【2005 CES Vol.4】TVソリューションに力を入れるATI、携帯端末向けGPUをアピールするNVIDIA――2大GPUメーカーレポート
2005年01月09日 01時08分更新
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ATIのイメージキャラクター“RUBY”のコスプレをしたお姉様方。ちなみにNVIDIAにも妖精の“Dawn”や人魚の“Nalu”といったキャラクターがいるが、CESでは見かけなかった | ATIブースの周囲には、大画面デジタルTVとXILLEON搭載機器を使ったデモや機器展示が行なわれていて、XILLEONが多くの製品に採用されていることをアピールしていた |
カナダATIテクノロジーズ(ATI)社と米エヌビディア(NVIDIA)社の2大グラフィックスチップ(GPU)メーカーは、パソコン用GPU以外に組み込み機器向けGPUにも力を入れている。特にCES 2005でのATIのブースでは、主役は組み込み機器向けソリューションの『XILLEON』シリーズと言えるほど力を入れた展示が行なわれていた。
XILLEONはCPUに300MHzのRISCコアCPUを搭載したシステムオンチップの一種で、CPU、MPEG-2デコーダー、グラフィックス機能、PCIやUSBなどのI/Oインターフェース機能を1つのチップ上に集積している。デジタルセットトップボックスやデジタルビデオレコーダーのメーカーは、XILLEONを核に製品を設計することで、比較的容易にこれらの機器を開発できるようになる。同社ブースにて展示されていた採用機器には、米リンクシス社の“Media Center Extender”『WMCE54AG』や、パナソニックのHDDビデオレコーダー『TU-HMS3』(日本未発売)などがあった。
一方で携帯電話やハンドヘルドデバイス向けのGPU『IMAGEON』シリーズは、ブース外周の一角に採用機器がケース入りで陳列されている程度で、今回はあまり力を入れたアピールは行なわれていなかった。IMAGEONシリーズは2DグラフィックスやMPEGデコーダーを内蔵するGPUで、同シリーズには3DグラフィックスをサポートするGPUもラインナップされている。しかし米モトローラ社製の携帯電話に多数採用されているほか、シャープのZAURUSや米Tapwave社のPalm OSベース携帯ゲーム機『Zodiac 2』にも採用されるなど、地味だが着実に採用を勝ち取っている模様だ。
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ATIのハンドヘルドデバイス向けGPU『IMAGEON』シリーズを採用するモトローラの携帯電話など | 日本でもお馴染みのZAURUSにも、過去のシリーズである『IMAGEON 100』が採用されている |
一方パソコン関連の製品では、GPU内蔵チップセットの展示が目立った。同社は昨年11月に初のAthlon 64対応PCI Expressチップセット『XPRESS 200/200P』を発表しており、ブースの一角にはXPRESS 200シリーズを採用するマザーボード各種が展示されていた。それに加えて同社では、インテルCPU版のGPU内蔵PCI Expressチップセット(コード名RS400)も計画していて、ブースではプロトタイプマザーボードでのデモが行なわれていた。説明によるとGPUコア部分はXPRESS 200と同等で、RADEONシリーズのローエンドGPU“X300”にはやや劣る性能レンジとなるという。I/Oコントローラー(サウスブリッジ)側には既存のIXP400を使用しており、PCI ExpressはXPRESS 200と同様、ノースブリッジ側で提供するようだ。
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インテルCPUに対応したGPU内蔵PCI Expressチップセットのデモ機。メモリーはDDR2-533をデュアルチャネル接続している模様。ボード上に書かれた“JAGUAR”の文字はボードのコード名だろうか |
インテルのIntel 915GシリーズはDirectX 9対応と言っても、Vertex Shader部分がCPUによるエミュレーションとなっているため、3Dグラフィックスの性能はあまりよくない。またATIのライバルNVIDIAには、今のところDirectX 9世代GPUを統合したチップセットがない。RADEON 9600~X300と同クラスのGPUを備えるRS400シリーズは、グラフィックス性能の高い統合チップセットとして、注目を集めそうな製品と言えよう。
