス機器のほか、デジタル家電や防犯カメラ、無線LAN携帯電話機といった製品への搭載も積極的にアピールしていく。
USB機器をSX-2000WGに接続することで、パソコンから離れた位置にあるUSB機器を無線で操作できる(左)。スループットは11g使用時で22Mbpsほど。SX-2000WGの設定は一般的な有線/無線LANのほか、USBメモリーを利用する方法も選べる(右) |
無線範囲内のUSB機器はユーティリティー上で一覧表示できる(左)、同社の指紋認証システムと組み合わせて“セキュアプリント”を実現することも可能(右)。出力した書類を他人が盗み見たり、持ち去ったりするのを防ぐことができる |
サイレックスは1年前からIEEE 802.11g/b対応のMini PCIモジュールの自社開発を行なっているが、今後はIEEE 802.11aや11n規格、UWB(Ultra Wide Band)などへの対応も積極的に行なっていくという。上田氏は「UWBの研究開発に関しては2~3ヵ月後に成果が紹介できる」とコメント。近く同社からUWB関連の発表があることを示唆した。