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LinuxWorld Conference&Demo/Tokyo 2000

LinuxWorld講演レポート IBMのLinuxサーバ戦略

2000年11月01日 00時00分更新

文● 吉川

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 こうしたことを実現するためにはハードウェアをはじめとした環境が必要だが、堀田氏は、プロセッサやストレージは約5年周期で限界説が唱えられつつもそれを打破して進化してきたこと、それに対して回線だけは10年前に較べてもせいぜい10倍程度にしかコストパフォーマンスが伸びていないことを示唆した。

 だが今や通信回線のコストパフォーマンスも下がりはじめてきてはいる。今後ワイアレスのLANやBluetooth、携帯電話が普及し、通信回線が安くなっていくと予想した場合、来たるべきネットワーク社会の形態は、アプリケーションとデータがネットワーク上にあり、デバイスごとのユーザーインターフェイスのみが違うという状態になるだろうという。

 すると必要になってくるのが、サーバの能力だ。IBMはオリンピックのスポンサーを長年続けてきており、今回のシドニーオリンピックでもインターネット上で情報を配信した。このシドニーオリンピックへのアクセス数は、インターネットの活用が話題になった長野オリンピックよりも数段上回っており、堀田氏はそれをグラフによって解説した。

シドニーオリンピックでは、7900台のコンピュータが稼動し、そのうち500台がサーバ。長野オリンピックではOS/2が、シドニーではLinuxも使われた

 オリンピックのシステムは、対戦の組み合わせによってアクセスが激変する状況に対し、的確に対応していかねばならない。また、クラッキング対策も講じておく必要がある。このようなシステムは、現在はそれこそオリンピックなどの特殊なイベント時にしか使われないかもしれないが、今後インターネットのユーザーが増えていけば、いたるところに現われるだろう。

 こうしてIBMの処理能力の高さを示した堀田氏だが、それでもITはまだまだだという。IBMでは、ITを電力と同じくらい使いやすいインフラとしていきたいとのことだ。たとえば、現在コンセントにプラグを差し込んで、「この電気は火力発電か水力発電か? と気にする人はいない」(堀田氏)。

名称変更の理由

 「ITサービスを提供する」という意味では、ユーザーにとってサービスの源泉であるサーバが何であろうとかまわない。そこで、今まではそれぞれ名称がまったく異なったサーバ製品を「eserver」の名のもとに統一したわけだ。名称の統一とともに、SOI(Silicon On Insulator)や銅配線といった最先端技術も、いままでも製品ラインナップの壁を越え、全製品で積極的に適用していくという。

 こうした動きの中で注目される存在がLinuxだ。IBMのサーバ群は、それぞれの製品ごとにAIXやOS/390、OS/400、Windowsといった形でOSがバラバラだった。しかしここに来て全製品にLinuxを採用する。Linuxのみが、すべての製品に共通したプラットフォームとなるわけだ。これにて、名称や先端技術の統一だけでなく、インターフェイスの統一も実現されたことになる。

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