4月25日に発表された「COOLPIX995」の回転式レンズ機構を持つボディデザインは、COOLPIX900シリーズが代々採用してきた独特のスタイルだ。モデルチェンジを繰り返すごとにボディが丸みを増し、先代の「990」よりもまたひとまわり“肥えた”雰囲気がある。
ポップアップ式のストロボを採用
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横から見るとマッシブになったレンズ部がよくわかる。レンズ部と本体部を同一方向に向ければカバンの中でも収まりが非常によい。 |
COOLPIXのカメラボディは、レンズ部分と液晶モニタのある本体部分が90度回転する構造を採用する。995でもこの仕様は変わらないが、従来の900シリーズではレンズの真横に内蔵されていたフラッシュがポップアップ式に変更されている。これによって発光部がレンズ光軸から離れるため赤目軽減に効果があるほか、従来のレンズの横からの投光に対して上からの投光となったおかげで立体感の表現はより自然になった。
ストロボはボタンを押してポップアップさせないと発光せず、暗い場所で不用意に自動発光させる失敗がない。初心者向けのコンパクトカメラでは暗い場合には自動的にポップアップしたほうがよいかもしれないが、撮影者の意志でストロボの発光をコントロールする本機能のほうが、本機がターゲットとしているような中~上級者にはアピールできるだろう。
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背面だけでもけっこう複雑なスイッチ類。光学ファインダが健在なのは意外と重宝する。 |
操作部のインターフェイスは、とにかくボタンの数が多く、正直ゴチャゴチャした印象だ。設定の変更を行う「メインダイアル」が上部に装備されているほか、背面側に「十字型ボタン」も用意されている。また、シャッターボタンの手前に「MODE」や「露出補正」ボタン、液晶モニタ周辺にも各種操作ボタンがある。機能を示すアイコンや文字が各ボタンに表示されているので使い方には迷わないのだが、操作性そのものは著しく悪い。
撮影モードの切り替えひとつにしても、電源スイッチを兼ねるシャッター周りのレバーに「A」(オート)と「M」(マニュアル)の切り替えがあるだけ。Aの位置では完全なフルオートカメラとして機能するのに対し、シャッタースピード優先や絞り優先、そして絞りやシャッタースピードを任意に組み合わせてのマニュアル撮影を行うにはMに切り替えたあと、個々のモード(シャッター優先か、絞り優先か、あるいはマニュアルか)を選ぶために「MODE」ボタンを押しながらメインダイヤルを回さねばならない。
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CFスロットなどのレイアウトは基本的に従来機と変わらない。 |
このように多くの操作において“何かのボタンを押しながらメインダイアルを回す”ことが必要だ。ボタンの数が多いので、もっとシンプルな操作感が欲しい。使っていて一番気になった点は、マニュアル時のシャッタースピード、絞り値の変更だ。メインダイヤルを回すことによってシャッターピード、絞り値をコントロールできるが、シャッタースビードを設定後、絞り値を変更する際はMODEボタンを1回押して、絞り可変モードに切り替える。再度、シャッタースピードを変更するには、またMODEボタンを押してシャッタースピードの可変モードに移すと、この繰り返しだ。
ダイヤルを回すことで個々の値を切り替えられるわけだが、シャッタースピードを変更するつもりで、絞り値が変わってしまった、ということがしばしば起る。せっかく背面に十字ボタンが用意されているのだから、そこでシャッターも絞りもまとめて操作したいと思うのは私だけではないはずだ。もちろん操作に慣れてしまえば問題にならない小さなことかもしれないが、初めてカメラを持った瞬間にすべての操作が把握できる製品にしてほしかった。
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コンバージョンレンズ設定画面。既存のレンズに適した設定をカメラ側に用意されているのはありがたい。 |
