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デジタルカメラ撮影の“基本のキ” 絞りとシャッター速度

デジタルカメラ撮影の“基本のキ” 絞りとシャッター速度

2001年10月12日 02時34分更新

文● 周防克弥

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絞りとシャッター速度を使った「絵作り」

作例1A(絞りの効果)
作例1A(絞りの効果)。絞り開放(F2.8)。中心の物にしかピントが合ってなくて手前と奥になるものがよくわからない。ただし、中心の物だけを強調させたいならこれがいい。

 前置きが長くなってしまったが、この絞りとシャッター速度の組み合わせは写真を撮るうえでかなり重要な位置を占めている。写っていればよいならばともかく、何かしら写真で表現をするなら絞りとシャッターの効果を利用して一味違った写真が撮れる。
 まずは絞り。絞りの数値が少ないほう(絞りを開けると言う)が多くの光を通過させるため速いシャッターを切れる。つまり絞りを開ければ手ぶれしにくくなる。



作例1B(絞りの効果)
作例1B(絞りの効果)。絞り中間(F5.6)。少しでも絞れば多少はマシになるがやはり前後の物はしっかりとは見えない。前後の物が中途半端に見えていて余計にわずらわしく感じる。

 しかし絞りを開けると被写界深度が狭くなる。被写界深度というのは詳しく説明すると長くなるが、だいたいのピントが合って見える範囲のことだ。被写界深度が狭い(浅いとも言う)というのはピントを合わせた距離の前後は大きくボケるが、被写界深度が広い(深いとも言う)とピントを合わせた距離よりも前後に広くピントが合っているように見える。レンズ付きフィルムやトイデジカメなどのパンフォーカスカメラが、フォーカスを合わせる機能がなくても全体的にピントが合っている写真が撮れるのは絞り値の小さなレンズを採用し、被写界深度を広くしているためだ。



作例1C(絞りの効果)
作例1C(絞りの効果)。絞り最大(F11)。手前から奥までしっかりとピントが合っていると見せたいものがちゃんと見せられる。オークションや、Webサイトなどに載せる写真でも、しっかりと全部見せたいなら絞りを絞って撮ろう。

 絞りを開ける(絞り値を小さくする)と、被写体以外の背景はボケるので、背景から被写体を浮かび上がらせたい場合、ポートレートや花の写真など背景をあまり鮮明に写したくない場合に有効だ。しかし、奥行きのある物や、被写体の手前から奥まではっきり見せたいときには絞りを絞って(数値を大きくする)撮影しないと部分的にしかピントの合っていない写真になってしまう。何をどう表現するのかで絞りを選ぼう。



シャッター速度と絞りで「露出」が決まる

作例2A(シャッター速度の効果)
作例2A(シャッター速度の効果)。速いシャッター速度(1/250)。飛沫が止まり、水流の激しさが強調される。たいした流れでもないのに激流のように見えてしまう。

 シャッター速度も同様で、手ぶれを抑えて被写体をピッタリ止めたいときは速いシャッターを使い、逆にわざと被写体をぶらして動きを表現したいような時はシャッタースピードを遅くする。
 また、海や川を撮るときにちょっとだけ水が動いているように見せると海らしさや川っぽさが表現できる。速いシャッターで水を止めて撮ると激しい感じになり、長めのシャッターで少し流れた感じを見せると、穏やかな印象となる。



作例2A(シャッター速度の効果)
作例2B(シャッター速度の効果)。遅いシャッター速度(1/15)。同じ場所で撮影してもシャッターが遅いだけでこんなに印象が変わる。逆に激しい流れでも水の粘度が下がって見えるので穏やかな感じになる。実際の撮影時には流れの雰囲気を表現できるように何枚かシャッタースピードを変えて撮影するとよいだろう。

 この、絞りとシャッターは密接な関係があり、お互いに勝手な数値で撮影すると露出がオーバーだったり、アンダーになって適正な露出が得られない写真になってしまう。
 露出とは、撮影時に被写体に当たっている光の量を測り、その量に合わせて絞りとシャッターの組み合わせを変えて調整するものだ。この時、絞りとシャッターは相関関係を持っていてお互いを自由に決められるものではない。先に絞りを決めたら、その絞りに合わせたシャッタースピードを正確に選択しないと適正な露出にならない

 よく水道から流れる水に例えられることが多い。一定量の水をコップに満たすのに、大きく蛇口をひねって水の流れる量を多くして短時間でコップを一杯にする。もしくは蛇口をひねる量を少なくして水の流れる量を少なくし、長い時間をかけてコップを一杯にする。コップに満たされる水の量=露出量。蛇口をひねる量=絞り。水を流す時間=シャッター速度だ。コップから水が溢れたら露出オーバー、足りなければ露出アンダーだ。このように一定量の露出量を与えられればシャッターと絞りの組み合わせはカメラマンの意志で選ぶことができる。
 たとえば、プログラムオートでカメラを被写体に向けてシャッターを切ろうとすると絞りとシャッターが表示される機種がよくある。この数値をそのままにマニュアルモードへ変更して絞りとシャッターを合わせるとプログラムオートで撮影した状態と同じ写真が撮れる。ここでシャッターだけを一段速くすると露出が1段暗いアンダーな写真になってしまう。シャッターを一段速くしたら絞りを1段開けなくてはいけない。
つまり、
 絞りF5.6、シャッター1/250
の組み合わせと
 絞りF4.0、シャッター1/500
は同じ明るさの写真が写る。同様に考えると
 絞りF11、シャッター1/60

 絞りF2.0、シャッター1/2000
も同じ明るさの写真になる。
 絞りを1段開けたら、シャッターは1段速くする。絞りを1段絞ったら、シャッターは1段遅くする。このような組み合わせで絞りとシャッターは連動して動かすことで同じ明るさでも絞りとシャッターを変えて異なる絵作りの撮影をすることができる。



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