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【最新パーツ性能チェック(Vol.30)】究極のPentium 4キラー!? “i915GM”+Pentium M-770のパフォーマンスを探る

2005年02月03日 21時29分更新

文● アスキープラス編集部 野口岳郎

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大きく伸びた3D性能

 グラフ2~6は、3D系のベンチマークの結果だ。まず、Pentium M-735(1.7GHz)に比べ、Pentium M-770(2.13GHz)がスコアをぐんと伸ばし、Pentium 4-2.8CGHzにも大差をつけている。3DMark 03でとてつもない差になっている点も含め、これは新しいビデオエンジンのパワーが大きく影響していることがわかる。

3DMark 2001の結果。棒は長い方が高速。メモリが有利とはいえ、P4-3.6GHzを大きく上回る高スコア。CineBench 2003の結果。棒が長い方が高速。
3DMark 05の結果。こちらもほぼP4と横並びだが、わずかにリード。CPUのスコアでは大きくリードしている。Quake III Arena Demoの結果。こちらはP4-3.6EGHzをはるか下方に追いやる圧倒的な速度でダントツ。

 驚かされるのは、さきのSandraでの測定ではほとんど差がない、DDR2のシングルの場合とダブルの場合とで、非常に大きな性能差が出ていることだ。これは一見不自然だが、システムの構造を考えると実は当然のことだ。というのは、Pentium M(やPentium 4)のシステムでは、メモリはチップセットを介してCPUにつながっている。このうちチップセット=CPU間は、533MHz/64bitというCPUのFSBの制約にしばられているため、メモリがシングルでもデュアルでも、CPUのメモリ読み書き能力は最大4.3GBでクリップされてしまう。しかし、チップセットにとってはシングルの場合は毎秒4.3GBのメモリ帯域しかないが、デュアル時は毎秒8.5GBになる。

 ポイントは、このメモリ帯域を“CPUとビデオエンジンが共用する”点だ。そのため、シングルチャネル時には、毎秒4.3GBのメモリ帯域(=CPUの最大対応能力)から、ビデオエンジンが必要な帯域を引いた分しかCPUはメモリアクセスを行えない。つまり、CPUがベストパフォーマンスで動けるのは、ビデオエンジンが何もしていないときに限られる。だが、デュアルチャネル時には、総帯域は8.5GBあるから、ビデオエンジンが毎秒4.3GBまでのメモリアクセスを行う間は、CPUにとっては性能いっぱいの毎秒4.3GBのメモリアクセスが可能になるわけだ。この差が、3D描画における大きなスコア差の原因だろう。
 したがって、このような“ビデオエンジンによる足の引っ張り”がない、外付けグラフィック環境では、たいした差は出ない可能性が高い。

 注目のPentium 4との比較では、“DDR2デュアルにすれば”Pentium 4-3.4Eあるいは3.6Eと互角、テストによっては大きくリードする局面も見られる(3DMark 2001、UnrealのBotmatchやQuake IIIなど)。Pentium M-735(1.7GHz)では、Pentium 4-2.8CGHzにまだちょっと差を付けられていたが、メモリ能力の強化でこれをひっくり返したというところだ。ただ、上で述べたように、内蔵グラフィックを使う場合にはメモリ性能が大きくものを言うため、DDR2-533を使ったPentium M環境が、DDR-400のPentium 4環境よりもかなり有利になる。それも勘案すればどちらが優れているかは微妙な判定になりそうだ。
 なお、ビデオエンジンが別物のAthlon 64との比較では、3DMark 05とUnrealのBotmatchを除くと、デュアルチャネルDDR2を使った場合には優勢に推移している。

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