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「第1回 オープンソースサミット」開催される

2000年07月24日 12時48分更新

文● 吉川

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 サミット最後には、NECの川井俊弥氏、日本アイ・ビー・エムの中原道紀氏が登場してパネルディスカッションを行なった。モデレーターは引き続きミラクル・リナックスの吉岡隆弘氏。

川井氏、中原氏写真
右から、NECの川井俊弥氏、日本アイ・ビー・エムの中原道紀氏

 NECはPCサーバである「Expressシリーズ」のLinux対応や、cannaといったIMのオープンソース提供などを行なっているし、IBMが全世界的にLinux対応を進めていることは、あまりにも有名である。両企業とも大企業であり、こうした企業がいかにLinuxビジネスを推進していくのか、といった話はかなり聞きごたえがあった。両社ともに共通している見解としては、Linuxはビジネスとしてはまだまだ小さく、きちんと利益ベース(ビジネスモデル)を見つめて事業化していかないといけない面はあるが、インターネットやオープン化の流れは止められないために、とにかく今はLinuxを推進していかねばならないというものだった。

 今後の課題という話題になると、NECの川井氏は「Linuxが顧客の検討課題に上がるように、事例などを集めていきたい。テクノロジーに明るくない人にもアピールしていくことが必要」とした。大規模な案件にLinuxが使われ始めているのは事実なのだそうだ。そして、日本アイ・ビー・エムの中原氏は「安心感を与え、ビジネス誌にもLinuxを提示していきたい。またLPIの推進なども行なっていきたい」とした。

 また、「やはり自前のハードウェアとOSで商売をしたほうが儲かるのでは?」と会場から問いがあると、両氏ともども「インターネットの流れ、オープン化の流れは止められない」という意見だった。自前のハードウェアとOSのほうが楽ではあるのだが、やはりそれではシェアをとるのは難しいという意見である。


 ターボリナックス ジャパンとレーザーファイブ、NECと日本アイ・ビー・エムなど、普通に考えれば競合している企業同士が席を同じくしてLinuxの明日のことを語り合うというのは、なかなか不思議な光景ではある。こうした光景は、やはりLinuxならではではないのだろうか。もっとも、参加パネラーが述べたとおり、現在はまだまだ市場規模が小さく、競合できるまでには至っていない段階のため、どの企業とも「市場拡大」の方向で意見が一致しているということもいえるだろう。Linuxというオープンソースの素材を使っていかに利益を上げていくのか、ベンチャー/大企業に関わらず、その課題に対するチャレンジは続いている。

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