インテル(株)は1日、都内で“インテル エンタープライズ・セミナー”を開催し、コードネーム“Madison”こと第3世代の新Itanium 2とXeon MPプロセッサーを発表した。
“インテル Itanium 2 プロセッサ” |
“インテル Xeon プロセッサ MP” |
新Itanium 2はサーバー・ワークステーション向けの64bitプロセッサーで、0.13μmのプロセスルールで製造され、L3キャッシュ容量が増えているのが特徴だ。ラインナップは『インテル Itanium 2 プロセッサ 1.5GHz/6M L3キャッシュ』『インテル Itanium 2 プロセッサー 1.40GHz/4M L3キャッシュ』『インテル Itanium 2 プロセッサ 1.30GHz/3M L3キャッシュ』の3種類。従来のItanium 2 プロセッサーに比べて30~50%性能アップが図られているという。1000個ロット時の価格は、『インテル Itanium 2 プロセッサ 1.5GHz/6M L3キャッシュ』が49万6400円、『インテル Itanium 2 プロセッサ 1.40GHz/4M L3キャッシュ』が26万4000円、『インテル Itanium 2 プロセッサ 1.30GHz/3M L3キャッシュ』が15万7200円となっている。一方のXeon MPも『インテル Xeon プロセッサ MP 2.80GHz/2M L3キャッシュ』『インテル Xeon プロセッサ MP 2.50GHz/1M L3キャッシュ』『インテル Xeon プロセッサ MP 2GHz/1M L3キャッシュ』といった3種類の高クロック版が発表された。1000個ロット時の価格は『インテル Xeon プロセッサ MP 2.80GHz/2M L3キャッシュ』が43万3700円、『インテル Xeon プロセッサ MP 2.50GHz/1M L3キャッシュ』が23万2600円、『インテル Xeon プロセッサ MP 2.50GHz/1M L3キャッシュ』が13万8300円となっている。
インテル(株)代表取締役共同社長の吉田和正氏 |
インテル(株)代表取締共同社長の吉田和正氏は、「今年はインテル創立35周年にあたるが、ムーアの法則を着実にフォローし続け、今後10年以上継続していく」と前置きし、2009年には32nm(ナノメートル)の製品が登場すると話した。また、tpmC(Transactions Per Minute C)でXeon MPは10~20%の向上、3年後の製品では4~5倍のtpmCの記録を予測している。Itanium2については「スケーラビリティーが全く違う。今後はマルチコア、次世代バスなどを組み入れてアーキテクチャーを進化させる」とし、3年後には12~13倍の性能を実現する予定であると話した。
Itanium 2は3年後には12~13倍の性能を実現する予定 |
エンタープライズ・プラットフォーム事業本部エンタープライズ・マーケティング&プランニング・ディレクタのアジェイ・マルフォトラ氏 |
また、エンタープライズ・プラットフォーム事業本部エンタープライズ・マーケティング&プランニング・ディレクタのアジェイ・マルフォトラ氏は「我々はエンタープライズ市場向けに95億ドル(約1兆1400億円)の投資をしてきた」とした上で、今後のロードマップに触れた。それによると。Itanium 2は来年に改良版が登場しキャッシュも9MBに拡張される。また、詳細は不明ながらも2005年にはデュアルコア版“Montecito(コード名)”が登場し、より大きなキャッシュを搭載するだろうとした。またデュアルプロセッサーのセグメントにおいては低電圧版Itanium 2の別のバージョンが今年の後半導入される今現在は“Deerfield(コード名)”が登場する。Xeon MPに関しては、来年にキャッシュを4MBに増やしたものが登場予定、そのあと2005年にはより大きなキャッシュを搭載した“Potomac(コード名)”が登場する。“Montecito”と“Potomac”は90nmの製造プロセスが採用される。
各セグメントに最適化されたインテルのCPU |
2005年までのロードマップ |
会場にはさまざまなメーカーからのビデオメッセージも流されたが、日本アイ・ビー・エム(株)からは「(Itanium 2は)UNIXのハイエンド市場を凌駕するのではと期待している。具体的にはデータベースマシンであったりERP、ビジネスインテリジェンス(BI)という分野で安価なシステムを構築できると思う」と話した。同社はこの日、xSeriesの最上位機種としてItanium 2プロセッサーを4個搭載のIAサーバー『IBM eServer xSeries 450』と2個搭載の『IBM eSserver xSeries 382』、XeonプロセッサMPを4から16個まで搭載可能な『IBM eServer xSeries 445』を発表した。
会場にはItanium 2を搭載する(株)日立製作所の『HA8500/630(620)』、日本電気(株)の『NX7700 series』、日本SGI(株)の『Altix 3000 Series Server』、日本ヒューレット・パッカード(株)の『Superdome』などが展示されていた |
『Red Hat Linux Advanced Server 2.1 for the Itanium Processor』を発表しているレッドハット(株)は「今回の64ビット(Itanium 2)は過去10何年間待望してきたもの。今までメインフレームでカバーしていたマーケットがLinux+Itaniumという形で一気に進展するのではないだろうか。これまで我々はずっと32ビット市場で戦ってきた。Itanium 2があればお客さんにも満足のいく提案ができる」とし、『MIRACLE LINUX 64bit Edition for the Intel(R) Itanium(R) Processor Family』を発表済みのミラクル・リナックス(株)は「我々の製品はItanium 2にも最適化されているし、オラクルのデータベースにも最適化されている。ラージスケールのシステムには最適なので待ち望んでいた。我々のマーケットは動きだしているが、対象が大型のマーケットに変化する端境期だ」と寄せた。
(株)電通国際情報サービスの産業ソリューション事業部統括マネージャー・芝田潤氏 |
(株)電通国際情報サービスのリスクマネージメント・ソリューションと現行システムの問題点 |
(株)インフォシーク代表取締役社長の森学氏 |
インフォシークではIAシステムを春に導入。その優位性を説明しItanium 2に期待していると話した |
また、Itanium2の導入を検討しているメーカーや大学として(株)電通国際情報サービス、NTTコムウェア(株)、(株)野村総合研究所、東京大学地震研究所、一橋大学経済研究所、(株)インフォシーク、富士フイルムコンピューターシステム、みずほ信託銀行といったメーカー担当者が登場した。(株)電通国際情報サービスは某大手金融機関向けのリスクマネジメントソリューションをItanium 2プロセッサーベースのクラスターで提案中。産業ソリューション事業部統括マネージャーの芝田潤氏は「6年前にシステム構築をしたが、UNIXサーバーで分散処理するのには限界がでてきた。トランザクション数の増加の旅にシステムを増加してきたが、どうしてもバス幅のネックなどでリニアに性能が向上しない。我々の検証ではItanium 2を採用した場合、かなりの性能向上が見込める」と、グラフを紹介しながら強調した。一方、検索エンジンのインフォシークからは代表取締役社長の森学氏が登場し「今年の春にIAシステムを導入した結果、RISC系UNIXサーバーに比べて5倍性能がアップした。具体的には、楽天ブックスでは160万点の書籍を扱っているがインデクシングの時間を1/5以下に短縮でき、またオークションの楽天フリマではインデクシングの時間を1/6に短縮、サーバーの台数も10台から4台に短縮できた。今年の秋にはLycosの統合が控えており、さらなるコストパフォーマンスを図ることができるものとしてItanium 2に期待している」と話した。