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NVIDIA、TurboCache技術を取り入れたローエンドGPU『GeForce 6200』と、GeForce 6x00シリーズ向けの高品位ビデオアクセラレーション技術“PureVideo”を発表

2004年12月20日 21時09分更新

文● 編集部 小西利明

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香港Inno3D社のGeForce 6200搭載カードのサンプル。GPUは通常、ヒートシンクで覆われているので、剥き出しになったものを目にするのは珍しい。メモリーチップは1チップしか搭載されていない
香港Inno3D社のGeForce 6200搭載カードのサンプル。GPUは通常、ヒートシンクで覆われているので、剥き出しになったものを目にするのは珍しい。メモリーチップは1チップしか搭載されていない

説明会の後半では、 新技術“TurboCache”テクノロジーを搭載したローエンド向けGPU『GeForce 6200』についての説明が行なわれた。米国では16日にプレスリリースが発表されている。

GeForce 6200に搭載されたTurboCacheテクノロジーとは、PCI Express x16の双方向で幅広い帯域を生かして、パソコンのメインメモリーをグラフィックスカード上のメモリーのように、3Dレンダリングのレンダリング対象メモリーとして扱う技術である。通常のGPUの場合、レンダリングデータは非常にアクセス頻度が高く高速性を要求されるため、グラフィックスカード上に搭載したメモリーしか使えない。そのためグラフィックスカードには高速なメモリーを128~256MBも搭載しなくてはならず、コストの増加を招いていた。このコストはミッドレンジやハイエンドのグラフィックスカードなら許容されても、1万円前後のローエンドグラフィックスカードでは難しい。

そこでTurboCacheテクノロジーに対応したGeForce 6200では、パソコンのメインメモリーの一部(112~192MB程度)をビデオメモリーとして確保し、カード上のビデオメモリーと同じようにレンダリングを行なえるようにした。そのためカード上のビデオメモリーは少量でも済むので、グラフィックスカードのコストを抑えられる。双方向に広い帯域(片方向4GB/秒×2)を持つ、PCI Express x16の利点をフルに活用した技術というわけだ(よってAGPではTurboCacheの機能を生かせない)。NVIDIAではGeForce 6200のメモリーバンド幅について、“最大で13.6GB/秒”という、GeForce 6600並みの数字を挙げている。TurboCacheはあくまでも、カード上のビデオメモリー量が限られたローエンドGPU向けの技術であり、ミッドレンジのGeForce 6600シリーズやハイエンドのGeForce 6800シリーズではサポートされない。

通常のGPU(左)とTurboCache対応GeForce 6200(右)のアーキテクチャーの違い Nvidiaが公開した『3DMark03』でのパフォーマンス比較グラフ。TurboCache対応GeForce 6200が、ライバルのATI RADEON X300やIntel 915G内蔵グラフィックスを上回る結果を残している
通常のGPU(左)とTurboCache対応GeForce 6200(右)のアーキテクチャーの違いNvidiaが公開した『3DMark03』でのパフォーマンス比較グラフ。TurboCache対応GeForce 6200が、ライバルのATI RADEON X300やIntel 915G内蔵グラフィックスを上回る結果を残している
最新のファーストパーソンシューティングゲーム『HALF-LIFE2』をGeForce 6200で動かすデモ。優れたグラフィックスエンジンで知られるゲームを、ローエンドGPUながら軽快に動作させてみせた
最新のファーストパーソンシューティングゲーム『HALF-LIFE2』をGeForce 6200で動かすデモ。優れたグラフィックスエンジンで知られるゲームを、ローエンドGPUながら軽快に動作させてみせた

しかしカード上に搭載された700MHz、64bit幅のDDRメモリーのメモリーバンド幅(5.6GB/秒)と比べれば、PCI Express x16の帯域はやや少ない。さらにパソコン側のメインメモリーはCPUも頻繁にアクセスしているので、GPUがメモリー帯域を占有していられるわけではない。13.6GB/秒という数字ほど高いパフォーマンスは得られないだろう。それでもビデオメモリーの少ないローエンドのグラフィックスカードでも、パソコン側に十分なメモリーがあれば比較的高いパフォーマンスを発揮できるので、TurboCache対応GeForce 6200は、財布に易しいGPUとして評価できるだろう。

TurboCache以外のGeForce 6200の特徴としては、PCI Express対応でバーテックスパイプが3、ピクセルパイプが4。GPUコアクロックは350MHz。プログラマブルシェーダー3.0対応などである。カード側のビデオメモリーは、32bit幅または64bit幅のDDRメモリーを最大128MBまで搭載可能。

GeForce 6200シリーズと、競合するATIのX300シリーズの比較表。GeForce 6200は左がメモリーバス幅が64bit、右が32bitの場合
GeForce 6200シリーズと、競合するATIのX300シリーズの比較表。GeForce 6200は左がメモリーバス幅が64bit、右が32bitの場合

NVIDIAの発表によれば、すでに70社以上のカードベンダーやパソコンメーカーが、GeForce 6200の採用を決めたという。説明会の会場にも、グラフィックスカードベンダーの製品が多数出展されていた。発売時期は2005年の1月以降となる。価格も1万円前後になる見込みで、いよいよ1万円以下のグラフィックスカードにも、最新のプログラマブルシェーダー3.0対応品が普及してくることになる。

少々気になったのは、TurboCache対応のGeForce 6200搭載カードは、カード上に搭載されているビデオメモリーが16MBや64MBなのにも関わらず、パッケージには“128”や“256”という、大容量のビデオメモリーを連想させる数字が並んでいる点である。くどいようだが、TurboCacheでメインメモリーをビデオメモリーと同様に扱えると言っても、そのパフォーマンスはどうしてもカード上のビデオメモリーには及ばない。またメインメモリーから多くのビデオメモリーを割り当てれば、その分OSやアプリケーションが利用できるメモリーも減るというデメリットもある。そのうえややこしいのは、すでに秋葉原などのパーツショップなどでは、128MBのビデオメモリーを搭載した(TurboCacheに対応しない)GeForce 6200が販売されている点である。TurboCache対応GeForce 6200が市場に出回るようになると、同じGeForce 6200が搭載されパッケージに“128”といった数字が書かれていても、カード上のビデオメモリー量は大違いという製品が店頭で混在することになる。消費者の誤解や混乱を招く可能性も考えられるだろう。購入を検討している人は、スペック表やベンダーウェブサイトの情報などできちんと確認をして、希望の商品を選ぶように注意をする必要がありそうだ。またカードベンダー側にも、消費者の誤解を招きにくいスペック表記を行なうよう期待したい。

ずらりと並んだGeForce 6200搭載カードとデモマシン。来年1月頃には、ローエンドにも一気にGeForce 6x00シリーズの波が押し寄せそうだ
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アルバトロン『TC6200Q』。64bitメモリーインターフェース対応で搭載ビデオメモリーは64MB 日本ギガバイト『GV-NX62TC256D』。カード上のビデオメモリーは64MB
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エルザジャパン『ELSA GLADIAC 544 TC』。ビデオメモリーは64MB。D端子インターフェースが付属する エーオープンジャパン『PCX6200TC-DV64』。説明書きでビデオメモリーが64MBであることを明記してあり、分かりやすい
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GAINWARD『Ultra/1440 PCX TV-DVI』。ロープロファイル版も予定。同社の製品にはビデオメモリーが16MBのUltra/1420、32MBのUltra/1430もラインナップされる
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