2/25にIntelが発表したXeon用の新チップセット“E7500”を搭載するSupermicro製マザーボード「P4DP6」がいきなり販売開始。ぷらっとホームで10万9800円の値がつけられている。
Intel純正のサーバ向けチップセット“E7500”とは
E7500は、これまでワークステーション用と位置付けられていたi860チップセットに対し、サーバ用と位置付けられているチップセット。米国時間25日に発表されたもので、E7500はi8xxシリーズと同様にHubアーキテクチャ・スタイルを踏襲しているが、一方で各部はサーバー用途向けに大幅に強化されているのが特徴だ。
ICH3“FW82801CA”。チップ上には“SECRET”の文字も見える |
構成は従来のノースブリッジに相当するMCH(E7500)、同じくサウスブリッジに相当するICH3、そしてPCI-Xをサポートする“P64H2”、BIOS ROMである“FWH”。帯域はMCH‐ICH3間が8bit/66MHz×4clock(266MB/sec)と従来と変わらないものの、MCH‐P64H2間が16bit/66MHz×8clockに引き上げられ、PCI-Xの最大転送レートである1GB/secに到達している。
i860と大きく違う点はメモリがRDRAM(RIMM)からDDR SDRAM(DIMM)となっていること、そしてi860では4XのAGPをサポートしていたが、E7500ではAGPそのものがサポートされていない点だろう。なお、DIMMについては2チャンネル用意され、100MHzのDDR(PC1600/DDR200)により、メモリ帯域は3.2GB/secとなっている。CPUバスが400MHz相当、64bitバスで帯域は3.2GB/secとなっているのはi860と同じで、メモリバスとCPUバスはi860と同様に同期している。
最新すぎる(?!)仕様満載の「P4DP6」
そんなE7500を搭載するP4DP6ではDDR SDRAMスロットを8スロット装備。最大で16GBまでサポートする。使用できるメモリはレジスタードタイプのPC1600 DDR SDRAMのみであり、通常のアンバッファードタイプは使用できないので注意したい。2チャンネル構成のためメモリ増設は2枚単位となるのはi860と同じ。
注目すべきはPCI-Xのサポートだろう。これまでPCI-Xをサポートするギガビットイーサネットカードは発売されているものの、肝心のマザーボードが発売されておらず、P4DP6が自作用マザーボードとしては初の対応製品となる。ここで注意したいのは、P4DP6では6本のPCIスロットを持っているが、すべてのスロットが最高クロックである133MHzに対応しているわけではない点。また組み合わせによって制限も発生し、133MHz/PCI-X使用時は最大で2スロットまでのサポートとなり、残りの4スロットは活用できなくなる。6スロット全てを使用する場合は、100MHz/PCI-Xが2スロットまで、残り4スロットは66MHz/PCIでまでという制限がつく。
バスクロックの設定は基板上にあるジャンパスイッチで切り替えることが可能 |
ここで気になるのは一番上にある茶色のPCI-Xスロット。これはご覧のように通常の64bit PCIよりも長くなっており、i486時代のVL-Busを彷彿とさせるが、“PCI-X VX-Bus”(Virtual Extended Bus)と呼ばれるバスで、Intelが進めている次世代アーキテクチャ“3GIO”に対応するカードがここに差せるようになっている。3GIOに対応するコントローラとしては“82808AA”というIntel純正のチップがあり、研究用の製品は存在するものの一般に売られているわけではないため、現時点での使い途はない。また策定中の規格であるため実際にカードが登場しても正常に動作する保証は当然ながらないという、なかなかトンデモないバスである。
続いてICH3。これはICH2の機能拡張版で、IDEはUltra ATA/100までのサポート、USBは1.1となっている点はICH2と同じ。しかしICH3ではPCI Bridgeを内蔵しておりICH3の下に各種PCIデバイスが接続できるようになっている。ただし前述したようにPCI-X×6という仕様のP4DP6ではICH3がサポートするPCIスロットは用意されておらず、この機能はオンボードで搭載されるビデオ機能(ATI RageXL(VRAM 8MB))やネットワークコントローラ(i82550×2)を接続するために使われている。
このほか、P4DP6にはオンボードでAdaptec製のSCSIコントローラ“AIC7899W”が搭載されているのを確認可能。一方で基板上にはZCR(Adaptec Zero-Channel SCSI RAID)のパターンはあるものの、ソケットは用意されておらず、代わりに用意されているのが緑色のスロットで、Low Profile 64bit PCIタイプの“Adaptec 2000S”を差す仕様となっている。
P4DP6がサポートするCPUは、Intelの発表では“E7500と同時にリリースされたサーバ向けのXeon(L2=512KB、1.8/2.0/2.2GHz)”。つまりは昨年からアキバで流通しているPrestoniaコア版Xeonのことだろう。このリリースでIntelは執拗に“サーバ向けXeon”という表現を繰り返しているが、これは「従来の、Hyper-ThreadingをサポートしないFosterコアのXeon(L2=256KB)をE7500上のシステムに使わないように」というメッセージと推測できる。
電源は「P4DC6/P4DCE」などと同じSSI EPS/12Vに対応するものが使用可能。既存の「SP401RA/SP420RA」にて動作するようだ |
まだ普及していないPCI-Xを試してみたい人、まだ見ぬ3GIOに憧れる人には、たまらないスペック。現時点で間違いなく最高のパフォーマンスが期待できると同時に、未曾有の人柱マザーだとも言えるだろう。
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