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Adobe After Effects 5.5 日本語版

Adobe After Effects 5.5 日本語版

2002年04月16日 13時12分更新

文● 伊藤 裕也

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アニメ作成のための機能も充実

 After Effects 5.5では「マスク」「エクスプレッション」など、After Effectsが得意としているモーショングラフィックスに関する機能の強化も行っている。

 マスク機能の強化は「スマートマスク補完」というプラグインの追加により実現している。スマートマスク補完はプロ版にのみ付属するプラグインで、マスクシェイプが変形(モーフィング)する場合に、形状を崩さずに途中のフレームを自動補完するというもの。従来は手作業でマスクの輪郭にポイントを指定、中間となるシェイプを確認しつつ……、と、大変な時間と労力を必要となしていたが、その労力をある程度軽減できるようになったワケだ。

 エクスプレッションでは、今回から簡単な「ループ」をサポート。指定したソースセグメントに+/-などの平易な演算子を追記するだけで繰り返し実行ができるようになった。同じ動作の実行はもちろん、一通りの動作が終わった時点で動作を逆再生させ、元の状態に戻す――といった芸当も可能だ。規則正しく反復運動するアニメーションの作成に極めて有効だ。

より使いやすく! 1/2/4ビューを搭載

図8 ご覧のとおり、今回から複数のコンポジションウィンドウを表示できるようになった。ここではふたつのウィンドウを表示しているが、画面が広ければ4つ、また、それ以上のウィンドウ表示も可能だ。
 いくら機能的に優れたモノでも、その機能が使いにくければその魅力は半減する。そこでAfterFx 5.5では「1/2/4ビューのサポート」「エフェクトパレットの追加」など、操作性の向上も図っている。

 1/2/4ビューとは、複数方向からのコンポジションビュー(オブジェクトなどを表示するワークスペース)を同時に展開できる機能だ。要するに、複数のアングルから見たワークスペースを複数同時に展開できるようになったワケだ。これにより、3Dオブジェクトをさまざまな角度から同時に確認できる。5.0ではコンポジションビューが1つしかなかったため、3Dオブジェクトの位置を確認するたびに、いちいちビューモードを変更する必要があった。3D機能を多用するユーザーには大きな進化と言えよう。なお、名称は1/2/4ビューだが、これはプリセットされたモードが4つまでだからで、ユーザーが望めば自由にコンポジションビューを追加できる。ユーザーオリジナルのワークスペースは保存可能で、いつでも簡単に呼び出すことができる。

 エフェクトパレットは、エフェクトプラグインにすばやくアクセスするために設けられた新パレットだ。各エフェクトをペイント、ビデオ、画像制御などのカテゴリ別に分類している点はツールバーのエフェクトメニューと同様だが、エフェクトパレットではさらにエフェクト名による検索機能も利用できる。エフェクトの適用も、タイムラインからエフェクトを適用したいレイヤーを選択した上でパレットにあるエフェクトをダブルクリックするスタンダードな方法のほか、エフェクトパレットに登録されたエフェクトを適用したいレイヤーにドラッグ&ドロップする直感的な方法もサポートしている。



図9 今回より新設された「エフェクトパレット」。「含まれる文字」という欄に文字を入れることで、その文字を含む名前のエフェクトのみを絞り込めるところがポイントだ。

 ほかにも、レンダリング設定におけるオプションの追加、RealVideo/RealAudioフォーマットでの出力やMPEG1の読み込み、プロ版では3Dグラフィックス・アニメーションソフト「Maya」「3ds max」からの3Dカメラデータの読み込みといったファイル入出力の拡張など、さまざまな部分が強化されている。

    ★

 AfterEffectsの価格はスタンダード版・プロ版ともにオープンプライスで、アドビシステムズの運営するオンラインショップ「アドビストア」(http://www.adobe.co.jp/store/)での価格は、スタンダード版が9万8000円、プロ版で19万8000円となっている。なお、従来バージョンからのアップグレードは、AfterFx 5.0からアップグレードで9800円(スタンダード版・プロ版とも)、AfterFx 3.x/4.xからのアップグレードについてはスタンダード版が2万5000円、プロ版が3万5000円だ。

 個人ユーザーにとっては、スタンダード版でも価格的にかなり高額に映る。だが、柔軟なユーザーインターフェイスに強力なツールを搭載し、出力については複数のPCによる分散レンダリングにまで対応している。本格的なアニメーションを作成したり、ビデオの合成を行いたいなら、金額に見合う価値のあるソフトだ。もちろん、5.5になって1/2/4ビューの追加やSSE2対応によるパフォーマンスの向上、プロ版ではマスク機能の強化など、5.0のユーザーにも嬉しい新機能が多数ある。従来バージョンのユーザーには、ぜひともバージョンアップをお勧めしたい。

Adobe After Effects 5.5 日本語版の主なスペック
製品名 Adobe After Effects 5.5 日本語版
対応OS Windows 98/Me/2000/XP
CPU PentiumII以上
HDD 120MB以上

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