衝撃のテスト結果が出た
というわけで、さっそくベンチマークテストを行なってみた。前回のPT880マザーのときと条件は統一した。Pentium 4-3GHzに、GeForceFX 5900Ultraボードを使い、メモリのタイミングはいわゆる8-3-3-3にマニュアルでセットしている。ただし、このマザーではCMD Rateの設定欄がないため、この値がどうなっているかは不明である。
まずチップセットの性能を最も左右するメモリの読み書きだが、なんとこれがIntel865はおろか、Intel875まで大きくしのぐ画期的な数値である。比率で言えば、875より4%、865と比べれば8%も速い。AIDA32では差はさらに広がり、読み出しで8~17%、書き込みで14%ほど高速である。
当然、実アプリの性能も高い。3D系ベンチマークでは、3DMark2001で対875で1%、対865で3%。Comancheでは順に1.5、4%。Final Fantasyでは両者に3.8%のリードを得た。メモリ性能の高さが素直に反映されていると言える。
一方エンコード処理では、TMPGEncで6~7%と大きなリードを保ったが、このテストでは前回、メモリ性能が振るわなかったPT880が例外的に健闘しており、おそらく性能のキーはIDEのドライバ、あるいはNorth-South間のパフォーマンスによるものと思われる。結果としてはPT880とタイである。よくチューンされていて、メモリ性能があまり反映されないWindows Media VideoではIntel875とタイ止まりである。
“性能ならSiS”の時代!?
いくつかのタイはあるが、なんとここに上げた全項目でSIS655TXがトップを飾っていることは見逃せない。過去のSiSチップセットは、安価だが性能はまあそこそこ、というものがほとんどだった。MUTIOLやHSEといったテクノロジが予想させる画期的な高性能を実現できていたかというと疑問符がつく。
SiS655TXは、そんなSiSチップセットのイメージを根本から覆す、驚くべきパフォーマンスを誇る。評価対象のチップセット(Intel、VIA)がメーカー純正マザーであり、あまりアグレッシブな設定になっていない可能性が高いとか、上述したように、メモリ性能に大きな影響を与えるCMD Rateの値がわからないとか、あるいはギガバイトのチューンがしっかりしているといった事情は考えられるが、それにしても、メモリの性能を見る限り、655TXの性能は特筆すべき高さにある。2004年は、性能で選ぶならSiS、という時代の始まりかもしれない(アスキープラス編集部 野口岳郎)