このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

【最新パーツ性能チェック(Vol.27)】ついに出た1ギガファンレス!“Efficeon”マザーの実力を探る

2004年09月30日 20時49分更新

文● アスキープラス編集部 野口岳郎

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

EfficeonとはどのようなCPUか

 さて、気になるのはパフォーマンス。現在Efficeon搭載マシンはシャープのノートPCだけで、決してポピュラーとは言えない。Transmeta製CPUというと、以前各社から販売されたCrusoe搭載サブノートのほうが有名だろう。ご存じのようにTransmetaのCPUは、CrusoeにしろEfficeonにしろ、CPUそのものはx86と互換性がなく、そのままではWindows XPはじめPC用のソフトは動作しない。そこで、CMSという、x86コードをネイティブコードにリアルタイムに変換するソフトを走らせている。この変換のタイムラグが、実使用においてかなりのもたつきとなることは、実際に搭載機に触れて感じた方も少なくないはずだ。
 ただ、Efficeonでは内部コアの命令の同時実行数が2倍になっているほか、初めて実行するコードに対してのレスポンスを上げるための、特別な実行ユニットを用意するなどして、大幅な性能向上を図った。同社によれば、同じTDP 7WのULV Pentium M-900MHzとEfficeon-1.1GHzでは、ベンチマークの結果はEfficeonのほうがやや優勢であるという。したがって、Efficeon-1GHzならPentium M-800MHzくらいの性能になるはずだ。

Sandraで見たEfficeonの諸元 Windowsに見える容量は480MB
Sandraで見たEfficeonのスペック。CPUIDはF24。ファミリーナンバーがPentium 4やAthlon 64同様、F(15)になっている(Crusoeは5だった)。1次キャッシュは命令が128KB、データが64KBとサイズが異なるのが面白い。2次キャッシュはBaniasと同じ1MB。512MBのPC2700 SO-DIMMを装着した場合、Windowsに見える容量は480MBになる。消えた32MBは、x86コードを変換するCMSプログラムと、CMSによって変換されたコードを保存するトランスレータキャッシュとして使われている。


Pentium M-800MHz程度の性能は確かにありそう

 実際にパフォーマンスを計測した結果をグラフ1~7に挙げる。残念ながら、比較対象データがPentium M-1.4GHz(Banias。マザーボードはCommell LV-671)および同1.7GHzしかなかったので、2つの結果を基に直線近似によって800MHz時の推定値として比較していく。ただ、一般に性能の伸びはクロックが上がるにつれて下がる傾向があるので、実際の800MHz品の性能は、ここで示したものより若干は上になると思われる。
 また、グラフィックについては、LV-671ではオンボードのi855GME(Intel Extreme Graphics 2)を用いたため、RADEON 7500が載っている今回のMB860に比べるとかなり不利になるが、実際の利用するにあたっては通常はオンボードグラフィックを使うと思われるので、CPUの比較というよりはマザーボードの比較という観点で見ていただければと思う。
 なお、Efficeonマシンでは、CMSが常駐するため、Windowsが利用可能なメモリーが若干減る。Efficeon搭載ノートのMebiusでは24MBがCMSに割り当てられていたが、MB860では32MBが割り当てられるようだ(メモリ512MB搭載時)。そのため、Windowsのメモリとしては480MB搭載となる。

 日常作業の総合指標となる「PCMark 04」の結果は、Efficeon-1GHzがほぼPentium M-800MHzの推定値と並んだ。Cinebenchもシェーディングではほぼ同スコアだ。いっぽう、SSEに最適化されていると思われるCinebenchのレンダリングやWindows Media VideoではPentium Mが800MHzでも大きくリードしそう。また、CPUとしての演算能力を問われるSuperπでもPentium Mが大きなリードとなった。
 SSE系が弱いのかとも思ったが、Sandraで見る限りは、MMX、SSE系の性能テストであるマルチメディア(MM)の値はEfficeon優位だ。実際Efficeonは、SSEやMMX用に専用の実行ユニットを3つも備えている。どちらかというと、インテルプロセッサ向けにチューンされているためにもうひとつ相性が悪いということなのかもしれない。

グラフ1 PCMark 04グラフ2 Superπ(短い方が高速)
グラフ3 Cinebenchグラフ4 Windows Media Video 9(短い方が高速)

 一方3Dについては、RADEON 7500の力でスコアを伸ばした。3DMark 2001はCPUパワーの反映率が非常に少ないこともあり、Pentium M-1.4、800MHzおよびEfficeon-1GHzが横一線。Unreal Tournamentでは、比較的CPUパワーが影響するBotMatchではほぼタイだが、ビデオチップ性能の比重が大きいFlybyではPentium M陣営を大きく引き離した。それに、855GMEでは動かないFinalFantasyのベンチも通る(もっともスコアはver.2の低解像度で833と実用水準とは言えないが)。3Dゲームマシンとしてこうした1GHzクラスのマザーを使う人はいないだろうが、軽めのタイトルをちょっと楽しむのには、Pentium Mのオンボードグラフィックより頼りになる。
 日本での販売については、同社サイトhttp://www.ibase.com.twに日本代理店募集中と書かれているように、まだ不明な部分が多い。サイズこそmini-ITXだが、COMポートが4つあるなど、基本的にはこれは工業用で、各種独自サイズのPentium Mマザー同様、一般向けの入手は困難も予想されるが、小型静音ローパワーの市場は確実に広がっている。価格次第ではファンレスマーケットに大きな存在感を示しそうだ。

グラフ5 3DMark 2001グラフ6 Unreal Tournament 2003
 

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ