7月21日、東京都渋谷区の渋谷マークシティ内で「第1回 オープンソースサミット(以下サミット)」が開催された。主催はオープンソースサミット実行委員会。協力はProject BLUEで、後援に(株)サンブリッジとミラクル・リナックス(株)が名を連ねている。
午後のセッションでモデレータを務めたミラクル・リナックスの吉岡隆弘氏 |
サミットのプログラムには、
- Linuxビジネスの現状と今後について
- LPIは何をめざし、どのような活動をおこなっているのか
- オープンソースコミュニティとビジネスとの融合
- Linuxディストリビューターのビジネスモデルとオープンソースへの取り組み
- パネルディスカッション
といった項目が並んだ。パネラーには、日本Linux協会の生越昌己氏をはじめ、日本Sambaユーザ会の小田切耕司氏、リナックス・プロフェッショナル協会の成井弦氏、ミラクル・リナックスの吉岡弘隆氏、池田秀一氏、Project BLUEの宮原徹氏といったキーマンがずらりと顔を揃えた。
ミラクル・リナックスの今後
6月1日より業務を開始したミラクル・リナックスだが、サミットでは同社の概要を記した資料が配られた。それによると、ミラクル・リナックスが提供するRDBMS(Oracle)用ディストリビューション「MiralceLinux」の価格は、たとえば1サーバを100ユーザーで使用する場合
- サーバ(100ユーザー)……5万円
- クライアント(10ユーザー5万円×10)……50万円
といったモデルを予定しているという。
ミラクル・リナックスのミッションとビジョン
さらに、ミラクル・リナックスの設立動機なども記述されていたが、これは過去アナウンスされていた内容とほぼ同一のものだが、箇条書きでわかりやすくなっていたので、再度ご紹介する。まず、ミラクル・リナックスのミッションについては、
- 安定かつ信頼性の高いサーバOS提供
- OS市場に「選択」と「競争」による技術革新をもたらす
- Linux文化とビジネス文化の融合
といったものが挙げられている。そして、ビジョンについては
- 日本製基盤技術製品の開発
- 日本市場のための製品提供
- 日本発のIT革新と貢献
- LSB(Linux Standard Base)、Li18nux(Linux Internationalization Initiative)への準拠とLPI(Linux Professional Institute)推進によるLinux標準化を推進
といったものが挙げられていた。
のちにディストリビュータのセッションでミラクル・リナックスの池田氏が語っているのだが、現在日本の技術者は、せっかくいい仕事をしていても「海外からソフトを持ってきて日本語化しているだけ」といわれてしまう風潮がある。しかし、オープンソースであれば、開発者がより積極的に製品開発に関わることができ、日本がレベルの高い製品を作って海外に広めていくことも可能になるという。
TurboLinuxとMiracleLinux
ターボリナックス ジャパンは、ミラクル・リナックスの出資者でもあり、MiracleLinuxに対して技術協力も行なっていく予定である。資料には、ターボリナックス ジャパンとミラクル・リナックスについての関係も記述されていた。それによると、まずはミラクル・リナックスがTurboLinuxのOEMを受ける形になるという。そしてそのうえで、TurboLinuxはインターネット関連のサーバやデスクトップマーケットにフォーカスし、MiracleLinuxはRDBMSのマーケットに絞って展開していく。ただこれは、TurboLinuxのRDBMS向けバージョンがMiracleLinuxになるというわけではない。MiracleLinuxの登場当初はTurboLinuxに似ているものになるが、その後の進化により徐々に違うものになっていくはず、というのがミラクル・リナックスの見解である。
MiracleLinuxは、今年8月にベータ版が、9月から製品版が出荷される予定だ。