――「デジタル一眼レフ市場拡大の起爆剤に!!」
キヤノン、小型軽量化した一眼レフデジタルカメラの入門機『EOS Kiss Digital N』を発売
2005年02月18日 20時39分更新
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製品発表会で『EOS Kiss Digital N』を構える、キヤノンの取締役 イメージコミュニケーション事業本部副事業本部長の岩下知徳氏(左)と、キヤノン販売の常務取締役の芦澤光二氏 |
キヤノン(株)とキヤノン販売(株)は18日、東京・品川の本社ビル(CANON S TOWER)にプレス関係者を集め、2003年8月に発表したレンズ交換式一眼レフデジタルカメラの入門機『EOS Kiss Digital(イオス キス デジタル)』の後継機種として、有効約800万画素CMOSセンサーと映像エンジン“DIGIC II”を搭載し、小型軽量化を図った『EOS Kiss Digital N』を3月17日に発売すると発表した。ボディーカラーはシルバーとブラックの2タイプを用意し、ボディー単体、焦点距離18~55mm(35mmフィルムカメラ換算時:29~88mm相当)のEF-Sマウントレンズをセットにした“レンズキット”、さらに55~200mm(88~160mm相当)の望遠レンズを追加した“ダブルズームレンズキット”の3製品(6タイプ)が用意される。価格はオープンプライスだが、「店頭ではボディー単体で10万円を切る価格になるべく、努力している」と発売当初から戦略的な価格付けを狙う姿勢を見せた。
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『EOS Kiss Digital N』 |
発表会には、キヤノンの取締役 イメージコミュニケーション事業本部副事業本部長の岩下知徳氏、キヤノン販売の常務取締役の芦澤光二氏らが出席し、新製品投入の狙いや機能強化点の詳細などを説明した。
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キヤノン販売の常務取締役の芦澤光二氏 |
最初に芦澤氏がデジタルカメラの国内市場の概況と、新製品投入の背景について、「デジタルカメラの普及率は6割に迫る勢いで、大容量メモリーの低価格化も相まってショット数(撮影枚数)は爆発的に増加した。写真を楽しむ人は確かに増えたが、文化として開花するのはこれから」と前置きし、
- “単に記録する写真”(ストレージの中に残すだけ)
- “人にあげる写真/見て楽しむ写真”(L判プリントする)
- “魅せる写真/鑑賞する写真”(A4サイズ以上に引き伸ばして楽しむ)
という具合にデジタルフォトの“ステージを上げる”ために、一眼レフデジタルカメラの入門者向け新製品を投入したと同社の狙いを説明した。さらに、「1年半前に発売した『EOS Kiss Digital』は、デジタル一眼レフ市場の発火点だった。今度は起爆剤を投入する。この製品投入が、(プロフェッショナル向けの)『EOS 20D』や(ハイアマチュア向けの)『EOS 1D』などにも大きな影響を与えると期待している」と自信を見せた。
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EOS Kiss Digital Nのラインナップ | EOS Kiss Digital Nを投入するキヤノンの狙い |
なお、EOS Kiss Digital Nの販売プロモーションには、米国の大人気ロックグループ“KISS(キス)”のペイントを施した子どもたちが登場し、その子たちが歌うKISSの大ヒット曲“Love You Baby”をバックに“テキトーに僕らを撮らないで”とメッセージを伝えるというもの。従来のEOS Kiss Digitalが撮影するママ(お母さん)の視線でメッセージを伝えたのに対して、今回は被写体である子どもたちが「自分たちのかわいい時期はいまだけなんだから、テキトーに撮らないでちゃんと残してね」という意味を込めたとのこと。
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キヤノンの取締役 イメージコミュニケーション事業本部副事業本部長の岩下知徳氏 |
続いて、岩下氏がEOS Kiss Digital Nの詳細を解説した。特に小型軽量化については、「EOS Kiss Digitalから設計を大幅見直し、モーターを横置きに変更したり、メインシャシーを設計段階からシミュレーションし直して、従来機種より厚さを2割削減するなど、さまざまなこだわりと部品選択、最適化により幅15.5mm、奥行き8.4mm、高さ4.8mm、重量は13%の削減(レンズ非搭載時485g、18-55mmレンズ搭載時で715g)を達成できた」と誇らしげに説明した。
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EOS DigitalシリーズのラインナップとEOS Kiss Digital Nの位置づけ | EOS Kiss Digital Nと従来機種の近い |
また、撮影機能についても
- 起動時間の高速化
- (従来機種の2.8秒⇒0.2秒へ大幅に短縮)
- 連写速度を向上
- (毎秒2.5コマ⇒3コマへ)
- 連続撮影枚数を増加
- (JPEG形式のラージ/ファインで4枚⇒14枚、スモール/ノーマルなら700枚以上の連写が可能になった)
などの強化を図った。また、シャッターリリースタイムラグも縮めているが、AFの合焦速度は従来同様とのこと。
そのほか、撮像素子にはAPS-Cサイズ(22.7×15.1mm、約1インチサイズ)の有効800万(総820万)画素CMOSセンサー(単板)、映像処理エンジンは上記の高速処理を実現する“DIGIC II”を採用し、レンズを通過する可視光のうち不要な周波数成分をカットして偽色やノイズの発生を抑える“3層LPF(ローパスフィルター)”を搭載するなど、高画質化を図っている。
一方、仲間同士で集まった際に気軽に撮影してその場でプリントアウトして楽しみたい場面を想定して、パソコンなしで印刷するための“イージープリントボタン”も搭載している。これは同社のコンパクトカメラに搭載している機能だが、一眼レフカメラでは初搭載だという。同社のインクジェットプリンター“PIXUSシリーズ”およびダイレクトプリントの統一規格“PictBridge(ピクトブリッジ)”対応プリンターにUSBケーブルで接続するとプリンターを認識して印刷準備を行ない、ボタンのLEDランプが緑に点灯する。その後、ボタンを押すと撮影したデータがすべて自動印刷されるというもの。
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EOS Kiss Digital Nの背面 | EOS Kiss Digital Nの側面。写真はEF-S60mm F2.8 マクロUSMレンズを接続したところ |
カメラとしてのスペックは、記録解像度は最大3456×2304ドット(3:2)、記録形式はRAW(12bit)/JPEG(DCF 2.0準拠)でRAWとJPEGの同時記録も可能。色空間はsRGB/Adobe RGBに対応。レンズマウントは従来同様“キヤノンEFマウント”で、キットに含まれる『EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM』(3万円、税別)、焦点距離60mm(35mmフィルムカメラ換算時:96mm相当)で最短撮影距離0.2mという中望遠マクロレンズ『EF-S60mm F2.8 マクロ USM』(5万7000円、税別)も同時に発売される。
撮影機能は従来モデルを継承し、背面には1.8インチ(約11万5000画素、視野率約100%)のカラーTFT液晶ディスプレーと、0.8倍(視野率95%)の光学式ファインダーを装備。ファインダー内でAF情報(AFフレームや合焦マーク)、露出情報(シャッター速度/絞り値/AEロック/露出レベルなど)、ストロボ情報(充電完了/赤目緩和モード/調光補正など)を確認できる。なお、ユーザーからのリクエストに応えて、新たにAFと測光の設定は撮影モードに関わらず変更可能になっている。
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EOS Kiss Digital Nの上部、操作系など |
インターフェースはUSB 2.0、記録メディアはCF Type IIを採用。電源は専用リチウムイオンバッテリーパック(NB-2LH)を使用し、撮影枚数は約600枚(ストロボなし、常温20℃でのCIPA準拠による同社測定値)。本体サイズと重量は、幅126.5×奥行き64×高さ94.2mm/485g(ボディーのみ)。
パッケージには、Windows 98 SE/Me/2000/XP対応の画像管理ソフト『ZoomBrowser EX 5.1』と印刷ユーティリティーソフト『PhotoRecord 2.2』、Mac OS X 10.1.5~10.3対応の画像管理・印刷ソフト『ImageBrowser 5.1』、Windows/Mac OS X対応のリモート撮影ソフト『EOS Capture 1.3』、パノラマ画像合成ソフト『PhotoStitch 3.1』などが付属するほか、Windows 2000/XP、Mac OS X 10.2~10.3対応のRAW画像現像・編集ソフト『Digital Photo Professional 1.6』も同梱される。
