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【特別企画】CGアーティストの仕事場拝見!ギガビット環境の実力は?

2003年09月30日 00時00分更新

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■驚異的なパフォーマンスの実際

ここで富田氏が引き合いに出したのが、Xeon3.06GHzのDualをメインに、サブとして最近CPU交換を行ったばかりのPentium4/2.8CGHzとPentium4/3.06GHzをそれぞれ100BASEのスイッチングHUB経由でネットワーク構築したスター型ネットワークレンダリング構成と、数日前から導入したXeon2.8GHz/Dualをメイン、サブのXeon2.66GHzのDualとPentium4/2.6CGHz。これに分散レンダリング用としてIntel製GigabitEtherアダプター『Intel PRO/1000 MTデスクトップ・アダプタ』を追加し、1000BASEのスイッチングHUB経由でスター型ネットワークレンダリング構成にした環境の2つである。今回はこの2つの環境を実際にテストしてもらった。

数日前から導入したギガビット環境
『Intel PRO/1000 MTデスクトップ・アダプタ』

テストアプリケーションには普段良く使っているShadeをチョイスした。今回の大きなテーマは「コスト=スピード」の壁をいかにして超えるかという点にある。そのため、特にモデリング環境などは検証せずに、ひたすら「富田さん、ココの色味をなんとか変えて頂きたいんですが…」というクライアントからの理不尽な要求にも耐えうる環境の構築という観点で、レンダリングスピードのみに焦点を当ててみることにした。

ギガビット環境(接続イメージ図)

ただし「ええ、良いですよ。」今まではこう答える事は、まずあり得なかったという。それは「絵」に対し、作家として譲ってはならない理由の場合もあるが、多くは再レンダリングを行う際の時間的ゆとりを、たとえ1日でもとることが出来ないからという理由であった。なぜならクライアントは1社だけではないからである。ひとたびスケジュールに狂いが生じると結果的に収集が付かなくなり、あえなくレンダリングサーバー貸し出しサービス行きとなってしまうのである。これは富田氏の以前の環境においての答えである。

作品1

ところが、今回の環境で「それでは、明日お送りいたします」とこたえることがほぼ可能になってきている。その決定的な数字がここにある。サンプルとしてレンダリングした絵(作品1)のピクセル数は縦4550ピクセル、横3780ピクセル。元は雑誌表紙用の素材である。それを既存環境下でレンダリングすると、中程度の品質設定で149802秒(約40時間)のレンダリングタイムがかかる。それに対して同じ設定を行ったテスト環境下では、なんと81565秒(約22時間)という圧倒的な数字でレンダリングを完了する。この数値を富田氏は「正に劇的な速度」と話す。

「「速さは正義なのか?」と言った類の問いには、「コスト感覚的に、速さは絶対的な正義である」と答える事の出来る我々の業界においては、この数字は強力なメッセージとして訴えかけるには十分すぎる程ですね。正直、これほどまでに差が現れるとは思ってはいませんでした。この性能差であれば気に入らない場合はもう一回レンダリングすることすら可能な時間差であると言えます。本当に最近のコンシューマ向けギガビットイーサの力は侮りがたいものがあります。ギガビットイーサ用のHUBが高性能なものであり、ギガビットイーサの性能のすべてを余すところ無く使い切れているということも手伝っているのでしょうが、それにしてもCPUパワー的にはそれほどまでの差が無いと考えていただけに衝撃は大きく、思わず2本目も行ってみたのですが結果は誤差の範囲で1本目とほぼ同じ時間でした」

しかし、この事実は富田氏にとっては極めて由々しき問題であるという。なぜなら、今までは環境にかける投資の多くをCPUとグラフィックボード、メモリー、HDDといったマシン本体そのものに費やし、周辺であるHUBやネットワークインターフェースといった部分は一番後回しとなってきたからだ。

「必要なコストはネットワークカードとHUBだけ。勿論HUBに関してはエントリーモデルからスーパーハイエンドまで多種多様な製品が存在しているが、根本的な構造はどれも同じと考えていいでしょう。グラフィックボード1枚程度の金額で出来る投資としては、環境を激変させる効果を持った最高のパフォーマンスを発揮すると感じられます。我々の業界は例えるならF1の世界のように、出来ることならば最高の機材を使って最高のセッティング状態で仕事をしてこそ、作品の品質を落とすことなく作家が本来表現したかったものが作り出されるという世界なんです。しかし、最近では職業的なCGアーティストは時間的制約に囚われ最終的にはどこかに妥協をしてしまい、本当に作りたかったもが作れないケースの方が多いと言えるでしょう。とはいえ、この今回の性能を見ると、それもこれからは大きく変わってくるかもしれませんね」

このように、たとえ発注から納品までの時間が極めて短かったとしても、職業的なCGアーティストが本当に満足のゆくものを作り出してゆける仕事環境の構築が、ギガビットイーサの導入によって簡単に実現する時代は、もうすぐそこまで迫っているといえるだろう。

■メインマシン
CPU Xeon-2.8GHz×2
マザーボード SE7505VB2
メモリ PC2100 DDR Registered ECC SD-RAM 512MB×2(計1GB)
HDD 10GB
ビデオカード NVIDIA GeForce4 MX440SE V64
CD-ROM/DVD-ROM CD-ROM
LAN Intel PRO/1000 MTデスクトップ・アダプタ(追加)
■サブマシン・フェイス FAITH Xtreme 2402/INC-X
CPU Xeon 2.66GHz×2
マザーボード Rioworks PDPEA E7505 ATX
メモリ PC2100 DDR 2GB 266MHz(512MB×4)
HDD Maxtor 6Y060L0 60GB 7200rpm
ビデオカード 3Dlabs WildcatII 5000 AGP
CD-ROM/DVD-ROM DVD-R/RW Pioneer DVD-104
FDD 3.5インチ 2mode
サウンド オンボード
LAN Intel PRO/1000 MTデスクトップ・アダプタ(追加)
マウス スクロール付 PS/2マウス
キーボード 112日本語キーボード
ケース AQUILE TiO2(光触媒空気清浄機付ケース)

■サブマシン・フェイス INSPIRE H4260AGP/DVD±RW/XP
CPU Pentium 4-2.60GHz(FSB800)
マザーボード i865PE搭載マザー
メモリ PC3200 DDR 512MB 400MHz(256MB×2)
HDD 120GB ATA100 7200rpm
ビデオカード NVIDIA GeForceFX 5200 128MB DDR TV-OUT/DVI
CD-ROM/DVD-ROM DVD±RW
FDD 3.5インチ 2mode
サウンド オンボード
LAN Intel PRO/1000 MTデスクトップ・アダプタ(追加)
マウス スクロール付 PS/2マウス
キーボード 112日本語キーボード
ケース FAITH INSPIRE ATXミドルタワーケース

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