細かなデザインに気を配ったキーボード
最近のPDAのトレンドとして小型キーボードの搭載がある。CLIEも3月に登場した「PEG-NR70/70V」では、斬新な折りたたみギミックによりキーボードを搭載した。ただし、NRシリーズは派手な本体ギミックの代償として、本体自身の大型化やバッテリ寿命の低減、使用時のバランスの悪さといったデメリットも抱えている。
写真4 オプションのミニキーボード。写真ではわかりにくいが、キートップの光沢間などかなりデザインに力を入れた印象だ。 |
キーボードには4つのアプリケーションボタンと「ホーム」「メニュー」「キーボード」「検索」ボタンを装備しており、スタイラスなしでほとんどの操作を行える。低速なPalmではキーレスポンスが悪く、あまり快適にキーボードを利用できないケースもあるが、Palm最速のDragonBall Super VZ-66MHzを搭載した本機ではその心配はない。
打ち心地に関しては、利用頻度の高い「Fn」キーが下側に欲しいといったレイアウト上の要望点はあるが、まずまず打ちやすい。「同じ形状のキーがスクエアに並んでいるため、ホームポジションがわかりにくい」など、慣れが必要な部分もあるが、手書き認識のように誤認識をいちいち修正するストレスがないため、Graffitiになじめない乗り換え組みやPalm初心者にはいいだろう。
写真5 キーボード装着の図。善し悪しに関しては各人の判断に任せる。Graffitiエリアを隠してしまう形になるが、アプリの呼び出しなどはキーで行える。 |
これ以外で利用頻度の高いオプションとしては、TypeIIのCFスロットを装備した通信アダプター「PEGA-CF61」が挙げられる。充電池を内蔵するほか、PEG-NRシリーズ用の通信アダプター「PEGA-CF70」と同様に、メールの自動着信機能も備える。
- C@rdH“64またはAirH”を使用している
- H”LINKのメールアドレスを使用している
- H”LINKセンターの設定でメール通知がオンになっている
- H”LINKセンターの設定でPCからPRINを経由してH”LINKセンターのEメールサービスを利用するためのIDを取得している
という条件を満たしているなら、PメールやEメールを着信した際に自動的に受信し、LEDやアラームで通知することも可能だ。
写真6 通信アダプターを装着すると意外にかさばる。コンパクトなPalmデバイスでは、Bluetoothカード+Bluetooth対応携帯を利用するほうがよりスマートな通信スタイルと言えるかもしれない。 |
買い替えユーザーにも魅力的な選択肢
新モデル発表と同時にソフト面も大幅に強化するのがCLIEの通例だったが、ソフト面では、付属のWord/Excelファイルビューア「Documents To Go」がジョグダイヤルで拡大縮小可能になるなど、細かな変更に留まる。ソフトのバージョン/構成に関しては基本的にはPEG-NRと同等である。
ハイレゾ液晶を生かした地図ビューアの「Navin’You Pocket」や画像ビューアの「PictureGear Pocket」。CLIEをOutlookと同期可能にする「IntelliSync Lite」や上述の「Documents To Go」などサードパーティ製アプリなど豊富な構成だ。ただし、Webブラウザの「Xiino」は今回も90日間の体験版(7月末まではSony Styleで優待販売:価格未定を実施)となる。
PEG-T650Cの価格はオープンプライスで、実売価格は4万円弱となる見込みだ。本機の特徴はなによりも12.5mm/140gと非常にコンパクトなカラーデバイスである点に尽きる。
Palmデバイスと言うことで、通信や基本性能に若干の制限がある点、薄型端末のためバッテリ寿命に制限がある点(音楽再生時で連続4.5時間)などは不満だが、ハイレゾで文字の見やすい液晶を備え、マルチメディアにも対応するPDAとしてはかなり高いコストパフォーマンスを持つ製品と言える。
CLIE PEG-T650Cの主なスペック | |
製品名 | CLIE PEG-T650C |
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CPU | Dragonball Super VZ-66MHz |
メモリ | 16MB(DRAM)/8MB(フラッシュROM) |
表示 | バックライト付き反透過型カラーTFT液晶(320×320ドット/6万色) |
スロット | メモリースティック×1 |
電源 | リチウムイオンポリマ充電池(800mAh/5.2V) |
バッテリ駆動時間 | 通常使用時10日間、音楽再生時4.5時間(液晶オフ)/1.5時間(液晶オン) |
本体サイズ | 71.8(W)×12.5(D)×118(H)mm |
重量 | 約140g |