日本ヒューレット・パッカード
オープンプライス(hp e-select価格:8万9800円)
外出先でも文書作成やメールの送受信をバリバリと行いたいユーザーにとって、キーボード付きのWindows CEマシン(Handheld PC)が、重要な選択肢であることは変わりない。そして、Handheld PCの代表選手と言えば、やはり日本HPの「Jornada」だろう。
タッチタイプも可能なミニチュアキーボード
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写真1 Jornada 728のキーボード。13.2mmピッチと小ぶりながら、配列に無理がなく打鍵しやすい。Alt+ファンクションキーのコンビネーションで、あらかじめプロファイリングしておいた液晶輝度や音量を一発切り替えできるのは便利だ。 |
Handheld PCは、その形状やサイズからWindows XP搭載のミニノートと比較される機会が多いが、メールの送受信や文書作成などテキスト作業が中心なら、断然Handheld PCがお勧めだ。理由は瞬時にOSが起動し、スグに作業を開始/中断(レジューム)できる機動性の高さと、標準で10時間を超す長いバッテリ寿命。もちろん高解像度画面でのWebブラウズやマルチメディア処理など、機能の豊富さではノートPCに及ばないが、重量は500g前後と軽く、XPミニノートの半値以下の価格で買える価格の安さも魅力だ。 ※1 Handheld PC 2000 Microsoftが提唱するWindows CE機器の1プロファイルで、正式名称は「Windows Powered Handheld PC2000 日本語版」。Windows CE 3.0をベースにInternet Explorer 4.0ベースのWebブラウズ機能、Windows Media PlayerやPocket版のWord/Excelを装備する。形状はキーボードを備えた一回り小さいミニノートタイプ。
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写真2、3 Jornada 728(上)と前モデル「jornada 720」(下)の天面。サイズや形状は変わらないが、カラーリングの変更で印象が大きく異なった。 |
前モデル「jornada 720」と比較して、スペック上の強化ポイントは、
- メモリ容量を従来の32MBから64MBに増量
- 連続駆動時間が従来の10時間から14時間へと大幅に向上
――という2点。ともに実用性という観点では重要なファクタだが、あまり目新しさがないのも事実。ただ、個人的には、製品としての機能より撤退していく企業が多いHandheld PC市場に、HPが継続して取り組む意志を示したことに大きな意味があるように感じた。
本体サイズは189(W)×95(D)×34(H)mmと、VHSテープより一回りスリムな大きさ。重量は515gと従来の510gから微妙に増えているが、これはバッテリパックが高密度化したためだ。また、別売で大容量タイプの「拡張バッテリ」(価格2万8000円)も用意されており、装着した際の連続駆動時間は3倍(42時間)に延びる。これらのバッテリパックは、従来機のjornada720/710でも使用可能だ。
Jornadaシリーズがヘビーモバイラーに支持されてきた最大の理由はキーボードである。小型化を優先したデバイスでは、キー配列やタッチにしわ寄せがくるものだが、本機にはそういった理不尽さはない。キーピッチは13.2mmとやや窮屈なものの、デスクトップPCの配列をそのままミニチュア化し、キーサイズも均等なためタッチタイプしてみても違和感はない。ストロークは1.5mmで、きちんとしたクリック感もある。文字入力時の難点を強いて挙げるなら、キーボードよりも液晶表示だ。STN方式のために反応速度が鈍く、バックライトの強さも画面の左右で大きく異なり、かなり見づらい。
Handheld PCで競合するのは、NTTドコモの「sigmarion II」だ。sigmarion IIは実売価格3万円台と安価なものの、メモリ容量が32MBと少なく拡張スロットもTypeIIのCFのみしか持たない。ドコモ以外のPHSカードはサポートしないほか、キー配列にも若干の癖がある。一方、本機はPCカードスロットに加え、TypeIのCFスロット(アンテナが出せないのでPHSデータ通信カードは装着負荷)、56kbpsモデムなどを装備する。
実売で8万円台後半という価格は確かに安価ではないが、短期の出張にも対応できるポケットサイズの通信/テキスト入力端末が欲しいというニーズを満たす製品として右に出るものはない。本機の能力を生かせる明確な目的を持ったユーザーには価格以上の価値がある製品だ。
hp Jornada 728の主なスペック | |
製品名 | hp Jornada 728 |
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CPU | StrongARM(SA-1110)-206MHz |
メモリ | 64MB |
表示 | 6.5インチカラーSTN液晶(640×240ドット/6万色) |
スロット | PCカード×1、CF TypeII×1 |
キーボード | ピッチ13.2mm/ストローク1.5mm |
電源 | 専用リチウムイオン充電池、ボタン電池(CR2032) |
バッテリ駆動時間 | 約14時間(非通信時) |
本体サイズ | 189(W)×95(D)×34(H)mm |
重量 | 515g |
競合・関連製品レビュー
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NTTドコモ「sigmarion II」レビュー | NEC「モバイルギアII MC/R450」レビュー | |
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日本ヒューレット・パッカード「hp jornada 720」レビュー | 日本ビクター「InterLink MP-C303」レビュー | |
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