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.NET FrameworkとCommon Language Runtime

インサイドMicrosoft.NET(その2)

2000年10月25日 21時24分更新

文● Tetsuya Hara and Peter Hamilton

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 「.NET Platform」は、ほかのシステムとの接続/連携と、インターネットを経由したサービスの利用を目的としている。そして、それを実現するための開発ツールとして「Visual Studio.NET」が用意され、サービスを組み合わせて1つのソリューションを構築するための開発環境が提供される。ここでは「.NET Framework」について、細かく見ていくことにしよう。

Figure 4 「.NET Platform」の構成要素

Figure 4 「.NET Platform」の構成要素

 「.NET Platform」は、大きく3層に分かれている(Figure 4)。一番下のレイヤー1は「Windows」で、インフラストラクチャの部分を示し、「.NET Framework」は、中央のレイヤーの左側に位置している。その右隣の中央のボックスには「.NET Enterprise Servers」があり、ここにはまもなく出荷を予定されている次世代サーバ群が位置する。

 右側のボックスは「Building Block Services」で、Microsoftが提供する「Passport」のほか、「パーソナライゼーション」機能や、何か変更があったときに通知をしてくれる「ノーティフィケーション」「メッセージング」といったものが含まれる。

 一番上段レイヤーの「Orchestration」は、End-to-Endの各サービスを組み合わせてビジネスプロセスをトランザクショナルに行なうソリューションを示している。

Figure 5 「.NET Framework」の構成要素とサービス

Figure 5 「.NET Framework」の構成要素とサービス

 「.NET Framework」の構成要素は、大きく2つに分けられる(Figure 5)。一番下のレイヤーの「Common Language Runtime」は、「.NET Framework」を支えるコアのエンジン部分になる。そしてその上には、大きなクラスライブラリ群「.NET Framework」が、「Base Frameworks」「Data/XML」「Web Services」「User Interface」と、提供する機能ごとに大きく4つのグループにまとめられている。

 この大きなクラスライブラリ群「.NET Framework」のなかの、一番下の「Base Frameworks」は、最もプリミティブでシステムリソースに近い、OSの機能に近い部分のサービスを提供するクラス群である。その上には、データアクセシビリティや、データモデル/スキーマモデルやXMLの操作機能を提供するレイヤー(クラスライブラリ)である「Data/XML」が位置し、その上の左側の「Web Services」は、SOAPを使って接続する「サービス」を利用する部分、または「サービス」を公開する/提供するといった部分を司るサービスのためのグループがまとめられている。

 右側の「User Interface」には、WebベースのUIを使ったサービスを提供する「ASP+」のような、Webアプリケーションやリッチなクライアントに対してインターフェイスを提供するためのサービスがまとめられている。ここで提供される「WinForm」では、リッチなクライアントアプリケーション、既存のWindowsベースのクライアントアプリケーションとほぼ同等なWindowsアプリケーション、ほぼ同様のインターフェイスを持つアプリケーションを構築することが可能である。

 ここでは、Common Language Runtimeの上にBase Frameworksが載っているが、厳密に言うとCommon Language Runtimeのなかに、少しBase Frameworksが入っていることに注意していただきたい。セキュリティ機構などは、Common Language Runtimeの一部とかなり密接に統合されており、完全に「.NET Framework」のなかにあるというよりは、Common Language Runtimeと重なる部分があるということだ。

 ここで、「Base Frameworks」「Data/XML」「Web Services」「User Interface」の4つのサービスで、どのような機能(クラス)が提供されているのかを細かく見ていくことにする。

 一番下の「Base Frameworks」(System)のなかには、基本的な入出力のための「IO」や、ネットワークを司る「Net」、論理スレッディングコントロールする「Threading」を始めとするクラスが含まれている。

 そして、「Data/XML」の左側には、データモデルを扱い、データアクセスビリティを提供する機能として「System.Data」があり、右側には、XMLのクラスとして「System.Xml」がある。

 その上の左側の「Web Services」(System.Web)は、Webサービスを提供するためのクラス群で、右側の「User Interface」の「System.Drawing」と「System.WinForms」は、リッチなクライアントのために、ユーザーインターフェイスや、その機能を提供する「WinForm」と呼ばれるグループで構成されている。

 

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