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ソニー銀行、6月11日に業務開始――口座手数料ゼロ、ATMは三井住友とam/pmで

2001年05月11日 11時24分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ソニー銀行(株)(※1)は10日、都内で記者発表会を開催し、6月11日に予定するインターネット銀行業務の内容について石井茂代表取締役社長が説明した。

※1 ソニー銀行:2001年4月2日設立。通称は“ソニーバンク”。本社は東京都港区、資本金は375億円。出資比率はソニー(株)80%、(株)三井住友銀行16%、米JPモルガン4%。

ソニー銀行取締役会長の伊庭保氏と代表取締役社長の石井茂氏
ソニー銀行取締役会長の伊庭保氏(左)と代表取締役社長の石井茂氏(右)

ソニー銀行は個人顧客にフォーカスした金融サービスを提供する予定で、預金、貸し出しなど通常の金融サービスに加えて、顧客がウェブブラウザーを使って資産運用と管理を行なえる“MONEYKit(マネーキット)”を提供する。開業時には、普通預金、定期預金、カードローン、投資信託の4つの金融商品を取り扱う。現在の市場金利下での預金金利は、普通預金が0.05%、定期預金(1年もの)が0.5%。貸出(カードローン)金利は6.5%(年利)となる見込み。9月以降には外貨預金も開始する。カードローンはまず貸し出し上限を100万円で開始し、300万円程度まで引き上げる予定。

投資信託については、インベスコ投信投資顧問(株)が運用する“MONEYKitファンド・シリーズ”を提供する。当初は円建ての“MONEYKitベーシック(円)”のみだが、ドル建ての“MONEYKitベーシック(ドル)”、ユーロ建ての“MONEYKitベーシック(ユーロ)”も秋以降に提供するとしている。“MONEYKitベーシック”は独自の基準で選んだ安全性の高い証券に投資するもので、元本のリスクを最小限に抑えた商品。これ以外に、リスクは高くなるがリターンも高い“MONEYKitスタンダード”、“MONEYKitプロフェッショナル”をラインアップする予定。今回発表したMONEYKitベーシックは、証券格付け会社ムーディーズ・ジャパン(株)より、日本の銀行が提供する投資信託では初となる最上級の“Aaa(トリプルエー)”の格付けを得たという。

口座手数料およびソニー銀行内の振り込み手数料は無料、他行向けは200円。ATMは(株)三井住友銀行、および(株)エーエム・ピーエム・ジャパンが展開するコンビニエンスストア『am/pm』のATMサービス“@BANK”(九州地区は除く)の合計約7600台が利用できる。さらに2002年初頭には郵便局の2万5000台のATMネットワークと接続する。利用料金は年内はキャンペーン期間として無料にする。来年から平日の預け入れは無料、時間外預け入れ100円、平日の引き出し100円、時間外引き出し200円となる(金額はすべて税別)。ただし有料化時には、毎月一定回数までは無料とする予定。口座開設はソニー銀行のウェブサイトを通じて入力した情報を印刷し、それに署名したものを郵送することで行なう。

MONEYKit画面
“MONEYKit”のウェブサイトにアクセスするとこのMONEYKit画面が表示される。周りにあるアイコンがそれぞれの機能を表わしており、マウスで中央のスペースにドラッグ&ドロップすることで、各機能を切り替える

顧客の資産運用管理ツールとして提供する“MONEYKit”は「日本ではほとんどの個人にとって銀行は“金庫”としての存在だった。充実したライフプランのためにお金をより有効に活用してもらうための道具」(石井社長)という位置づけ。振り込みや残高照会、カード紛失届けのほか、投資信託、カードローン借り入れ手続きが可能。為替レート、金融用語集などの金融情報や金融商品情報も提供する。さらに、資産状況の把握や資産形成の手助けとなる、金融資産残高チャート、支出チェック、将来のキャッシュフローシミュレーションができる資産運用アドバイス(7月下旬リリース予定)などを提供する。これらはMONEYKitのウェブサイトで提供され、ウェブブラウザー(Internet ExplorerまたはNetscape Navigator)でアクセスするだけで利用できる。利用に当たってはCD-ROMなど特別のプログラムをインストールする必要はない。これらの機能は、ソニー銀行に口座がない場合でも機能を限定して利用できる。

資産運用アドバイス機能画面
MONEYKitの資産運用アドバイス機能画面。家族情報や収入、支出などを入力して診断する

MONEYKitで提供する機能のうち、資産運用アドバイスについては、関連会社のJPモルガンが米国で提供している“Morgan Asset Projection System(MAPS)”を、日本向けに作り直したもので行なう。MAPSは、投資アナリストが蓄積した投資理論、投資リスク分析、企業分析などの専門的運用ノウハウをシステム化したもので、顧客の将来設計や目的、現在の資産状況を入力すると、資産運用状況が最適なものになっているかどうかを検証するシミュレーションツール。「こうした機能は企業や一部資産家などを除いて、個人向けには提供されてこなかった」(石井社長)という。

石井社長は「ソニー銀行は、まず“フェアであること”をポイントにしており、金利については市場金利に基づく適正なものに設定する。わかりやすい商品やサービスの提供を目指し、業務内容について高い透明性を持たせる」と述べた。ソニー銀行が集めた預金は、顧客への貸し出しと有価証券によって運用し、これによって利益を得る。当初は貸し出しは少ないと見ており、当面は有価証券による運用がメインとなる見通し。

MONEYKit-PostPet
PostPetのキャラクターを使ったMONEYKit-PostPetのデモ画面

また、「個人にとって銀行は行かなくてはならないから行く場所で、行きたいから行く場所ではない。もっと楽しく利用できるようにできないかと考えている」と述べた。この具体例として、愛玩電子メールソフトPostPetのキャラクターをMONEYKitのインターフェースに使った“MONEYKit-PostPet”を10月にリリースする予定。MONEYKit-PostPetでは、目標として設定した金額を貯めるまで、キャラクターがメールを送ってきたり、目標達成時にキャラクターが喜んだりするという。このほか、ソニー(株)のワイヤレスインターネット端末/テレビ『airboard』向けのソフトウェアを開発して、年内にリリースする予定。このソフトウェアではメモリースティックを個人情報の管理や送受信に活用するとしている。

ソニー銀行の損益計画によると、1年目に20万口座、3年目に40万口座、6年目に60万口座を集めるとしており、3年目に単年度黒字、5年目には累積損を解消する計画。預金総額は1年目3700億円、3年目6500億円、5年目に1兆円を目指す。顧客の獲得について石井社長は「MONEYKitを使ってもらえればそのよさが理解されるはず。まずはソニーやソニーグループの社員を中心に顧客を獲得し、そこから広げていきたい。派手な宣伝などはあまり考えていない」としている。

発表会後には、特定非営利活動法人ロボカップ日本委員会の北野宏明理事長、写真家の織作峰子氏、国際ビジネスコンサルタントのジョージ・フィールズ氏を招いて、石井社長とのトークショーが行なわれた。トークショーではゲストがそれぞれの立場から、お金にまつわる苦労話や銀行体験を披露した。井上社長は「お金は人生における目標を達成するためのツール。人生を考えることとお金のことを考えることのバランスをとっていくことが大切」などと語った。

ロボカップ日本委員会の北野宏明理事長と石井社長
特定非営利活動法人ロボカップ日本委員会の北野宏明理事長(左)と石井社長(右)
国際ビジネスコンサルタントのジョージ・フィールズ氏と写真家の織作峰子氏
国際ビジネスコンサルタントのジョージ・フィールズ氏(左)と写真家の織作峰子氏(右)

ソニー銀行は、個人顧客を対象にサービスを行なうが、個人顧客といっても「パソコンが使える人が対象になる。パソコンができない人に使い方を教えるサービスは非常にコストがかかり、かなり高額のサービスになる。現在の金利を考えるとそのような高いサービスを利用する顧客は想定できない」(石井社長)と、そのターゲットはかなり絞り込まれたもの。徹底したインターネット/ITの活用でこれまで実店舗を持つ既存銀行ができなかった、きめの細かい個人サービスの提供して、“単なる顧客の金庫”ではない新しい銀行をスタートする。

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