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COM+ 98が主眼に置いていたのは「COM/DCOMとMTSの統合」(分散システムの世界)、そしてCOM+ 99では、「メタデータと実装言語の統合」(開発言語の世界)が行なわれる予定であった。このCOM+ 99では、ローダ、リンカ、セキュリティマネージャ、メモリマネージャを含む言語/開発ツールが統合され、その上でCOM+のアプリケーションが動作することになる。システム全体が仮想マシンになると考えてよい。各開発言語には、ランタイムの実行環境で重複する部分がある。COM+で実現しようとしているところが、すでにVisual Basicが持っている部分があるし、Javaの仮想マシンでも同じような処理をしている。その共通部分を、できるだけCOM+の仕様に移行する。すると、既存のランタイムについては、比較的簡単に軽くできる。さらに、各言語のランタイムのなかで、最大公約数的な部分、つまり言語非依存となる部分をCOM+のなかに取り込み、この領域をスペック策定の段階で増やしていくことによって、開発言語に依存しない環境を構築しようというわけである。
COM+の最も革新的な側面は、コンパイラ、オブジェクトランタイムサービスを通じて、言語固有オブジェクトモデルからシステムオブジェクトモデルへの自然なマッピングを提供することにあった。
この'97年当時、COM+ 99(2.0)と呼ばれていたテクノロジーが、今回「.NET」で発表された「.NET Framework」であり、Common Language Runtimeである。
では「Windows.NET 1.0」、つまり2001年夏にリリース予定の次期Windowsである開発コード名「Windows Whistler」には、「.NET Framework」やCommon Language Runtimeが搭載されるのだろうか。現在、Whistlerには間に合わないと言われている。Whistlerに搭載されるのは、「COM+ 1.x」になる予定だ。今回の「.NET」戦略が誤解を招くのは、製品のリリース時期とテクノロジーのリリース時期が一致していないことにもあるだろう。
