【Macworld Tokyo 2002 Vol.1】Macworld Tokyo 2002開催――Mac OS XがBluetooth対応、10GB iPod登場、そしてiMacは値上げ!
2002年03月22日 15時25分更新
3月21日、“Macworld Conference & Expo/Tokyo 2002”が東京ビッグサイト(東京・有明)を会場に開幕した。開催初日の21日は、朝、9時半よりSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏の基調講演が行われた。講演会場には東ホールの一区画を区切って、巨大なステージを設けて行なわれた。休日ということもあり、会場には6000人を超える来場者が集まった。
アップルCEOのSteve Jobs氏 |
Jobs氏は、講演の冒頭、プレゼンテーションのメニューを紹介した。それらのポイントは、1.Mac OS X、2.Digital HUB、3.iMac、4.Bluetooth、5.Cinema Display、6.iPodだ。やはり新製品の発表がないことをここで再確認できた。まず、Jobs氏は、Mac OS Xの対応アプリケーションが本日までに2650となり、順調に対応が進んでいるとし、その中にはMicrosoft Office Xなどの主要なアプリケーションがあることを強調した。そして、主要なアプリケーションにはまだ対応がなされていないものもあり、最も待ち望んでいる製品に、Adobe Photoshopがあるとし、Adobe Systemsの上級副社長、Shantanu Narayen氏を招いた。
アドビはAdobe Photoshop 7をプレビュー
アドビはAdobe Photoshop 7をプレビューした |
Narayen氏は、Mac OS X対応アプリケーションとして、プロ向けレイアウトプログラムの『Adobe InDesign 2.0』や発表されたばかりのウェブオーサリングプログラムの『Adobe GoLive 6.0』を紹介した。デモでは、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のドキュメントをInDesignでレイアウトしたものをHTMLに書き出し、それをGoLiveで受け取ってIEで確認するというものだった。さらにこれらの製品の連携で欠かせない画像編集プログラムであるAdobe Photoshopの次期バージョンを紹介した。
新しいPhotoshopはすべて日本語化されており、発表の時期が近いことが伺えた。インターフェースには、Photoshop Elementsに採用されたファイルブラウザが採用されていた。また、先のデモで使ったロード・オブ・ザ・リングのドキュメントに使われている印刷用の画像(160MB)にフィルターをかけるのも快適に行なえ、高速でプレビューできると紹介した。なお、新しいPhotoshopは今回の同社ブースでは紹介していない。
続いて、ヒラギノ2万文字をフルに使うことで、MacはもちろんWindowsの世界でも実現していなかったフォント環境を提供しているエルゴソフトのソリューションが紹介された。プレゼンテーションの壇上に上がったのは、エルゴソフトのCEO、襟川陽一氏、というよりは、光栄の“シブサワコウ”といったほうがいいかもしれない。襟川氏は、日本語入力プログラムの『EGBRIDGE』と対応ワープロ『EGWORD』のデモを行ない、異字体のサポートで渡辺の「辺」や高橋「高」など、それぞれの由緒正しい表示が可能になったことを強調、「これはWindowsにはできない!Macはすごい!」と連発した。
エルゴソフトはEGBRIDGE、EGWORDで強力な日本語環境を紹介した |
次に登壇したのは、FileMakerのCEOのDominique Goupil氏。Goupil氏は、iModeへの対応を果たしたデータベースサーバソフト『ファイルメーカーMobile for i-mode』のデモを行なった。実際にiモードを使って、データベースに収められた製品情報にアクセスしてみせた。なお、同製品にはMac OS Xバージョンのほかに、Windowsバージョン、Red Hat Linuxバージョンがある。
ファイルメーカーMobile for i-modeのデモでは実際にiモード携帯電話を使ってアクセスしてみせた |
続いて、アップルのプロダクトであるFinal Cut Proが紹介された。デモを担当したのは、同社プロダクトマーケティング担当Mike Evangelist氏。Evangelist氏は、Final Cut Proがプロフェッショナルのデジタルビデオエディテング業界においてNo.1であるとし、デモを行なった。デモでは、ロックグループ『LOVE PSYCHEDELICO』のビデオクリップを使って、編集作業を行なって見せた。特にエフェクトをリアルタイムで行える“リアルタイムエフェクト”や“リアルタイムカラーコレクション”などを紹介し、パーフォマンスの高さを強調した。
強力なビデオエディティングが行なえるFinal Cut Pro。人物の色味などもリアルタイムで修正を加えられる |
対応アプリケーション紹介の最後を締めくくったのは、LucasFilmのDan Gregoire氏。同社のAnimatist SuperviserであるGregoire氏は、まもなく公開される(米国では5月、日本公開は7月)『StarWars EPISODE II ATTACK OF THE CLONES』の制作課程についてプレゼンテーションした。
スターウォーズの人気キャラクター、R2-D2が特別出演 |
冒頭、キャストのひとりからメッセージがきていると語ると、スクリーンにR2-D2が登場した。R2-D2は「ようこそMacworld Tokyoへ。フォースが共にあらんことを!」とビープ音を使ってしゃべった(もちろん日本語字幕で)。
続いて、Gregoire氏は同作品のVFX製作には欠かせなかったという3DCGソフト『Maya』を使った制作の様子を紹介した。デモでは、昨年市場投入された『Maya for Mac OSX』でのシミュレーションを行なった。画面ではバトルドロイドが単純に倒れる物理運動から、これにクローン・トゥルーパーからの攻撃で後ろにとばされるシミュレーション、そして、これらの動きを集団で動かすところまで紹介した。さらにこの完成画面となるクローン・トゥルーパーとバトルドロイドの戦闘シーンを交えたフルバージョンののトレイラーが初めて公開された。
『StarWars EPIOSODE II』の制作にもMayaが使われた |
クローン・トゥルーパーとバトルドロイドの戦闘シーンがQuickTime Playerで確認できる |
クローン・トゥルーパーとバトルドロイドの戦闘シーンのフルトレイラー |
Digital HUBではiTunes、iMovie、iDVD、iPhotoを紹介
2番目のDigital HUBでは、同社のデジタルハブ戦略の製品であるiTunes、iMovie、iDVD、iPhotoなどがデモを交えて紹介された。続くiMacでは映画監督のフランシス・フォード・コッポラなどの数名の著名人がiMacをたたえるビデオが流された。そして、今回の基調講演で最悪のニュースがJobs氏自身の口から伝えられた。
Jobs氏は、良いニュースと悪いニュースがあるとし、まず、良いニュースとして大変ヒットしている、と語った。需要の高さに供給に苦労しているが、4月までには需要に応えるとした。Jobs氏は「あまり出荷していないのではないか、という疑念があるが、実際には12万5000台を出荷している。リテールストアに優先出荷しているとの噂もあるが、実際にはリテールストアには10%しか出していない。他はリセラーに出荷されており、日に5000台出荷している」とした。
悪いニュースは、部品コストの急騰を理由とした価格改訂、すなわち値上げだった。メモリはこれまでの200%、ディスプレイは25%と価格が高騰しており、そのために機能をダウンするか、価格を上げるかの選択を業界のどの企業もその選択に迫られたいるとし、同社は値上げを選んだ。新しいiMacの価格は、100ドルアップされ、日本では2万円を値上げとなる。現在、市場に投入されているフラッグシップモデルのSuperDrive搭載モデルは24万8000円となる。ただし、現在、予約されている分などはこれまでの価格となるということだ。
次はBluetoothの話だ。アップルはこれまでいち早くEthernetを標準搭載し、USB、FireWire(IEEE1394)などの規格を実際に使えるものとしてきたが、ワイヤレス・ネットワークの分野ではAirMacを導入し、IEEE802.11bの普及に貢献した。そして、今度はワイヤレスでの周辺機器との接続において、Bluetoothを実際に使えるものにしようという。そのための提案として、『Bluetooth USBアダプタ』と『Bluetoothソフトウェア』を使ったデモを行なった。
デモでは『Palm Desktop for Mac OS X』を使って、ソニーCLIEとMacのホットシンクをBluetoothで行なった。また、64k PHSのBluetooth対応機を使って、ワイヤレスでインターネットにダイアルアップで接続して見せた。このBluetoothソフトウェアは、次にリリースされるMac OS Xに組み込むとのことだが、ベータ版は現在、ダウンロード可能だ。Bluetooth USBアダプタは、国内では5月はじめに販売される。価格は、49ドル、6000円となる。
Bluetooth USBアダプタは5月発売 |
PalmDesktopとBluetoothでのホットシンクが可能になった |
続く、新プロダクツは『Apple Cinema HD Display』だ。23インチ、1920×1200ピクセルの高解像度で、1670万色をサポートしたHigh DefinitionのCinema Displayだ。Jobs氏は、Final Cut Proなどを使うプロのクリエイターに支持されるだろう、とした。価格は3499ドル、44万9800円。4月発売。
そして、デジタルオーディオプレイヤーiPodに新バージョンが加わった。最大のポイントは容量だ。これまでの5GBから10GBに変更された。これにより10GBハードディスクに2000曲を収めることができる。価格は6万2800円(10GBモデル)。Apple Storeで購入した場合のサービスとして“カスタムレーザーエングレービング”が紹介された。これはiPodの背面に好きなメッセージを刻印できるものだ。価格は49ドル、6000円。
iPodeでアドレス帳を見ることができる。これはiPodのPDA化の予兆か? |
最後はiPodに自分の管理しているアドレスリストをダウンロードできるようになったことだ。iPodはvCardに対応しているので、これをサポートしているPalm、Microsoft Entourage、アップルのAddress Bookのデータを扱うことができる。これにより、iPodで2000曲の音楽と1000件のアドレス帳を持ち歩くことが可能となった。これはCLIEがPDAの側から音楽を取り込んでいったのと反対のアプローチと見て取れる。なお、これらのiPod関連のサービスなどはすでに開始された。