「SRCMR」。カードサイズはLow Profileである一方で付属のブラケットは標準サイズになっている。基板上には40ピンコネクタの空きパターンが見え、バッテリバックアップオプションが付く可能性もあるが、詳細は不明 |
Intelから一風変わったRAIDコントローラカード「SRCMR」が登場した。右の写真を見ればわかるのだが、RAIDカードでありながらHDD接続用のインターフェイスがいっさい搭載されていない。このスタイルを見てピンと来た人はハイエンド通だ。そう、これはAdaptec社のZero Channel RAID(ZCR)カードにそっくりなのだ。
最近のXeon用マザーボードにはZero Channel RAID(ZCR)カードをサポートするものが多く、わざわざ対応スロットを緑色にしていることも珍しくない。では、AdaptecのZCRカード「ASR-2000S」のように現在市販されているXeon用マザーボードで利用できるのか? というと、その保証は残念ながらない。Intelのウェブサイトで対応マザーボードを確認すると、ServerWorksの“ServerSetIII HE-SL”チップセットを搭載するIntel純正品「SCB2」と「SDS2」のみ。個人でこれらのマザーボードを所有している人は限りなく少ないと思われるだけに、かなり用途が限定されたニッチ商品ということになる。
ところが現在市販されているXeon用マザーボードでも使える可能性がないわけではない。というのも、このSRCMRは“RAIDIOUS”と呼ばれるテクノロジに対応している。RAIDIOUSテクノロジとはAdaptec言うところの“EMRL”(Embedded RAID Logic)で、簡単に言うとアドオンで取り付けるRAIDコントローラからマザーボード上のSCSIコントローラを制御する回路のこと。RAIDIOUSテクノロジのコンセプトはAdaptec社のZCRと全く同じものであり、一方でASR-2000SがIntelのRAIDIOUSテクノロジに対応し、SCB2とSDS2で使用可能なのを考えると、断定こそできないものの、SRCMRがZCRに対応している可能性は高いと考えられそうだ。
プロセッサはIntel最新のGC80302。動作クロックは100MHz |
肝心のスペックに目を移すと、プロセッサにはIntel自社製“GC80302”(IOP80302)を搭載。この動作クロックは100MHzでハードウェアXORアクセラレータも内蔵する。メモリクロックは66MHzで、容量32MBのECC付き。ただしプロセッサ自体が16MBのメモリを消費するので実際にキャッシュ用として使えるのは半分の16MBとなる。PCIインターフェイスは64bit/66MHz PCI。対応するRAIDレベルは0/1/4/5/0+1(10)。最近のRAID製品としては珍しくRAID4をサポートしている。
メモリクロックは66MHzとなっている。上位版にあたるGC80303ではメモリも100MHzで駆動されるようだ | マニュアルで説明されている各RAIDレベルの違い |
ASR-2000SのプロセッサはAIC-7930Wで、それよりもパフォーマンスが高いと思われるSRCMRは魅力的だが、ただしASR-2000Sは48MBのメモリを搭載するのに対しSRCMRは32MBとなっている点は少々物足りなさも感じる。また、ZCRに対応するマザーボードで利用できる保証はどこにもないので、購入の際には人柱になるのを覚悟した方がいいだろう。価格はUSER'S SIDE本店で3万7800円。
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