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カシオ、名刺サイズデジタルカメラ『EXILIM』を6月21日に発売――日本市場向け“パールホワイト”も

2002年05月14日 02時53分更新

文● 編集部 田口敏之

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カシオ計算機(株)は13日、124万画素CCDを搭載する名刺サイズのデジタルカメラ『EXILIM(エクシリム)』を、6月21日に発売すると発表した。液晶ディスプレー付きデジタルカメラとしては、11.3mmで世界最薄という『EX-S1』と、MP3オーディオ再生機能やボイスメモ機能などを搭載する上位モデル『EX-M1』の2モデルを用意している。価格はオープン(編集部による店頭予想価格は、EX-S1が3万円台前半、EX-M1が4万円台前半)。

EXILIM
左のモデルが持っているのが、本体色に“パールホワイト”を採用したEX-S1。右側のモデルが持っているのがEX-M1。中央は同社常務取締役の鈴木洋三氏

EXILIMは、有効画素数124万画素のCCDを搭載し、本体サイズが幅88×奥行き11.3(EX-M1は12.4)×高さ55mm、重さが約85g(EX-M1は約87g、本体のみ)で、液晶ディスプレー付きのデジタルカメラとしては世界最薄という。SDカード/MMCを記録媒体に採用し、本体にも12MBのフラッシュメモリーを内蔵するため、SDカード/MMCがなくても静止画やボイスメモ(EX-M1のみ)を記録できる。起動時間は約1秒、レリーズタイムラグ(シャッターを押してから撮影までに要する時間)は約0.01秒、撮影間隔は約0.6秒。付属のリチウムイオンバッテリーを使用し、液晶ディスプレーをオンにした状態で約480枚、約1時間20分の連続撮影が可能。同社は3月14日に、ドイツのハノーバーで開催された“CeBIT 2002”において同製品の発表会を行ない、また同日付で、日本でも同製品のプレスリリースを発表している。その時点で発表されたスペックから、特に変更点などはないが、EX-S1は本体カラーを、日本市場でのみ“パールホワイト”と“シルバー”の2種類から選択できる。EX-M1の本体カラーは、“シルバー”のみとなる。

鈴木氏
鈴木氏「究極の携帯性を備えたデジカメを提案したい」

発表会において、同社常務取締役の鈴木洋三氏は「当社は1995年、現在のコンシューマーデジタルカメラの起源とも言える『QV-10』を世の中に送り出した。その後のデジカメ市場の急速な拡大はご存じの通りで、日本ではつい昨年、デジカメが銀塩カメラを出荷台数で追い越した。しかし我々は、画素数を中心としたデジカメの進化は、銀塩をデジカメに置き換えたに過ぎないのではないかと考えてきた。そして世の中は、デジカメならではのスタイルを欲していると考えた。これに応え、究極の携帯性を備えたデジカメを提案したい」
「EXILIMはカードサイズだが、単に薄いだけでは本当の意味での携帯性は成し得ない。電源を入れてすぐ撮れる、シャッターチャンスを逃さず押した瞬間が撮れる、そして2枚目3枚目がすぐ撮れるという、3つのクイックレスポンスが備わってこそ、携帯性に優れたデジカメと言える。このEXILIMによって、日常の瞬間を切り取ることができるデジカメを提案できたと考えている」
「画質においても、画素数競争と一線を画し、見た人の心に訴えるという写真本来の役割を重視した。これによって、人々に伝える、新しい画像コミュニケーションの文化を作っていきたいと思っている。ご期待いただきたい」としている。

高島氏同社開発本部QV部部長の高島進氏「EXILIMによって、新しい画像文化が始まると信じている」

続けて、同社開発本部QV部部長の高島進氏が、製品と技術についての説明を行なった。同氏は「技術的な背景と性能を説明することによって、EXILIMの良さを伝えたいと思う。同製品には、携帯性、俊敏性、描写性という3つの大きな要素があり、それぞれのために新たに開発を行なった」

EXILIMの3つの要素
携帯性、俊敏性、描写性という3つの大きな要素

「携帯性については、携帯電話に近い本体サイズと重量を可能にした。このために、従来のレンズ構成を根本的に改め、薄型化が可能な“インバートテッサー方式”(※1)のレンズ構成を採用し、非球面レンズと、新開発の“プログレッシブCCD”を一体化する“HCLi(Hyper CCD-Lens integration)”技術を開発した」

※1 インバートテッサー方式 :テッサー(Tessar)レンズとは、3群4枚構成のレンズのことで、後群(フィルム側)のレンズが接合されて2枚重なっているものを指す。インバートテッサー方式では、薄型化のために、被写体側(前群)のレンズが接合されているレンズのこと。さらに同社は、後群のレンズに非球面レンズを採用することによって、さらなる薄型化を図っている。同方式は、EXILIMのために独自に開発した技術という。

新開発のHCLi
薄型化が可能なレンズ構成を採用し、非球面レンズと、新開発の“プログレッシブCCD”を一体化する“HCLi(Hyper CCD-Lens integration)”技術を開発した

「また、デジタルカメラのシステムを新たに開発し、“MCM(Multi Chip Module)”の形にまとめた。CPU、ASIC、SDRAM、フラッシュメモリーの4チップを、パッケージ化せずにシリコンチップのまま1つのモジュール基板に構成することで、基板面積を従来の70%(同社比)に縮小した。回路基板は、コンパクトフラッシュカードとほぼ同等の大きさとなっている。またこれにより、従来の3分の1(同社比)の省電力化と低ノイズ化も可能にした」

MCM
CPU、ASIC、SDRAM、フラッシュメモリーの4チップを、パッケージ化せずにシリコンチップのまま1つのモジュール基板に構成することで、基板面積を従来の70%(同社比)に縮小した
基板
回路基板は、コンパクトフラッシュカードとほぼ同等の大きさ

「さらに、搭載する液晶ディスプレーには、デジタルカメラでは世界で初めて、“デジタルインターフェースTFT液晶”を開発・採用した。デジタル画像をアナログ信号に変換して入力していた従来の液晶ディスプレーと異なり、LSIからのデジタル信号をそのまま入力できるため、より鮮やかな画像を映し出すことが可能となっている。また部品点数を削減し、基板の省スペース化を可能にしている」

TFT液晶ディスプレー
デジタルカメラでは世界で初めて、撮影した画像のデジタル信号を直接入力できる“デジタルインターフェースTFT液晶”を開発・採用したという

「俊敏性については、新開発のLSIシステムとファームウェアの改良によって、起動時間約1秒、レリーズタイムラグは0.01秒、撮影間隔は0.6秒という高速な動作を可能にした。これにより、携帯性と併せて、日常の撮りたい瞬間を撮ることができる」

瞬間を撮影
カシオのスタッフがEXILIMを持って車に乗っていた時に、偶然交通事故現場に遭遇し、撮影を行なった際の画像。交差点を右折する数秒の間に、3枚の画像を撮影している

「描写性については、薄型や携帯性を重視したとき、130万画素CCDで十分だと考えた。解像度だけで画像が決まるのではない。また最近の傾向として、CCDのセルサイズを小さくすることによって、ダイナミックレンジが小さくなりノイズも多くなるなど、CCDそのものの性能が落ちることがある。我々は微妙な色合いを表現するために、130万画素クラスのCCDでは現在主流となっている3.2分の1インチCCDよりもひと回り大きい、2.7分の1インチプログレッシブCCDを新開発した。また、新画像処理システムLSIとMCMの開発により、豊かな色と階調の再現が可能となっている」

「以上の3つの要素を兼ね備え、EXILIMはどこでも、どんな瞬間でも撮影を行なえる。これによって、新しい画像文化が始まると信じている」と述べた。

同社の説明員に、開発期間と開発チームについて尋ねたところ、「同製品はこれまでのデジタルカメラの開発チームとは別に、新たにチームを結成して、2年間かけて開発した」という答えが返ってきた。また、日本市場向けの新色“パールホワイト”を採用した理由については「日本のほうが、EXILIMのような(超小型の)製品が受け入れられやすい土壌がある。その中で、パールホワイトを採用して、若い女性をターゲットとした販売展開を図りたい」とした。なお、EXILIMのために開発した技術は、今後デジタルカメラだけでなく、携帯電話などの同社の製品に反映していくという。同社では、2002年度に全世界で50万台の販売を見込んでいる(欧米向けには、7月上旬に販売を開始する予定)。

パールホワイト
本体カラーに“パールホワイト”を採用したEX-M1。若い女性を主なターゲットとしている
MP3再生機能、ボイスメモ機能などを持つEX-M1
MP3再生機能、ボイスメモ機能などを持つEX-M1

EXILIMのスペックについては以下の通り。2.7分の1インチで有効画素数124万画素(総画素数134万画素)の正方画素原色CCDを搭載。F値は2.5で、焦点距離は5.6mm(35mmフィルム換算で37mm)。レンズは単焦点で3群4枚構成。撮影可能距離は約1m~∞。ホワイトバランスはオートのほか、マニュアルが太陽光/日陰/電球/蛍光灯の4モードから設定可能。測光方式は、撮像素子によるマルチパターン測光。露出制御はプログラムAEで、3分の1EVごとに±2.0EVの範囲で露出補正できる。撮影関連機能として、セルフタイマー撮影(作動時間10秒)、夜景モード、30秒の動画撮影機能(EX-M1は音声付き動画を撮影可能)、音声付き静止画撮影機能(EX-M1のみ)、4倍のデジタルズーム機能を備える。シャッターは電子/メカシャッター併用で、スピードは4分の1秒~8000分の1秒。フラッシュの発光モードはオートのほか、強制発光/発行禁止/赤目軽減の3モード。本体には8万4960(354×240)ドットの1.6インチTFTカラー液晶ディスプレーを搭載する。

たばこと比較
キングサイズのたばこの箱(サイズは幅55×奥行き22×高さ88mm)と比べても、約半分以下の薄さ。本体下部に、SDカードスロットとUSBクレードルとの接続端子を備える(EX-M1の場合、リモコン接続端子を兼ねる)

記録形式は静止画がJPEG、動画がAVI、ボイスメモがWAV/ADPCM(1秒あたり4KB)。記録画像サイズは1600×1200/1280×960/640×480ドットの3種類で、撮影画質はFINE/NORMAL/ECONOMYの3種類。このうち1600×1200ドットの画像は、カメラ内での画像処理機能“Pixel Generator”によって、200万画素相当の画像となっている。動画の記録サイズは320×240ドットで、1秒あたり15フレームの動画を1度に最大30秒撮影できる。EX-M1では音声付き動画が撮影可能。内蔵メモリー(12MB)を利用して、1600×1200ドット/FINEで撮影する場合、約10枚の記録が可能。1280×960ドット/FINEの場合は約16枚、640×480ドット/FINEの場合は約57枚の記録が可能。ボイスメモ(EX-M1のみ)は約50分間の記録が可能。動画は約1分20秒まで記録できる。

付属のリチウムイオンバッテリー。CFカードとほぼ同等の厚みで、大きさも約1.5倍しかない
付属のリチウムイオンバッテリー。CFカードとほぼ同等の厚みで、大きさも約1.5倍しかない

付属のリチウムイオンバッテリーを使用する場合、約1時間50分の連続再生と、約1時間20分の連続撮影(約480枚)が可能。これに加えてEX-M1は、約5時間30分のMP3オーディオの連続再生と、約1時間20分のボイスメモの連続録音が可能となっている。

EX-M1の裏面
EX-M1の本体裏面。撮影/再生/ボイスメモの切り替えスイッチとスピーカーを備えている

このほか、撮影した画像を“お気に入り”フォルダーに、320×240ドットのサイズでコピーする機能を持つ。このフォルダーは内蔵メモリー内に設けられ、通常の再生時には表示されないので、プライベートな画像を持ち歩くことができるという。また、本体裏面の“コントロールボタン”の左右の操作に、撮影モード/露出補正/フラッシュ発光モード/ホワイトバランスの操作のうち1つを割り当てられる機能“キーカスタマイズ”を備えている。さらに、“ExifPrint(Exif2.2)”および“PRINT Image Matching II”に対応しており、ExifPrint対応のプリンターや、セイコーエプソン(株)のPRINT Image Matching IIに対応したプリンターを利用すれば、記録された画像に適した印刷出力を得られるとしている。

EX-M1に付属するリモコン
EX-M1に付属する専用リモコン。液晶ディスプレーに曲名やアーティスト名を表示できる。下部に再生/停止、早送り/巻き戻しボタンを備え、上部に音量ボタンなどを備える。裏面には、リモコンを服の襟などに留めるためのクリップが付いている

同製品には、専用のリチウムイオンバッテリー、USBクレードル、専用ACアダプター、USBケーブル、ストラップ、付属ソフトを収録したCD-ROMが付属する。このほかEX-M1には、液晶ディスプレー付きリモコンとステレオヘッドホンが付属する。SDカード/MMCは別売りとなる。

MP3オーディオ
MP3オーディオの再生時には、本体の液晶ディスプレーで曲名やアーティスト名のリスト表示を行なえる(約10秒で自動的に液晶ディスプレーはオフになる)

EX-M1でMP3オーディオを再生する際には、液晶ディスプレー付きリモコンに、再生中の曲名やアーティスト名などのID3データを表示するほか、本体の液晶ディスプレーに、曲名とアーティスト名、演奏時間をリスト表示できる(英数字のみ)。液晶ディスプレーは、約10秒で自動的にオフになる。

付属ソフトとして、撮影した画像や動画をパソコンに取り込むためのソフト『Photo Loader』と、カラー・コントラスト・明るさなどのレタッチと、プリントが行なえるソフト『Photohands』などをCD-ROMに収録している。対応OSは、PhotoLoaderがWindows 98/Me/2000/XP、Mac OS 7.6.1~9。PhotohandsがWindows 98/Me/2000/XP。クレードルをパソコンに接続するための、USB接続用のドライバーの対応OSは、Windows 98/Me/2000/XP、Mac OS 8.6~9となっている。

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