では、「.NET」の新しい実行環境であるユニバーサルキャンバス上で、アプリケーションはどのように動作するのだろうか。コンテナのアプリケーションは、やはりCOM+で動いている。そして、そのアプリケーションのフレームワークが「Webパーツ」と呼ばれるものである(Figure 10)。
Figure 10 アプリケーションフレームワーク「Webパーツ」
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Webパーツを簡単に言い表わすと、「COM+のオブジェクトをラッピングするための、一種のCOM+オブジェクト」と言っていいだろう。そして、このCOM+オブジェクトは、1記述、2ふるまい、3表示、4記録を「標準化」するのである。
では、なぜこの「標準化」が必要かというと、世のなかには、さまざまなふるまいをするアプリケーションが存在する。アプリケーション1もあるし2もある。WordもExcelもある。あるいは、Visual Basicで作られたAcitveXコントロールもある。それらのアプリケーションを動かすために必要なプロパティは、開発者がそれぞれに決めて作っているから、そのばらばらなプロパティは管理できない。そこで、ユニバーサルキャンバスは、そのばらばらなプロパティを持つ各アプリケーションをラッピングして、標準化してから実行させるわけである。COMのオブジェクト自体を動かすには、必要な情報がある。表示はどうするか、サイズはどうするか、ふるまいはどうするか、ウィンドウコントロールはどうするかといった情報を、すべて標準化してしまうわけだ。そして、その外側のラッピングするオブジェクト自身は、ユニバーサルキャンバスが管理している。その管理では、ドキュメントのネストなども行なわれる。
ここではOLEの複合ドキュメントのように、メニューのマージは行なわれない。プロパティページベースで管理されるから、各COM+アプリケーションがタブのメニューを持っていて、右クリックで個別のメニューが表示される。全体のメニューとしては、現在のInternet Explorerの「進む」「戻る」といったメニューを持っているだけで、各アプリケーションのメニューはプロパティの一部のようになるだろう。この例のように、当然のことながら、ユニバーサルキャンバスはブラウザ上で実装される。たとえば、最新のMSNはユニバーサルキャンバスではないが雛型になるものである。Microsoftは以前、Outlookベースでの開発を考えていたようだが、現在はブラウザベースで行なわれている。そして、すでにユニバーサルキャンバスを実装しているのが、「セカンドジェネレーション・デジタルダッシュボード」である。デジタルダッシュボードのWebパーツというのは、ユニバーサルキャンバスのテクノロジーを利用したものだ。
Outlookのデジタルダッシュボードで、同一のフォーム上にフレームを使って、複数のパーツが表示される。ここで特徴的なのは、それぞれのパーツが、別々のサイトにアクセスし、それぞれのWebのサービスの窓口になっていることだ。1個のURLのページしか表示できないブラウザと比較すれば、そのメリットは明らかだろう。この方法を使えば、同時に複数のWebサイトが見れる。見れるという点ではUIの問題だが、前述のように、UIがなく見えないサービスとの連携も可能となる。オフラインの時は、オフライン用データベースに記述しておき、サーバに対する要求はトランザクションで行なう。そして、オンラインになった時点で、アクセスし同期を取るわけである。Outlook自体もバージョンアップして、ユニバーサルキャンバス機能を持っているコンテナになる。そして、この例からも分かるように、これからはアプリケーションのXML化(対応)は必須となる。当然考えられるのは、Officeのアプリケーションもユニバーサルキャンバス機能を搭載することである。つまりそれが「Office.NET」である。
