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ソニー、2001年度経営方針「ブロードバンド時代への準備が整った」と出井会長

2001年03月30日 02時08分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ソニー(株)は29日、都内のホテルで2001年度の経営方針説明会を開催した。出井伸之会長兼CEO、安藤国威社長兼COO(最高執行責任者)、徳中暉久副社長兼CFO(最高財務責任者)らが、“結合と超分極”、“スピードとユニークさを追求”を柱とした経営指針を示した。

2000年度の公約は達成

まず出井会長が、昨年のこの経営方針説明会での公約をもとに、ソニーの全社的な経営方針について説明を行なった。

出井伸之会長兼CEO
出井伸之会長兼CEO

出井氏は昨年社長(※1)として、“変革を加速するグループ本社体制”“ネット事業の立ち上げ”“グループコア事業のさらなる強化”の3つを公約として掲げたが、それらの公約はほぼ守られたとした。このうちネット事業に関しては「まだ収益には結びついていないが、将来に向けて着実に進んでいる」とし、ソニー・オブ・アメリカ社傘下に設立したネットワークを通じた映像配信事業を行なうソニー・ブロードバンド・エンタテインメント(Sony Broadband Entertainment)社や、先頃予備審査が終了したソニー銀行(※2)といった例を挙げた。また、グループコア事業のさらなる強化、というポイントでは、「ブロードバンドネットワーク時代に向けた成長戦略を進める」などとした。

※1 出井氏は昨年5月、会長に就任し、社長の後任には安藤氏が就いている。

※2 ソニー銀行株式会社(本社:東京都港区、資本金375億円)、ソニーが300億円、(株)さくら銀行が60億円、JPモルガンが15億円出資し、4月2日に設立予定のネット銀行。23日に金融庁から予備審査終了との連絡を受けたとしている。6月中の営業開始を予定する。

ブロードバンド時代におけるユーザー数の推移
出井会長の示したブロードバンド時代におけるユーザー数の推移

出井会長はまた、「'95年にゴア副大統領がインターネットハイウェイ構想を打ち上げたとき、インターネットはすごいものだと思ったが、その後インターネットを通じて、これほどまでにいろいろな事業が生まれてくるとは思わなかった」「ソニーはネットワーク時代にネットワークのゲートウェイ(となる製品)とコンテンツを持っていることが強みだ」「これからは土地やお金が大事な“製造社会”から、人が大事な“知識社会”に変化する。そうすると人を束ねるマネジメントが大切になってくる。'90年代は空白の10年などといわれるがソニーでは、ソニーミュージック、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントを買収して10年が経ち、またソニー・コンピュータエンタテインメントなど、グループ内でさまざまなカルチャーの違いを経験し、それらをブロードバンド時代にどのように生かしていくかを学ぶことができた」として、知識社会に対応するための準備が進んでいると述べた。

2001年度の経営方針

出井会長は最後に、2001年度の経営方針として“結合と超分極の経営”、“スピードとユニークさを追求する経営”を挙げた。前者においては、会社組織を従来のピラミッド型組織から、「独立心旺盛なビジネスユニットが相互依存する」ウェブネットワーク型組織へ変革させるため、本社の権限を下部組織へ大幅に委譲するなどとし、ITを核としたスピード経営を目指すとした。後者では、ソニーが現在行なっているカンパニー精度による垂直統合は生かしながら、それらの基幹事業を組み合わせた社内アライアンス戦略を進める。本社はグループ全体のグローバル・ハブとして、企業全体の価値を上げることをめざすという。

ソニーの主要5事業体が独立しつつ価値を創造
ソニーの主要5事業体が独立しつつ価値を創造

そして「いまの米国の不景気は次の時代に移るための息継ぎ。ソニーとしてはブロードバンド時代に飛躍するための格好の機会だと考えている」と述べた。

エレクトロニクスがソニーの根幹

続いて安藤社長が各事業分野について説明を行なったが、冒頭、安藤社長は「ブロードバンド時代にあってもソニーの発展はエレクトロニクスあってこそ。独自性のあるエレクトロニクスこそがソニーの根幹だ」とソニーブランドの機器を中心とした事業展開を強調した。このためにソニーは“ユビキタスネットワーク”(いつでもどこでもネットワークが存在する)にソニーの“バリュー”を加えた“ユビキタスバリューネットワーク”の構築を成長戦略とすると述べた。

安藤国威社長兼COO
安藤国威社長兼COO

安藤社長によると、「ネットワーク社会になったからといってハードの価値がネットワークに吸い取られてはだめ。ハードの価値をより上げていくことが重要。ハードウェアのネットワーク対応を加速し、それによって新市場を創造する」などとした。

ソニーのエレクトロニクス事業の売上げ推移グラフ
ソニーのエレクトロニクス事業の売上げ推移グラフ。'90~'95年まで横ばいだが、その後大きく伸び、6兆円規模に拡大している。VAIO(PC)事業が大きく伸びていることが注目される
エレクトロニクスビジネスにおけるビジョン
エレクトロニクスビジネスにおけるソニーのビジョン

続いて安藤社長はグラフを示しながら各事業分野の状況を説明した。

'99年Q4から2000年Q4までの世界におけるPCの成長率と、VAIOの成長率
'99年Q4から2000年Q4までの世界におけるPCの成長率と、VAIOの成長率。パソコンの売上げ鈍化をものともしない驚異的な伸びとなっている
PlayStation2の月間生産予定と累計目標
PlayStation2の月間生産予定と累計目標。8月にはPlayStation2の生産を月間200万台にするという。10月にはすべて0.18μmプロセスに移行することにも注目
“Sony Dream Network”構想の概念図
ソニーのハードウェアとネットワークを組み合わせた“Sony Dream Network”構想の概念図

日本はブロードバンド時代に近い位置にある

Q&Aセッションの際に、記者団からブロードバンド時代における日本の立場についての質問が出たが、出井会長はこれに対し「ブロードバンド時代の到来に関しては、日本ではNTTをはじめとして光ファイバーネットワークが張り巡らされており、アメリカよりもずっと近い位置にいる。日本でのブロードバンド時代到来にハードルがあるとすると、ブロードバンドネットワークを企業がうまく道具として使ったり、それを利用するベンチャーが立ち上がったり、一般の人が生活をエンジョイできるという、積極性があるかどうか。ただし、日本人の特性からいって、いったん動き出せば浸透は速いだろう。個人や企業が自分自身を革新し、この1、2年の厳しい時期を乗り越えれば日本にとって輝かしい時代が来ると感じている」と力強く答えた。

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