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オフィスのエコはここまで進んだ! 「東芝環境展」

2009年02月09日 08時00分更新

文● 行正和義

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家庭での電力消費をモニターし、外出先からでもエアコンのON/OFF、各種家電制御を行なうホームネットワーク。このシステムでは風呂の湯も張れる。オフィスへの導入にも期待したい

 そのほかにも、店舗用エアコンやコジェネシステム(熱と電力を発生する燃料電池)などの製品が展示されていた。これらの製品に関しては“エコ換え(替え)”という言葉に代表されるように、次第に省電力・省エネなモデルへと買い替えられてゆくだろう。

家庭用燃料電池「エネファーム」。電力と同時に温水を供給できる燃料電池コジェネレーションは今年あたりから普及が進みそうだ

オフィス・店舗用エアコンの「スーパーパワーエコ」。コンプレッサー部の強化、こまめな温度管理と出力調整により10年前のモデルの58%減という低消費電力を実現している


省CO2だけがファクター10達成への道じゃない!

 今回の東芝の取り組みを見てみると、単なるCO2削減/エコをスローガンに掲げた、企業における環境への取り組みだけではないこと分かる。

CO2削減の主役として期待されるのがEV(電気自動車)などの普及だが、そのカギとなるのが高効率充電池。新型SCiB充電池はリチウムイオン系でセパレーターの部材を工夫し、5分で満充電になるという急速充電を可能としている。携帯電話などのリチウムポリマーよりはエネルギー密度が低いものの、発火しにくく寒冷地(-30度)でも動作するなど、期待されている。SCHWENNより米国で発売予定の電動サイクル(日本の電動アシストではない)にも搭載予定だ

 2050年の実現を目指している「ファクター10」にしても、単にCO2排出量の制限というだけではなく“GDPあたりのCO2排出量を現在の半分に”という設定になっている。量的に制限するだけでなく、排出量を抑えながらGDPを引き上げることができればファクター10をクリアできるのだ。

世界中の拠点からの展示コーナーも設けられており、各地の環境保護法へのクリア度合い、現地で実施する環境活動への貢献なども報告されていた

興味深かったのは横浜事業所におけるラグーンの観察報告。これは横浜事業所の排水を海に投棄する前に滞留させる湿地で、工業地帯にもかかわらず自然保全区域のような生態系を成立させたエリアとなっている

小学生の集団

取材中に出現した小学生の集団(社会学習か?)。環境への配慮をどのように地元にアピールしていくのかも確かに重要だ

 東芝では個々の製品に対して“価値ファクター”と呼ばれる数値を設定し、その製品の“環境影響低減ファクター”を掛け合わせた数値を評価基準としている。つまり、CO2を削減できたとしてもGDP向上にさほど貢献しない製品であれば、総合的なファクターは低くなり、またCO2削減効果がさほど高くなくても生産力を向上させられればファクターは高いわけだ。今回展示された製品がそうであるように、ただ単にCO2削減を謳うだけではなく、生産効率を高めた価値ある製品づくりを行なうことが、ひいてはその企業の価値として評価される時代がすぐにやって来るのではないだろうか。

ちょっとした小川や浄水場、工場などからの排水や下水などもエネルギー源として利用しようとするマイクロ水力発電。田舎における予備電力としてだけではなく、小規模発電の普及が期待されている


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